電子マネーの普及によって変わる未来とは?

写真拡大

 今や、日常生活のどこかで電子マネーを使うシーンが増えてきている。少し前だったら財布から現金を取り出し、例えば電車に乗るときなら切符の自動販売機に小銭を入れて…といった具合だったが、今では「Suica」にチャージしておけば切符を買わずして改札を通れるようになったし、小銭で一杯になった財布を持ち歩かなくてもおサイフケータイなどである程度ショッピングを楽しめるようになった。
 電子マネー――ここでは「スマートマネー」と呼ぶ――の経済圏は、決済方法の進化とともに消費市場の中で拡大し続けている。では、こうしたスマートマネーの発達は、私たちにどのような未来をもたらすのか。

 『スマートマネー経済圏 新版』(野村総合研究所:安岡寛道、田中大輔、木ノ下健 電通:平川健司、石橋英城、小林千波/著、日経BP社/刊)では、スマートフォンと電子マネー、そしてNFC(非接触ICカードに関する世界統一規格)の領域の現在の姿、そして未来の姿を詳細に解説した一冊だ。
 ここでは、本書から、スマートマネー経済圏の未来の姿を取り上げる。

 人々が何気なく使っているスマートマネーだが、実はそこにはたくさんの情報が含まれている。そして、その情報活用することで一人ひとりへの情報提供の仕方が大きく変わるというのだ。

 具体的には位置情報サービスの発達、時間情報、そしておサイフスマートフォンの購買情報をかけ合わせると、様々な新しいサービスの提供が可能になるという。
 例えば、Aさんは、昼間は毎日渋谷にいて、夜は二子玉川近辺にいる。そこから、渋谷がAさんの職場や学校の拠点であり、二子玉川近辺が自宅であると推測できる。朝夕にこの2地点を移動するルート、つまり田園都市線が通勤・通学コースとなる。毎週水曜日は通常のルートではなく、渋谷から自由が丘に滞留してから帰宅している。すると、おそらく習い事など、何らかの用事を定期的にこなしていると考えることができる。
 さらに、実はAさん、毎週水曜は自由が丘のお気に入りのバーに立ち寄っているのだが、そこで仮に毎回、おサイフケータイで決済をしているとなると、時間情報や位置情報に購買情報が付与され、行動習慣が把握される。
 もちろん個人情報保護の観点上、本人の許諾が前提であるが、その情報を活用し、例えば水曜の午後あたりから自由が丘近辺の新オープン店情報やクーポン情報をリコメンドするサービスなど、Aさんに向けて最適な情報を提供するということも可能になるというのだ。
 本書ではさらに先の未来の、身体的特徴を用いた生体認証の可能性や、「顔パス決済」による新サービスにも言及している。

 とはいえ、自分が普段どのような行動を取っているのか、スマートフォンやスマートマネーを使う際に明け透けになってしまうということについて、不安を覚えてしまう人もいるだろう。
 スマートマネーは新しい成長領域として期待されているが、もう一方で、情報の管理についての議論も行われるべきだろう。そういった意味でも、本書はさまざまな視座を与えてくれる一冊だ。
(新刊JP編集部/金井元貴)



【関連記事】 元記事はこちら
女子社員が体を張った“広報”の手法が話題
「フェイスブック」 その落とし穴
誰も情報発信ができる時代に気をつけるべきこと
現代の若者たちはデートをしなくなった?