いつもぐうたら、困ったら「ドラえも〜ん」と助けてもらうのび太。ダメ人間としか思えないが、実は勝ち組になれるお手本のような生き方をしているのだ

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 国民的漫画『ドラえもん』の主人公、野比のび太。勉強もスポーツもできずルックスもイマイチなのに、困ったことがあればいつもドラえもんをはじめとした誰かが助けてくれて、最終的にはクラスのマドンナ・しずちゃんと結婚。ダメ人間のように見えて、実は相当の“勝ち組”だ。

 どう考えても、すべてドラえもんのおかげのような気がするが、富山大学名誉教授で「ドラえもん学」を研究し、『「のび太」という生きかた』(アスコム/1260円)著者である横山泰行先生は、こういう見方をする。

「ドラえもんは、のび太のことを助けているというイメージがありますが、実は助けているんじゃなくて、のび太が何かしようとすることを後押ししているだけなんです。『ドラえもん』は “ひみつ道具”を中心に話が展開していきますが、最終的には道具に頼らず、のび太自身で問題を解決している。そういう意味で、ひみつ道具はきっかけづくりのひとつなんです」

 横山先生は「のび太は想像以上に人生をうまく生きている」として、一見ダメ人間に見えるその生き方から学ぶべきことは多いと言う。そのひとつが「身の丈以上に自分を誇示しない」というもの。

「のび太は七夕の短冊に『りこうになりたい』とストレートな願いを書いているんです。自分の良い面も悪い面も包み隠さずさらけ出している。そうすることによって、ドラえもんは、のび太が何を求めているかを知ることができるんです。カッコつけないことによって、周りが的確なサポートをしてくれるんですね」(横山先生)

 他にも、「心配なことは考えない」「誰にでも優しい」「あれこれ考えずに即行動する」といった点が“のび太流”。だがこうした些細なことも、努力して継続していかなければ意味がない。仲間たちのサポートの中、何度も失敗しながら少しづつ成長していったのだ。

「『のび太の結婚前夜』という作品では、しずちゃんが父親に結婚への不安を口にするのですが、その時、父親は『のび太くんを選んだきみの判断は正しかったと思うよ。あの青年は人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことのできる人間だ』と言っています。のび太は知らないうちに成長し、幸せを手に入れているんです」(横山先生)

 カッコつけずに、誰にでも優しく、失敗を恐れずにチャレンジし続ける。そうすれば幸せな人生を手に入れることができる。のび太とドラえもんは、そう教えてくれているのだ。

(取材/村上隆保、撮影/井上賀津也)

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