知っておきたい「死刑適用の基準」

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 2009年に施行された裁判員制度によって、一般市民も公判に参加し、被告人を裁くことになる可能性が生まれました。そして、それは死刑の是非を問われるような凶悪事件にあたる可能性もあることを意味します。

 『なぜ日本人は世界の中で死刑を是とするのか』(森炎/著、幻冬舎/刊)は日本における死刑の実例や死刑判決の基準について書かれています。
 その中から、死刑判決の際に特に重視される「被害者の数」と「犯情の良し悪し」について、それらが死刑適用にどう結びつくのかを紹介します。

■被害者の数
 現在の日本の死刑適用の基準は、大雑把にいえば被害者の数によっています。
 本書の著者で弁護士の森炎氏によれば「死刑になるのは三人以上殺した場合で、二人殺害では死刑になる場合とならない場合がケースごとに判断され、一人殺害では原則的には死刑にならない」としています。
 被害者の数が死刑を適用するかどうかの基準となる理由は、それがその事件の人命軽視の度合を図る尺度になるからです。
 そのため「被害者」とは単純な「死亡者」ではなく、「殺意をもって」死亡させられた者の数を指します。
 また、少年事件の死刑適用は当然ながら別の基準で判断されます。
 おおまかにいえば「三人以上殺害した場合は成人の場合とあまりかわらないが、二人殺害では死刑は原則的に回避され、一人殺害では絶対に死刑にならない」
 少年法で、犯行時十八歳未満の者には死刑を科すことができないと定められているため、この基準は十八歳と十九歳に適用されます。

■「犯情の悪い殺人」とは?
 前述の基準では、死刑は「二人殺害の場合はケースごとに判断」ですが、どのように判断するのでしょうか。
 それは「犯情」が悪いかどうか。
 犯情の良し悪しは犯行の
・計画性(衝動的殺人か計画的殺人か)
・残虐性(たとえば「生き埋め」「リンチ殺人」などは残虐性が高いとみなされます)
・執拗性(鈍器で何度も殴って殺害、などといった殺害方法の執拗性と、ストーカー殺人のように犯行全体の執拗性の2種類があります)
・凶悪性(主として使われた凶器の種類に着目して判断します。)
・冷酷性(殺害を躊躇したかどうか。命乞いを遮って有無を言わさず殺害した場合は冷酷性が高いとみなされる)
 によって判断されるといいます。

 上記は犯行の客観面に着目したものですが、この他にも「犯情の良し悪し」の判断には「動機」「前科の有無」の点も関わってきます。

 特に法律に詳しくない一般市民が人の生死を分けるような判決に携わるかもしれない裁判員制度。可能性としては低いのかもしれませんが、死刑判断の基準についての知識は持っておいた方がよさそうです。
 今回紹介した内容はあくまで大まかなところなので、もっと詳しく知りたいという方はぜひ本書を手にとってみてください。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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