ニッポンの首相は、わずか30万円でやめさせられます

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9月4日付の産経新聞の「主張」はこんなふうにはじまっています。引用しましょう。

「野田佳彦首相の資金管理団体が在日本大韓民国民団(民団)関係者ら在日韓国人2人から計約30万円の政治献金を受けていたことが分かった。またかという思いの国民も多いのではないか」

私も同様に思いました。「またか」と。でも、このテキストと感じ方はちょっとちがっていて、「またか」と思ったのはこの「主張」に対してです。

報道は必要だろう。だが、わざわざ「主張」として取り上げ、問題視するほどのことだろうか? もう公訴時効をとっくに過ぎた古い話だし、今の日本にはこんなことよりもっと大切な問題がたくさんある。少なくともこのテキストが「主張」するように、首相の進退を云々するような問題じゃないだろう、と思ったのです。

政治資金規正法が外国人からの政治献金を禁じているのは、外国人から多額の献金を受けると政治家の行動が外国の意図を帯びたものになる可能性が高いからです。極めてまっとうな規定ですし、必要な規定だと思います。

ただ、この規定、不十分なところがある。「額」の規定がないんです。そのためにおかしなことが起きている。おそらく初めてこの規定への違反が問題となったのが、今年の3月初頭、前原誠司外相(当時)の辞任劇です。

前原氏は在日韓国人の女性から毎年5万円の献金を受けていたことが発覚し、ほどなくして外相を辞任したのですが、まさかやめるとは思っていませんでした。だって5万円ですよ? 外務大臣がわずか5万円で辞任するのか。ニッポン国の外務大臣はそんなに安いのか。

私が日本に対して影響を及ぼしたいと考える悪い外国人だったなら、こんなにおいしい話はありません。わからないように献金しておいて、時期が来たらそれを公表すればいい。かかる経費は5万円、しかもそれは返却してもらえる! ただそれだけで、国会を混乱させ、大臣をクビにすることができます。国会議員全員に献金したって、5万円なら大した額にはなりません。

自民党幹部も「この問題は自民党内部にもあるかもしれない」と語っているとおり(下記リンク参照)、小額献金ならおそらく多くの国会議員が受け取っていると思われます。5万円程度の献金なら、相手の素性を調査したりはしない。調査費用のほうが高くついてしまうからです。ありがとうございます、といって受け取るのが普通の態度でしょう。第一、いちいち身辺調査されたりしたら政治家に献金する人なんかいなくなってしまう。


だから、この規定には「額」の設定が必要なのだと思います。外国人からの献金を問題とするならば、まず手をつけるべきはそこです。そうじゃないと、むしろ悪い外国人の思うツボですよ。わずかな額で国会を空転させ、行政を混乱させることができるんですから。

それに、この点を問題とするならば個人献金だけを議論すべきではありません。外資系企業の献金だって問題にしなければならない。でも、その様子は全く見られません。

外資系企業は、「1.日本法人がある」「2.日本に5年以上上場している」の2条件を満たせば献金できるようになっています。これって、外国人の個人献金は5万円でもダメで、外資系企業なら数千万円でもOKってことです。

今や、古くから日本にある企業だって、会社のオーナーは実質的に外国人ということは普通にある。こうした企業が献金しても「外国人からの献金」にはなりません。この問題にはおかしなところがたくさんあります。

野田首相の問題に話を戻しましょう。

自民党はこの問題を臨時国会で取り上げようと躍起になっているそうです。山本一太参院政審会長は「(外国人献金問題で外相辞任した)前原誠司政調会長と同じだ。臨時国会で徹底的に追及する」と発言した、と報道されています。

でも、これって自民党幹部が憂慮しているとおり、自民党にもかえってくる問題です。そんなことを「徹底的に」やることに意味があるんでしょうか?

自民党がすべきはそこじゃないだろう。前原氏が辞任した震災前ならいざしらず、今は状況がちがう。もっと自民党の存在をアピールできる大切な議題はたくさんあるじゃないか。そっちに力を入れるべきだ。

菅政権の支持率があれだけ下がっても、自民党の支持率は大してあがらなかった。それは、こういうことにばかり目を向けているからではないでしょうか。

民主党じゃダメなんだ、自民党なんだ、といいたいのなら、もっと国会を建設的に運営していいとこ見せてくれよ。野党根性は捨ててくれ。

外国人献金 首相は説明責任を果たせ【産経新聞「主張」】

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110904/plc11090403110002-n1.htm

野田首相:外国人献金問題 自民党「臨時国会が楽しみ」【毎日新聞】

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20110904k0000m010052000c.html

(草野真一)