「フライングゲット」初日売上100万枚のからくり

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 8月24日にリリースされたAKB48の新曲「フライングゲット」は、発売初日に店頭からその姿を消した。初日の売上枚数は100万枚を超え、もちろんこれは歴代一位の記録。恐るべき数字である。

 AKB48はどうしてブレイクできたのか、ということについては様々なマーケターが分析しているが、岡林秀明氏は『ドラッカーの理論が2.5時間でわかる本』(TAC出版/刊)において、AKB48はマーケティングの基本を忠実に貫いていると指摘する。

 ピーター・F・ドラッカーといえば、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』(岩崎夏海/著、ダイヤモンド社/刊)の歴史的大ヒットによってその名が一般層にも広く知れ渡るようになったオーストリアの経営学者である。
 『もしドラ』の主人公であるみなみは、AKB48チームKの峯岸みなみさんをモデルとしていることは有名だが、AKB48自体が、ドラッカーが基本中の基本だと述べる「顧客の創造」を忠実に実践してきたというのだ。

 ドラッカーのいう「顧客」とは、一般的には自社の商品やサービスを買ってくれる人のことだ。そして、商品とは売る品物、サービスとはモノではない商品を指す。新たな「顧客」を生み出していくことができなければ商売や事業を起こしたり、維持、発展したりすることはできない。つまり、顧客の創造は基本中の基本なのだ。
 そうした基本を貫いてきたのがAKB48であり、その結果が「フライングゲット」の大ヒットなのである。

 例えばAKB48のメンバー数は研究生まで含めると約80人の大所帯であり、メンバーの名前全員を言える人はなかなかいないだろう。さらにSKE48やNMB48といった姉妹グループを加えると、数百人規模に達する。
 このメンバーの数が、実はAKB48にとっての大きな武器であり、「ロングテール戦略」を体現していると岡林氏は述べる。選抜常連のメンバーだけでなく、下位のメンバーや姉妹グループ、研究生にも固定ファンがつき、売上アップに貢献できる仕組みを整えているという。また、アイドルの場合、テールの部分から頭角を現すメンバーもいる。代表的な例としては、昨年の総選挙ではチームAの仲川遥香さんが20位となり、初の選抜入りを果たしている。

 この総選挙は、まさに「競争」の場なのであるが、AKB48内部で「競争」というドラマを巧みに演出しているというのも一つの特徴だろう。グループ内での競争を制度化し、個人だけでなく、グループ内のチーム同士、プロダクション同士、さらにはSKE48などの姉妹グループ同士までそれは広がる。
 他にも、ドラッカーが指摘するマーケティングの基本をAKB48はことごとく忠実に行っていると岡林氏は述べる。しかし、こうしたマーケティングの基本を怠ってしまう企業や組織は意外と多い。だからこそマーケティングをしっかりした組織が生き残ることができるといえる。

 『ドラッカーの理論が2.5時間でわかる本』では、他にも阪急電鉄、吉本興業、サーティーワンなどの事例をあげながら、ドラッカーの教えを噛み砕いて説明する。その中で大切なのは基本中の基本をしっかりと行うこと。まさにそれに尽きるのではないだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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