長野県伊那市高遠町は、日本ではまだ確立されていないブック・ツーリズム、本による町起こしが行われている、珍しい地方都市だ。本の町プロジェクト(http://hon-no-machi.com/)と名づけられた試みの一貫として、2009年から連続して「高遠ブックフェスティバル」(http://takatobookfestival.org/)が開催されている。第3回となる今年は9〜10月の2ヶ月が開催期間となる。その週末ごとになんらかのイベントが行われる予定だ。
 先頭を切って9月10、11日に行われるのは「レポ祭」(3日に予定されていた高遠城下まつりは台風のため中止になった)。主催者はライターの北尾トロだ。
 まず10日には、年間購読の通信販売を基本とする雑誌「季刊レポ」の創刊1周年を記念して、執筆陣のえのきどいちろう、乙幡啓子、北尾トロ、下関マグロ、早川舞らが出演するトークイベントが行われる。スペシャルゲストとして「なぜか埼玉」で知られる、さいたまんぞうも出演する予定だ。9月15日に発売される「レポ」5号も会場で先行頒布される。
 11日はミステリー作家・霞流一とライター・杉江松恋が「シャーロック・ホームズの文献」と題し、名探偵を語る催しがある。この両日の内容詳細についてはレポ公式サイトにも詳しい(http://www.repo-zine.com/)。
 また23日には80年代以降に生まれた若いSFファンがゼロ年代以降の国内SFを俯瞰し、伊藤計劃以外の今読むべき作家・作品をお薦めする「現代SFの読み方 国内編」のトークセッションも予定されている。10月の予定はまだ発表されていないが、この他にもさまざまな催しが行われることだろう。以降の詳細は、イベントスケジュール(http://takatobooktown.com/event/)を参考にしてもらいたい。こうしたイベントの他、高遠町の商店や民家の前に本棚を設置する「まちかど本棚」や、有志が在庫を持ち寄って共同で店舗を開く「古本アパートメント」のような展示・販売の仕掛けも行われる。
「本の町」には、「本に興味がなくても楽しめる」「車を置いて歩いて周る町」といった理念も含まれている。町歩きを楽しむ観光と、本を探して周るマニアの気分を両立させるのがこのプロジェクトの狙いなのだ。自分は本が好きだけど家族はそうでもないという人は、この機会に高遠を訪れてみてはいかがだろうか。その結果、1人でも多くの本好きが誕生すれば、これほど素敵なことはない。

(杉江松恋)







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