左右に別々の顔を持つローマ神話の「ヤヌス神」にちなんで、2つの顔を持って産まれて来た「ヤヌス猫」というものがいる。通常はあまり長生きできないのが宿命だというが、米東部マサチューセッツ州に住む「ヤヌス猫」が今月、12歳の誕生日を迎え「世界一長寿のヤヌス猫」として大きな話題となっている。

この猫はマサチューセッツ州ウースターに住む「フランク&ルーイ」で、グレイと白の長毛が美しいオス猫。彼には1つの体に2つの顔、2つの口があるが、頭は1つ。2つの顔は単一の脳で支配されているため、調和して動く。左側の顔は「ルーイ」で、右側の顔は「フランク」だといい、真ん中に機能していない大きな目がある。顔の左側だけ、または右側だけを見るとそれぞれ普通の猫の顔だが、正面から見ると2つの顔がそっぽを向いている。

「フランク&ルーイ」の飼い主のマーティさんは、地元のタフツ大学獣医学部クリニックに勤務していた動物ナースで、名字は明かさないという条件のもと、地元紙『テレグラム&ガゼット』に愛猫とのなれそめを語った。

出会いは12年前、勤務先のクリニックに「安楽死させてやってくれ」と飼い主が持ち込んだ「ヤヌス猫」と出会ったマーティさん。当時、子猫は生後たったの1日で、成人の親指のサイズでしかなかったという。

ローマ神話の「ヤヌス神」にちなみ、英動物学者のカール・シューカー博士によって「ヤヌス猫」と名付けられた「2つの顔を持つ猫」は世界中で発見されているが、通常は長生き出来ず、産まれて数日で死んでしまうケースが大半だそうだ。

マーティさんは安楽死させるくらいなら、と子猫を引き取ることを決め、毎日懸命にエサをやった。12日以上生きることは稀だろう、と獣医に診断されていたため、靴箱に入れてどこにでも連れて行き、お腹に挿したチューブから子猫用の食事を2時間おきに与えたという。その結果、子猫は日に日に力強く成長していった。

成長した猫を「フランク&ルーイ」と名付け、自宅に引き取ったマーティさん。猫の顔を初めて見た人は皆、ショックを受けるそうだが、その第一印象はすぐに消えるという。「彼はとっても愛情豊かで、スイートな猫なの。フランク&ルーイに会った人は、みんな彼を好きになるわ。」また、彼は「首輪にリードをつけて散歩をするのが好きで、車に乗るのが大好きで、犬みたいな猫」とのこと。顔が2つあるだけで、いたって普通の飼い猫と変わりない生活を送っているようだ。

右側の顔「フランク」のほうが食道とつながっているため、フランクだけが食事を摂り「ルーイ」はご飯を食べないという。「フランクが食べている間は、ルーイは待機していて、ルーイの鼻だけが連動して動いているの。」とマーティさん。顔が2つあるからといって、2匹分の食事が必要という訳ではないらしい。

今月8日、めでたく12歳の誕生日を迎えた「フランク&ルーイ」は、シューカー博士によって2012年版のギネス世界記録に申請され、見事「世界一長寿のヤヌス猫」として認定された。誕生日を「フランク&ルーイ」はどのように祝ったのかというと、特別なことはせず、飼い主のマーティさんが「一日中彼を“バースデーボーイ”と呼んであげただけ。」とのことだ。

地元紙が取材した「フランク&ルーイ」のビデオはコチラで見ることが出来る。
http://bcove.me/6kitpgzy
(TechinsightJapan編集部 ブローン菜美)

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