樹木希林さんへの思いを語る内田裕也氏

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 かつて交際していた女性に対する強要未遂などの疑いで逮捕され、のちに起訴猶予処分となって釈放されたロック歌手の内田裕也氏が2011年6月3日、東京・銀座の劇場で記者会見を開いた。会見で内田氏は、妻で女優の樹木希林さんに対する思いを聞かれると「会うと怖い」としながらも、「結婚は一度きり」と離婚の意志がないことを明らかにした。樹木さんが原宿署へ面会に訪れた際には「『いろいろヨロシク!』とワケのわかんないことを言った」とし、その夜は眠れなかったという。

「ロックンロールに免じて、ひとつ勘弁してください」 内田裕也氏謝罪会見全文(1)

 以下、会見での内田氏の質疑応答を全文書き起こして紹介する。

テレビ朝日「ワイド!スクランブル」リポーター(以下、ワイド!スクランブル): 今回(報道を)あまり見ていないとおっしゃったが、(妻で女優の)樹木希林さんが1時間近くにわたってメディアに対応され、そのなかで内田さんのことを守るような発言も多く聞かれた。改めて希林さんに対しての思いというのはどうか。

内田裕也氏(以下、内田氏): まぁ、複雑な気持ちだ。38年間にわたる結婚生活のなかでほとんど同居したことはないが、娘・也哉子を立派に育ててくれて、本木(雅弘)君も内田家に養子に入ってくれた。また孫も3人できるという、これ以上幸せなスタイルはないと思う。それをプライベートなことですべてを破壊してしまって、(家族は)近所に出られない状態らしいし、(孫も)学校で、アメリカンスクールに行っているらしいが冷たい目を向けられることが多いらしい。本当に樹木さんだけでなく、内田家の家族に対しては「すごく心から反省している」というだけでは足りないと思う。ひとつだけ嬉しかったのは、本木君は多くのコマーシャルをやっているが、スポンサーの皆さんに「私が責任を取りますから、いつでも契約を解除してください」と自分から言ったというのを聞いて、「すごく男らしい奴だな」と房内でとても感激したことをおぼえている。

■樹木さんは「頭が上がらないというか、会うと怖い」

ワイド!スクランブル: 希林さんは離婚しない理由について「内田さんの中に純なものがあるからだ」とおっしゃっていた。内田さんが(樹木希林さんと)離婚しない理由とは何か。

内田氏: 僕は「結婚というのは一度きりだ」と。そういう風に親にも教わったし、僕自身カトリックの信者ではないが「結婚は一度だけだ」と固く決めている。いろいろ(自分の側に)欠点はあるが。僕の知り合った頃は、ずっと(自分の)夢の話と希林さんのほうは結構「家庭を守る」ということをやっていくということで、(「家庭を守る」ことは)現実的でなければできないので、お互いもしも(一緒に)暮らしていたら、そういうこと(離婚)になっていたのではないか。(のちに)あちらから「別居してください」という話になった。

 いろんな夫婦の形があると思うが、自分にとっては一番・・・僕が海外に出たくて全米ツアーや、全カナダツアー、全オーストラリアツアーを「サンタナ」とか「フリートウッド・マック」や自分たちの作った(バンドの)メンバーとやったこともある。そういう頃は希林さんもテレビで(ドラマ)『時間ですよ』とかで忙しくて。お互いが一番、夢に向かって走り続けていた頃はあまり家庭というものを大事だとは思わなかった。あちらも病気とかもされたこともあるが、すごく元気なんでとりあえず・・・何を言っているのか(自分でも)よくわからないんですが。頭が上がらないというか、会うと怖い。

ワイド!スクランブル: 一般的に見ると夫婦から外れているかも知れないが、内田さんとしては夫婦である、樹木希林さんを妻だと思っている、と。

内田氏: それは先ほど言ったように、自分は「結婚は一度きりだ」と。築地本願寺で(式を)挙げたが、僕なりにそこで誓ったので。そういうわけで今後一生、僕のほうから「離婚してくれ」ということは絶対ない。

ワイド!スクランブル: 今後、(樹木希林さんと)同居する予定はあるか。

内田氏: え、ちょっと・・・思わぬ質問で。できたら、僕がもうちょっとマジメになって、(樹木希林さんの)うちが(自宅から)タクシーで数メーターくらいのところにあるので、もし向こうがお邪魔でなければ、そういう家族らしき行動をとっていきたいとは思っている。

ワイド!スクランブル: 来世は(樹木希林さんと)一緒にいたいと思うか。

内田氏: いや、まぁちょっと怖いというか・・・。「ロックンロールは怖いものはない」という自分の確固たる信念を持ってやってきたのだが。"来世"は・・・・・・難しいところだ。感謝の念はいっぱいだが、あちら(樹木希林さん)も変わってらっしゃる方なので。どういう風に説明していいかわからない。ただ、結婚情報誌のCMに(自身と樹木希林さんの)2人を使うということは、別居はしていても新しい形の夫婦像として推薦してくれたんだと思う。それを(希林さんは)やった(実現させた)ので大変だと思うが、これから謝罪行脚というかいろんなところに行かなければいけないので、犯したことの重大さというのは・・・。ロック+2(69+2、つまり71歳)のロックンローラーがこういうことを言うのはあれだが、報道を見ていると、IMFの専務理事やアーノルド・シュワルツェネッガーが(女性スキャンダルを起こして)、昨日(2日)も昨日で政治家の方が(報じられていた)。そういう風に世の中がちょっとおかしいんじゃないかなと思っている。とりあえず、「120%内田裕也が悪いんだ」と深く反省している。

■樹木希林さんの番号は「K.Kというイニシャルで登録してある」

中京テレビ: 先ほどおっしゃった「怖い」という樹木さんとは、現段階でお会いできたのか、直接話をされたのか。

内田氏: 一度だけ面会に来てくれた。原宿署では面会は弁護士の金子(稔)先生の1組しか通れないので(金子氏と一緒に来た)。窓を開けて看守さんが見せてくれたら、黒い服で座っていた。一応手錠ははずしてくれるので、牢を出て(面会室の)中に入って。1分くらいお互い言葉がなく、そのあとに希林さんのほうから「謝らないんですか?」とおっしゃった。僕も横に看守さんがついていらっしゃいますから、立ち上がって「いろいろよろしく!」とワケのわかんないことを言って・・・。あとはなんだか俺のなかでは恐怖と反省に満ちて、あまり会話はなかった。20分の面会時間だったが、最後にジロッと(こちらを)見て「それでは失礼します」というものだから、その夜はあまり眠れなかった。それが現実です。まぁ(希林さんが)来てくれてうれしかったです。

中京テレビ: 「謝らないんですか?」と言われるまで謝れなかったのか。

内田氏: 先ほどの(事件の)お相手の方にはちゃんと謝ったつもりだが、(希林さんには)照れくさいというか。どういう感情かわからないが自分から素直に「申しわけない」と言えないところが内田裕也の性(さが)というか。心のなかではとても感謝しているが、表現力が僕はまだ幼稚園児以下だと思う。

中京テレビ: 今回の件で各方面に謝罪があると思うが、何かこれを機に誓うこと約束することはあるか。

内田氏: (今回は不起訴処分となったが)東京地検の方には起訴されれば海外にも行けない、裁判になった場合はけっこう(時間が)かかるんじゃないかと言われていた。僕も房内でお祈りをしたが、こういう寛大な処置を受けた。「これで僕の年齢からいってもロック+2(69+2、つまり71歳)、二度とこういうことはありませんから」と言って原宿署を出てきた。警視庁捜査1課の調べを受け、トップの若い刑事さんから鋭い質問を受けてたじたじだった。僕は真実を述べようと思って、すべて実際に起こったことを供述して供述調書を取ってもらった。

 僕がこれからやりたいのは、最後(署を)出る前に刑事さんのトップにも(同じようなことを)聞かれたが、こう言うと相手の被害者にもあれだが、自分が他の反社会的な犯罪を起こして・・・もちろん(自分がやったことも)反社会的だが(不起訴処分となったので)、「堂々と出て、堂々と今まで決まっていたスケジュールをやりたいと思います」と(答えた)。いろいろと房内で考えた夢はいっぱいある。今、伝えることはできないが。まず最初の僕のアクションは、(6月)11日から13日に前から決まっていた音楽活動を一緒にやっている白竜くんと、日本と韓国のバンドが(韓国の)済州島に集まって、東日本大震災のためのボランティアのコンサートをやる。これにまず出席するので、ビザも申請した。それが社会復帰の第1弾。立派に一生懸命ステージを務めたいと思う。

RKB「今日感テレビ」リポーター(以下、今日感テレビ): 先ほど原宿署でのことはうかがったが、原宿署を出てから希林さんと連絡をとったか。

内田氏: 連絡はありません。こちらからも・・・携帯電話には「K.K」というイニシャルで登録してあるが、一度もかけたことはない。(それまでは)FAXでやりとりをしていた。自分はメールもしないので、アナログ。とりあえず今のところ希林さんからの「連絡待ち」という状態。

■「『監獄ロック』をかけて登場しようとしたら、怒られた」

今日感テレビ: ご自分からは(希林さんに連絡を)しないのか。

内田氏: いや、えっと・・・今ちょっと、こう見えても気は強いが、動揺というか本当あれで。もうちょっと考えさせてほしい。とりあえずこの記者会見が終わって、穏やかに(なってから)。先ほど(登場時に)も『監獄ロック』をかけて出てこようとしたら、「それは絶対ダメだ」と(弁護士の金子稔氏に)怒られまして。あと昨年出した本、(ミュージシャンの)近田春夫君が編集してベスト6に入り、(本の)ポスターもJRの(「交通広告グランプリ 2010」で)グランプリを獲得した『俺は最低な奴さ』。これの(同名の)曲もあるが、「それを歌って出ていきたい」と言ったら、これも金子先生が「それは絶対ダメだ!」と。僕は人からキツく言われたことはないが、記者会見が終わるまではと誓約書であるとかハンコをいっぱい押してきて、「お相手の方の立場とご家族に迷惑のかからぬように」と強く言われていて、僕も心からそう思っている。そういうことで、ぜひお察しいただきたい。

今日感テレビ
: では希林さんには一番何を伝えたいか、何をおっしゃりたいか。

内田氏: 先ほど「どういう風に死んでいくのか」という話があったが、僕はここまで来て身体が動く限り・・・房内でいろんな有名な俳優さん、長門(裕之)さんや児玉(清)さんが次々とお亡くなりになるのを(知った)。また東映の、僕が大好きだった岡田茂(名誉)会長のお通夜にも行って、人間の死というのは本当にあっけないんだなと。俺もいろんな人に迷惑をかけてきたけれども、「あいつはクレイジーだけど、ロックンローラーらしく死んだんだ」というような死に様をしたいと思っている。

 ここからは・・・こういう事件で捕まって。僕も年齢的にあと6年くらいは身体が動くと思うので、1日1日を大事にして、世の中に少しでも貢献できることを。そして最初の夢だったインターナショナルな方向でずっと続けたいと思う。

今日感テレビ
: 今、裕也さんの口から「原宿署に(希林さんが)会いに来てくれて、うれしかった」ということと「これからは家族らしいことをやりたいんだ」と今までないような言葉をおっしゃったようだが、それを希林さんが聞かれたら、どのような反応があると思うか。

内田氏: いま記者会見だから調子のいいことを言っているのではなくて、そんなに僕は(頻繁に)会わないほうがいいと思う。特に若夫婦もいて、子供たちがいますから影響もある。年に1、2度、3度くらい会ってコミュニケーションができればよい。娘・也哉子もかなりお怒りの様子で、なんというか全然コンタクトを取れない状況。(娘婿の)本木雅弘君には「自分が迷惑をかけたけど、君の潔いところには感動したよ」と伝えたいが、今のところはしばらく樹木さんからの連絡待ちで、僕からアクションを起こすということはない。

TBS「ひるおび!」リポーター(以下、ひるおび!): 原宿署を出られたその日に希林さんに会いに行ったとおっしゃったが、(家の前で)手を合わせたとき、どんなことを心のなかでお話しになったのか。

内田氏: 東スポさんかどこかが「(手を合わせたのは)パフォーマンスだ」と書いていたが、まさか記者の人が家の前にいるとは思わない。(自分の)家に寄って何かを取って、まっすぐ自宅から30分くらいで(希林さんの家に)手を合わせに行ったつもり。何もしないで、ピンポンというチャイムは押せなかった。ご近所の方には大変ご迷惑をかけして、報道陣がいっぱいつめかけて。そういう意味を含めてこんなに大きな影響を家族に与えてしまったということで、心から手を合わせた。「勘弁してください。ロック+2があと何年生きるかわからないが、何か素晴らしいことを社会に対し積み上げたいし、自分の素晴らしい映画を作ったり素晴らしいコンサートをやったりと頑張ります。本当に迷惑をかけて悪かったです」という風に心から祈って帰ったつもりだ。

■「家族で会食をして、打ち解けるような時がくれば幸せ」

ひるおび!: 先日の希林さんの会見では「これまで謝ってもらったことは一度もなかった」とおっしゃっていたが、そのような言葉を聞けばもしかしたらお話をしてもらえるのでは。積極的に連絡をされてはどうか。

内田氏: 今はまだ待っているほうが賢明だと思っている。そう「手を合わせた」ということはたぶん、あちらはご存知だと思う。このあとは、いつかは本当は樹木希林さんと也哉子、そして本木雅弘と全員で家族一家で・・・銀座を歩きたいとは言わないが、どこかで会食をして打ち解けるような時がくれば、俺の中で幸せな時間だなと思っている。(署から)出てきたばかりでこんなことを言うのは(被害者の)相手も「何を言っているんだ」という感じだと思うが。よろしく。

ひるおび!: お2人のお話をうかがって、それぞれの愛情を感じたが、やはり希林さんと結婚をしてよかったなと感じるか。

内田氏: 僕は、大変失礼だが自分でまだそういう(樹木希林さんの会見の)DVDとかビデオを全然観ていないので、どういうことをおっしゃったのか(知らない)。なんか「ずっと(独房に)入っててください」とおっしゃったらしいというので・・・。さすがにこの年齢、ロック+2(71歳)で20日間以上勾留というのは体力的にも精神的にもまいってしまって。この会見が無事に終わったら、今日は一緒に(被災地へ)ボランティアに行ってくれたメンバーとビール2、3杯は飲みたいなと思っている。

(「ロックンローラーがロック(鍵)屋を呼んだ」 内田裕也氏謝罪会見全文(3))

(土井大輔)