日本ではジャッジ、米国メジャーではコーナーマンとしての姿が目立つマット・ヒューム。シンガポールのOFCでは、そのMMAに対する知識の深さに比例するような、素晴らしいレフェリングを披露した

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10月1日(土・現地時間)、UFCにとって初の首都ワシントンDCでの大会開催となるUFC LIVE「Cruz vs Johnson」。そのメインでUFC世界バンタム級選手権試合ドミニク・クルーズ×デメトリウス・ジョンソンが行われる。

WEC世界バンタム級王者時代から4度目の王座防衛、UFCでは2度目のタイトルディフェンスとなるドミニク。対する挑戦者ジョンソンは、山本KID徳郁、ミゲール・トーレスを下し、世界挑戦権を手にした。

そのジョンソンの師匠がUFC活動開始前から、パンクレーションの名の下、MMAを究めてきたマット・ヒュームだ。ジョンソンには、戦いに必要な全ての要素を使いこなす指導を続けてきたヒュームに訊いたドミニクとの世界戦、そしてMMA論とは?

――王者ドミニク・クルーズに『初めて自分よりもスピードのあるファイターと戦うのでは?』と、デメトリウスのことを尋ねたところ、「僕より彼が速いとは思わない」という否定の言葉が返ってきました。

「ハハハハ。まぁね、ドミニクはとてもスピードがあるファイターだよ。でも、僕はデメトリウスの方が速いと思う。試合が終われば、明らかになるよ(笑)」

――マイティマウス(デメトリウス・ジョンソンのニックネーム)は、自分のようなレベルの高い対戦相手と戦ってきていないという意見も聞かれました。

「それは違うね。DJはKIDヤマモトと戦っているしね。それにDJは日々ジムで、よりレベルの高いファイターたちとトレーニングを積んでいることが分かっていない。

ドミニクはこれまでにないスタイルを用いて戦っている。だから、向かい合ってみるまでなんとも言えない部分があるけど、ドミニクもDJとは戦ったことがないんだ」

――デメトリウスは、バンタム級のなかでも小柄なファイターであることは間違いありません。フィジカル面で、不利になることはないですか。

「フライ級があれば、DJはフライ級で戦うことができる。ただし、UFCにはフライ級がない。そしてバンタム級でタイトルを狙う力を持っている。ということは、バンタム級で挑戦を目指すのが、ごくごく普通の流れだよ」

――ドミニクは独自のスタイルを構築していますが、そこには合理的、試合に勝つために最短の道をいくという背景が見られます。それは多くのMMAファイターに見られる傾向ですが……。

「そうだね、そういう部分でいえば、私たちの世代は多くの回り道ともいえる経験を重ね、今もMMAを指導している。もう20年近くもMMAに関わってきて、私が教え子に求めていることは、オールラウンドなファイターになることだよ。

MMAの全ての要素で、可能な限りハイレベルな戦いができるようになること。ただ、MMAを戦えるだけでなく、キックボクサー、柔術、レスラー、ボクサーと、その領域で戦えるようになる、全てを身につけられるように指導している。

さっきも言ったように遠回りと思われるような経験をしてきたから、それが可能になる。勝つために一直線を歩むよりも、色々な経験をし、時間を掛けた方が良いファイターになるってものさ」

――AMCが掲げるパンクレーションは、今のMMAとは違うということですか。

「違うね。私はマーシャルアーツが何かという部分を、教え子たちと常に議論している。KAKUTOGIは、ただのファイトじゃない。私の生徒たちは、試合になれば得意なシチュエーションで戦うことを意識しているけど、その実、戦いに必要な全ての要素を駆使して、マーシャルアーツを戦っているんだ」

――その全ての要素で戦えるようにしているということが、ドミニクに対して、デメトリウスの長所になりますか。

「DJは長所が多い。運動神経、体力、スピードもそうだ。そして、全ての要素で戦える。ドミニクもMMAに必要な技術は備えているよ。ただ、DJの方がより多くの武器がある。MMAで有効になってくるテクニック、そのキャパシティが違う」

――相当、自信がありそうですね。

「もちろん。DJはもう準備が整っているよ。ただし、ドミニクに勝つコトが彼のゴールじゃない。どの試合で、誰と対戦してもDJの方が優れていることを証明するのが、私たちのゴールなんだ。

ドミニクのことだけを考えて、DJの指導をしてしまうと、長い目で見て彼のキャリアに役立たない。DJはまだ若い、この試合の後も成長していかなければならない。私が彼を指導しているのは、ドミニク・クルーズに勝つためじゃない。チャンピオンになるためなんだ」
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