奥浩哉が週刊ヤングジャンプで連載中のSFアクション漫画『GANTZ』(ガンツ)第32巻が、8月19日に発売された。異星人の情報戦や新たな怪物の登場など盛りだくさんの内容がハイテンポで描かれる。

 この巻も高度な文明を持った巨大な異星人が地球を蹂躙するカタストロフィ編が続く。ガンツメンバーの反撃が始まり、囚われた人々を救出していく。最初は順調に進展したものの、事態は急変する。隠れている人々と合流できた小島多恵にも、新たな災難が降りかかる。異星人と人間の関係は、人間と小動物の関係に近いが、この巻でもアナロジーは健在である。人間が釣りをするように異星人は釣り針で人間を捕らえている。

 この巻でのストーリーの大きな動きは戦争終結の報道である。テレビなどの通信網が復活し、異星人と人類の和平を報道する。その内容は、これまで描かれてきた人類の惨状とは乖離したものであった。読者としては人類を油断させる陰謀と思いたくなるが、多くの人々は和平を喜び、受け入れた。ニュースでは異星人と戦うガンツメンバーをテロリストと報道し、ガンツメンバーは人類からも孤立しそうな雲行きである。

 和平を喜び、異星人の高度な文明を称賛する人々はリアリティに欠ける。異星人の攻撃によって人間は大量殺戮され、インフラは大きく破壊された。普通の感覚ならば恨みや憎しみは残る。しかし、あっけらかんとした人々を描くことで、愛する少女トンコツを殺害された桜井弘斗の復讐心を際立たせる効果がある。

 このように盛りだくさんの単行本であるが、『GANTZ』の特徴はテンポの速さである。これはストーリー展開の速さとは別物である。むしろストーリー展開は遅く、異星人の謎は明らかになっていない。しかし、話の進みは遅いのに『GANTZ』の絵柄には映像作品を観ているような疾走感がある。そのために非常に短い時間で読める作品である。

 これは尾田栄一郎の『ONE PIECE』のように絵が緻密で台詞の文字数も多い漫画とは対照的である。異星人に侵略された人類社会の行く末という大きなテーマを扱いながらも、勢いよく読み進められる『GANTZ』の展開に注目である。

(林田力)

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