夏を制する者は秋も制す−−。例年、力士たちは名古屋場所が終わると、酷暑の東京から逃げるように、チャンコの材料も豊富な北海道や東北地方をまわる夏巡業に出掛けていたが、今年は八百長問題のあおりを受けて、地方巡業が全面中止。
 といっても、東京に居座っているワケにはいかない。部屋単位で、地縁や人脈など様々なルートを使い、それこそ日本全国で夏合宿を張っていた。

 合宿地で最もポピュラーなのが師匠の出身地。千代桜、千代嵐と2人の新十両力士が誕生した九重部屋は、8月上旬から師匠(元横綱千代の富士)の出身地である北海道・福島町にある『千代の富士記念館』に泊まり込み猛稽古に励んだ。
 名古屋場所、新入幕の富士東が活躍した玉ノ井部屋は、先代(元関脇栃東)の出身地の福島県相馬市の常設の合宿所で。ここの稽古場は東日本大震災の津波で水没し、使用不能になったが、関係者の懸命の復旧作業でなんとか使用可能になった。
 「部屋に有望力士を抱える部屋は、出世したときの支援体制作りも兼ねて、その力士の縁のあるところで合宿するケースも多い。八角部屋は、7月下旬から人気上昇中の隠岐の海の出身地の島根県・隠岐の島で初の夏合宿を張りました。宮城野部屋は、大島部屋と合同で横綱白鵬の奥さんの出身地の徳島。なにしろ白鵬は徳島県の観光大使ですから」(協会関係者)

 秋場所、綱取りに挑む日馬富士を擁する伊勢ケ浜部屋も、8月初めから師匠(元横綱旭富士)の出身地の青森で合宿を張った。
 「日馬富士が青森合宿に参加するのは初めて。苦手な野菜不足を補うため、青汁も2杯ずつ飲むなど、毎日、精力的に稽古に打ち込んでいた」(部屋関係者)

 合宿の成果はどう出るか。秋場所は両国国技館で9月11日から始まる。