がん治療に関する危険な誤解

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 日本人の死因として最も多いとされているのが「がん」。2004年には、日本人の年間死亡者数約102万9千人の約3の1である32万人ががんでなくなっており、これからもがん患者は増えてゆくと予想されています。
 しかし、医療の発達により、かつてのように「がん=死」というイメージが薄れてきているのも事実です。最近では、テレビなどで馴染みのある芸能人・タレントでもがんに罹っていることを公にしつつ活動を続ける人も増えています。
 ジャーナリストの鳥越俊太郎さんもその一人です。
 鳥越さんは2005年、当時レギュラー出演していたテレビ朝日系列の『スーパーモーニング』にて自らが大腸がんであることを告白し、それから4度の手術を経た現在もがんと向き合いながら仕事を続けています。
 『がん患者』(講談社刊、税込定価1680円)は、鳥越さんががん発見当初から残し続けてきた記録を元に闘病生活をつづった一冊です。
 
■「抗がん剤」は効かない?
 がん治療に欠かせないと思われている抗がん剤ですが、その効能については近年議論になっています。
 鳥越さんは、「急性白血病や悪性リンパ腫など『血液のがん』の多くは、抗がん剤が第一に選ばれるべき治療法だが、肺がんや胃がんのような『固形がん』には、抗がん剤は大した効力はない」とする、慶應義塾大学医学部講師の近藤誠氏の意見を引用して、抗がん剤が“標準治療”だと患者が思いこまされているがん治療の現状をつづっています。
 同時に、本来は抗がん剤の処方は専門である腫瘍内科医が行うべきなのですが、日本ではその腫瘍内科医の数が足りず、外科医が抗がん剤を処方しているという問題点も指摘しています。腫瘍内科医がいるかどうかは、がん治療の際の病院選びの条件に加えた方がいいかもしれません。

■PET診断の抜け穴
 PET診断とは、がん細胞が正常な細胞と比較して3〜8倍のブドウ糖を取り込む性質を利用して、ブドウ糖に近い成分を体内に注射することで、その成分が集まる場所にがんがあると目星をつける診断です。
 この診断は一時期、がん発見の万能の兵器のように言われていましたが、10ミリ未満の小さな腫瘍は補足できないという欠点があります。
 もしPET診断でがんが発見されなかったとしても、ミリ単位の大きさのがんがある可能性は捨てきれないことに注意が必要です。

■「高分化のがん」と「未分化のがん」
 鳥越さんの大腸がんは当初「高分化の腺がん」と診断されていました。この「高分化」という言葉、一見がんが進行していて悪質なように思える言葉ですが、実はそうではありません。
 がん細胞をはじめとした細胞には「分化度」というものがあり、分化度の高いがん細胞ほど正常な細胞の性質を残しているため、悪性度が低いと考えられています。
 反対に分化度の低い(未分化の)がん細胞は正常な細胞から遠い性質をもっているため悪性度が高いのです。

 ステージ4と診断されながらも、がんと向き合い、仕事を続けている鳥越さんですが、本書から、がん宣告を受けた時も、がんの転移が見つかった時も、パニックにならず、落ち着いて現実を受け止めている様子が読みとれます。 
 いざ自分ががんに侵されているとわかったら、死を意識してしまうことは避けられません。
その時にどう振る舞えばいいのか、本書はがんに対する正しい知識を得られるだけでなく、そんなことも私たちに考えさせてくれます。
(新刊JP編集部/山田洋介)


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