「松茸は本当に必要か?」

 そう疑問を投げかけるのは、直木賞作家の角田光代さんです。松茸は、本当はなくても良いのではないか。皆、秋になると松茸、松茸と騒ぐようになるが、いっぺんも食べないまま冬になったとして、誰もそのことに気付かないのではないだろうか、と書籍『今日もごちそうさまでした』のなかで語っています。

 そもそも、松茸の値段がおかしいと角田さん。980円のもあれば、50,000円のもある。松茸を買う時に、つい値段を見てしまい、目当ての値段だけを見れば良いものの、陳列されたなかで一番高いものを見てしまう。そして、「ほう、50,000円。1,000円と50,000円では、どのくらい違うのか」と想像したりするのです。

 その結果、角田さんは、自分の想像力が、50,000円の松茸に及ばないことを思い知らされ、手にした3,000円とか5,000円とかの松茸を、食材としては充分高いのに、何かケチっているような気持になりながら見つめ、とぼとぼとレジに向かうのです。


 「松茸は本当に必要か?」

 こういう時にそう思うのです。

 「国外の松茸が安く輸入されるのは、その国の人々にとって松茸は、ちっともありがたくないからだ。こんな鉛筆の削りかすのにおいがするもの、いらんわと思っているはず。私たちだって、少し感覚を変えれば、"なぜ今までありがたがっていたのか"と思うかもしれない」


 そんなことを考えつつも、「秋と言えば松茸」「もう食べた? 松茸」「ああ、松茸食べたい」と、皆と一緒に言い合うことが楽しいらしく、毎年、秋のはじめには、「今年の松茸ごはんはいつにしよう」「どのくらい奮発しよう」とワクワクしてしまうそうです。

 そうやって盛り上がることも、松茸の魅力なのかもしれません。



『「松茸は必要か?」直木賞作家・角田光代さんが松茸を語る』
 著者:
 出版社:アスペクト
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