宇宙は何によってできているのか?

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 宇宙ができる前のずっと昔、この世は何も無い“無”の状態だったといいます。
 存在しないものを想像することは難しく、なかなかイメージが沸かないものです。しかし、宇宙や、万物の果てしない歴史を考えるほどに、寂しくなったり、ワクワクしたりして心を揺り動かされます。

 『宇宙は本当にひとつなのか』(村山斉/著、講談社/刊)は、自然科学をやさしく紹介することで35年以上も親しまれてきた講談社ブルーバックスシリーズの一冊。本書では、「最新の宇宙理論で宇宙がどのような物質と考えられているのか」を興味深く、そして、ロマンたっぷりに解説しています。

 「宇宙とはなにか?」……なんていうと、科学的な問いにも哲学的な問いにも思えてしまいます。それほど人類にとって、「宇宙」ってわからないものですよね。
 最新の宇宙科学では、「原子は宇宙全体の5%にもならない」ということがわかっているそうなんです。では、残りの96%はなにかというと、「約23%は暗黒物質で、約73%は暗黒エネルギー」だといわれているんです(全部足すと、誤差の範囲で100%になるのだそうです)。

■暗黒物質・暗黒エネルギーとは何か?
 「暗黒物質」「暗黒エネルギー」。
 さながらSFやゲームの世界のようなネーミングですが、一体それらは何なのでしょうか?

 実は、「どうやらそういうものの存在があるらしい」ということで名前は付けられているのですが、その正体はまだ何も分かっていないのだそうです。
 分かっているのは、暗黒物質がなければ、地球も、太陽も、星も、銀河も生まれなかったということ。人間は、暗黒物質のおかげで生まれ、今こうしていられるということです。そして、この暗黒物質は、今この瞬間にも私達の体をすり抜けているというのです。。
 また、最新の宇宙研究の現場では、この「暗黒物質」をつかまえる一歩手前まで来ているそうです。
 今話題になっている仮説としては、「暗黒物質は異次元から来る使者であるという可能性」です。もちろん、SFなどではなく、まじめに議論されている物理学の最新理論「多次元宇宙」というものだそうです。

 一方、「暗黒エネルギー」とは何でしょうか?
 有力な仮説としては、「真空のエネルギー」というものがあります。そして、どうやらこういう働きをするらしいぞ…と考えられていることとしては、「宇宙の大規模構造を引き裂いて、バラバラにしようとする」存在なのだそうです。
 つまりこの暗黒エネルギーの大小が、宇宙存亡の運命を握っているということです。
 暗黒エネルギーは、理論上とても大きなものなのですが、それでも私たちの宇宙が存在していられるのは、私たちの宇宙が、無数の宇宙が生まれては消えるという試行錯誤の果てに、「たまたま」うまく出現した宇宙ではないかと考えられるからです。これが「多元宇宙」という考え方です。
 なんでも、宇宙は10の500乗個も作られたということですが、これは研究者の間でホットなテーマとなっています。
 そして、これが本書のタイトルの『宇宙は本当にひとつなのか』という問いになっているのです。

 「一つ謎が解けると、さらに深い謎が現れる」という宇宙研究。
 しかし、現代のようなハイテク機器がなかった古くの時代から、科学者や、物理学者たちが続けてきた研究の積み重ねが、人類の宇宙への挑戦を着実に進めていると思うと、感動せずにはいられません。
読む新刊ラジオ第1441回/本書のダイジェストを音声で配信中



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