離婚したカップルに原因をたずねた場合、「相性が悪かった」という答えが返ってくることが多いのではないでしょうか。では、逆に「相性が良い」とはどんな状態を言うのでしょうか。

 PAIRと呼ばれる夫婦に関する長期的な研究を実施している、テキサス大学心理学教授のテッド・ヒューストン博士は、「相性の良さ」に注目しすぎるのは、それ自体がトラブルのしるしであると指摘しています。

 ヒューストン博士の調査によれば、幸福な夫婦も不幸な夫婦も相性にはさほど変わりがないのだとか。しかし、不幸な関係のはっきりした信号は、パートナーのいずれかが相性の良し悪しをひどく気にしたり、幸福な結婚には相性のよさが重要だと大げさに力説したりすることだといいます。

 本当のところ、相性の良さはとらえどころがなく、つねに相性がいい夫婦などは存在しません。どんな夫婦もうまくいっているときもあれば、お金やセックスや子供や時間のことで意見が一致しないこともあります。つまり、良い結婚とは、つねに相性がいいということではなく、意見の不一致をなんとか処理する方法を知っているかどうかに尽きるようです。

 ニューヨークタイムズ氏の人気コラム<ウェル>の執筆者で健康ジャーナリストのタラ・パーカー=ポープ氏は、夫婦ゲンカにおいて、ケンカの内容は問題ではなく、ケンカのやり方が重要だと、著書『夫婦ゲンカで男はなぜ黙るのか』で述べています。

 様々な夫婦間の研究によれば、夫婦ゲンカの80パーセントは妻が始めるそうです。だからといって、揉め事の種をまくのが妻だというわけではありません。女性のほうが、問題を解決しようとして感情に訴えるリスクをとりやすいことを意味しています。夫か妻か、どちらかが会話をはじめなければならないとしたら、話を切りだすのはたいていの場合、妻というだけなのです。

 ではなぜ、男はケンカを避けるのか――。衝突が生じるときに女性のほうが感情的になりやすいのは、生物学的に説明ができるとパーカー=ポープ氏は言います。ストレスの研究によれば、男性の心臓血管系は女性よりもストレスにすばやく反応し、回復するのは女性よりも遅いのだそうです。たとえば、大きな物音に驚いたとき、男性は女性よりも心拍数が増え、血圧が高い状態が女性よりも長く続きます。

 つまり、男性のほうが衝突による生理的・心理的な負担が大きいので、女性よりも頻繁に自分から衝突を起こさないわけです。このように、科学的な裏付けをもって説明されると、普段、理解しがたい男女の違いに納得させられます。

 著者のパーカー=ポープ氏も、実は離婚経験者。彼女は、自分の結婚生活での体験を交えながら、「結婚」という重要なテーマについて、さまざまな点から科学的に検討しています。本書を書くために、愛情や人間関係を科学的に研究している心理学者や社会学者、神経学者など多数の専門家にインタビューしたり、科学論文を読んだりと多面的に徹底的なリサーチを行なっています。

 その結果、従来の定説を裏切る思いがけない発見をもとに展開される彼女の「幸福な結婚の科学」論は、たくさんの人たちがより良い結婚生活を送るうえで、おおいに役立ちそうです。



『夫婦ゲンカで男と女、ケンカをしかけるのはどちらが先?』
 著者:
 出版社:NHK出版
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