この連載ではこれまで「ダメ上司」「愛され上司」の実例を挙げ、どのようにすれば「職場力」が向上するのかを探ってきた。「愛され上司」の具体例としては、「まずは任せてみて、進めながらやり方を細かく指導する感覚主導派の上司」や、「肩の力を抜いたユーモア上司」「調整型の上司」などを紹介した。

 今年の新入社員が求める理想の上司像は池上彰さんだということを思えば、上記の条件もうなずけるだろう。体育会系の「モーレツ上司」より、「脱力系上司」の方が好まれるのは、前回のとおりだ。

 一方、これまで紹介してきた事例の大部分は、ある程度の素養や経験が求められるため、誰もがすぐに真似できるものではない。「肩の力を抜いたユーモア上司」もその人のキャラクターに依存する部分が強く、ちょっと間違えば、ただの「だらしない上司」になってしまう危険性をはらんでいる。

 そこで、誰もがすぐにできる手法として推したいのが、前回のラストに紹介した「差し入れ上司」である。「差し入れ」が職場力を向上させる要因としては、「ねぎらい」によるモチベーションアップの効果だけではなく、物を媒介として職場内のコミュニケーションを促進することが挙げられる。

 さらに、これも前回に指摘したとおりだが、重要なのは「お菓子」などの、“ちょっとした小物”をコミュニケーションの媒介として採用することだ。残業が多い繁忙期などに、特別なシチュエーションで差し入れをすることも上司として大切な配慮だが、「お菓子」という誰にとっても身近なアイテム利用することで、日常のコミュニケーションを円滑にすることができる。前回紹介した女性も「高価なものを一点もらうよりは、日々の生活の中で、ちょくちょく“ご褒美”をもらう方が気軽だし、嬉しい」と話していたように、何よりもその「気軽さ」が、部下にとってはありがたいのだ。

 実際に、筆者が以前、勤めていた会社では、お菓子を社員の共有物とみなし、フロアでシェアする文化が自然に根付いていた。取材先から会社に戻ってきた時に机にお菓子が置いてあり、贈ってくれた人を探してお礼を言うという一連の行為を通して、年の離れた上司ともコミュニケーションを取れるようになった経験がある。特に女性が多い職場では、このような風習が定着している職場はほかにもあるのではないか。

 その一方で、「お菓子を職場に持ち込むなんて」と思う男性上司も少なからずいるだろう。会議中、飲み物や清涼菓子程度は許されるものの、食べるときに大きな音が出るお菓子や、においのきついお菓子は敬遠される傾向もある。ただ、職場でお菓子を食べている男性は意外と多い。若い人ほど、その傾向はあるようだ。

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