人気韓国大河ドラマの主人公は本当に実在したのか?

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 日本で大ヒットした韓国の大河ドラマといえばNHKやTBSで放送された「宮廷女官チャングムの誓い」を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。

 このドラマは、朝鮮王朝時代の16世紀前半(日本でいうと室町時代後期)を舞台に、宮廷料理人として腕を奮っていた主人公のチャングムが、陰謀に巻き込まれ島流しにあい、その流刑地で学んだ医術を糧に、宮廷に帰ってのし上がっていくという、いわゆる女性を勇気付ける成功ストーリーとなっており、韓流ドラマの主たるファン層である中高年女性を中心に大ヒットしました。
 さて、この「宮廷女官チャングムの誓い」、歴史大河ドラマということもあり、史実を基にして作られていると思っている人も多いと思いますが、チャングムは実は謎に包まれた人物であることをご存知でしょうか。朝鮮王朝時代の歴史や文化、人物などを教えてくれる『知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の歴史と人物』(康熙奉/著、実業之日本社/刊)から、チャングムの時代について紹介していきます。

■そもそもチャングムは本当に実在する人物なのか?
 李氏朝鮮時代の記録は「朝鮮王朝実録」という官吏によってまとめられた書物に書かれています。さて、この書物の中にチャングムという名前があるかというと、第11代王である中宗の時代のところで、チャングムという医女について10ヶ所ほど触れられているところがあるのです。医者として優秀だったそうで、彼女のおかげで中宗の病気が回復したという記述もあります。
 ただ、チャングムに関わる記述はその部分だけ。彼女がどんな人生を歩んだのかは謎に包まれており、「宮廷女官チャングムの誓い」では医者になる前に宮廷料理人をしていたという設定は、フィクションであると考えることができます。
 著者の康熙奉さんは「ほんのわずかな記述をもとに54話という長編ドラマを仕上げるのだから、やはり韓国時代劇は創作に満ちている」と感嘆しています。

■ドラマの中にキムチが出てこないのはどうして?
 韓国の漬物としてお馴染みのキムチ。唐辛子が使われ、真っ赤な色が特徴的です。
 しかし、「宮廷女官チャングムの誓い」を見ているとあの真っ赤なキムチは全く出てきません。放送時、どうしてだろうと思った人もいるかも知れませんね。その理由は、キムチに唐辛子を入れるようになったのは18世紀以降だから。それまでは日本と同様、キムチは白い漬物であったようです。
 康さんによれば、唐辛子が朝鮮半島に入ってきたのは16世紀末のこと。伝わり方には諸説あり、豊臣秀吉の軍が朝鮮半島に攻め込んだ際に唐辛子が持ち込まれたという説も一部あるようです。そして、それからしばらく経った後にキムチにようやく唐辛子が使われるようになったといいます。

■実は裏側でドロドロの権力闘争が…
 チャングムが仕えた11代王の中宗、ドラマでは良い人物として描かれていましたが、史実では高等官僚たちによる派閥闘争が激しく、何度も粛清の嵐が吹いていたそうです。また、中宗自身も、政治的に挫折することが多く、苦悩の日々を過ごしていたといいます。
 その様子は同じく中宗の時代を舞台とした「女人天下」の方が詳しく、ここでの中宗は「宮廷女官チャングムの誓い」と違い、右往左往する冴えない王として登場しています。

 チャングムがどんなに謎に包まれた人物であろうとも、「宮廷女官チャングムの誓い」の面白さが揺らぐことはないでしょう。しかし、その時代背景や、実際にどのようなことが起きていたのかを知ることで、よりドラマの面白さが引き立つことがありますし、その時代に対して親しみやすくなります。
 本書で描かれている朝鮮王朝は徳川政権のほぼ倍となる約520年の間、朝鮮半島を統治してきましたが、そこで起こった人間ドラマや成功物語は、もしかしたらフィクションよりも面白いと感じるかも知れませんよ。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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