世界の金融市場を揺るがしたアメリカ政府のデフォルト(債務不履行)危機だが、これから本当にデフォルトが懸念されるのはアメリカよりも日本である、と大前研一氏は指摘する。もし、日本の国債が暴落し、国家が破綻してハイパーインフレになったら、日本人には何も残らない。では、国家破綻に備えて、個人でどのような対策を講じておけばよいのか? 以下は、大前氏が勧める対策である。

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 絶対にしてはいけないことは預貯金である。銀行が潰れたら消えてなくなるからだ。生命保険や信託なども同様である。タンス預金も円では意味がない。ハイパーインフレになったら紙くず同然だ。

 基本的な対策は三つしかない。一つは、資源国の通貨でのタンス預金である。タンス預金の理由は、これまでの例でハイパーインフレになって取り付け騒動が起きた場合、外銀の支店も閉鎖されてしまうからだ。

 二つ目は、金または金に準ずるコモディティに換えておく。すでに金は1オンス=1900ドルを突破して史上最高値を記録しているが、紙くずになりかねない円よりはよほど安全だ。

 流動性の高い不動産や株でもよいだろう。ハイパーインフレになると、通貨の価値がなくなってモノが高くなる。なかでも不動産はインフレに強い。世界的に見ると東京の不動産は非常に割安になっているので、流動性の高い物件を買っておくのが一つの手だと思う。

 株もインフレには通貨よりも強い。株は会社が創り出す富に裏打ちされている「モノ」であり、まともな会社の株価は、少なくともインフレ率と同じだけ上がるからだ。注意すべきは、国家が破綻したら一蓮托生でダメージを受けるような公共事業比率が高い会社の株ではなく、国家破綻の影響を受けないコンシューマー関係の会社、とくにグローバル化している会社の株を買うことだ。

 三つ目は、自分に投資して「稼ぐ力」をつけることだ。世界のどこでも稼げる能力を身につけておけば、国家破綻もハイパーインフレも恐れる必要はない。

※週刊ポスト2011年9月9日号