日本のヒット小説『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』がこのたび中国で翻訳出版された。翻訳を手がけたのは「中国で一番有名な日本人」と呼ばれる加藤嘉一氏だ。新民網が伝えた。

 ある高校の野球部女子マネージャーが、著名経済学者ドラッカーの著作『マネジメント』を読んで、チームを甲子園へと導くストーリーの『もしドラ』は、電子書籍を含む小説発行部数250万部以上のベストセラーとなり、昨年から今年に立て続けにアニメ化、映画化された。

 18歳で単身中国に渡り、今や中国国内で活躍する日本人評論家の第一人者としての地位を築いた加藤氏は「この本が売れた理由は、感動に対する社会の心理的欲求と、マネジメント学習への欲求を結びつけたところにある」と分析した。

 加藤氏自身も公式ブログで同書の中国語版出版を報告。急速な経済発展の中で社会規範やモラル、価値体系が欠けている中国社会、国民が、人気のある学問を学びつつストーリーに感動し、「本来は中華文明の真髄であった儒教の精神、和の精神、相互扶助の精神などに回帰していくきっかけが見いだせられないだろうか」と翻訳作業に当たっての思いを打ち明けた。

 そして、訳者として「大学の教室を中心に中国全土を駆け巡る予定です。突っ走ります」と熱い思いを語った。(編集担当:柳川俊之)