23日の引退会見で、ハンカチで涙をぬぐう島田紳助(吉本興業東京本社にて、撮影:野原誠治)
 23日午後10時、吉本興業に所属するタレントの島田紳助(55)が、同社の水谷社長と弁護士立会いのもと緊急会見を行い、本日限りで芸能界から引退することを発表した。



 吉本興業の説明によると、平成17年6月頃から平成19年6月頃までの間に、島田紳助と暴力団との間で、一定の親密さをうかがわせる携帯メールでのやりとりがあったことが判明。本人に事実確認を行ったところ、これを認めた。島田は深く反省しており、自ら社会責任をとって引退したいと申し出たため、吉本側は了承。島田紳助は本日23日をもって芸能界から引退することになった。(関連記事:突然の会見に、歌舞伎町が騒然

衝撃のファックス

 会見が行われることを知ったのは、わずか数時間前のことだった。23日19時、島田紳助の今後の活動について」というタイトルのプレスリリースが送られてきた。22時から、紳助が新宿区内の吉本興行東京本部で記者会見を開くというのだ。「今後の活動について自ら説明させていただく」と書かれている。いくらなんでも急すぎる。何か不祥事が起きて芸能界でも引退するのだろうか。週刊誌にスッパ抜かれる前に、自ら発表するというのはありそうな話だ。会場に急いだ我々を待っていたのは、100人近くのテレビ局のカメラマンや記者たち。むせかえるような熱気に圧倒されてしまった。

中継も速報も禁止

 「紳助が会場を出るまでは一切の中継や速報は禁じます」。吉本社員の声が響く。21時すぎに報道陣に新たなペーパーが配られた。「会見後にホームページに掲載されるのと同じ物です」。そこには「島田紳助 芸能活動引退に関するお知らせ」と書かれていた。やはり、引退か。「暴力団との親密な関係」という物騒な文句が並んでいた。
 
 まもなく島田紳助が会場に入場。一斉にフラッシュが焚かれ、緊迫した雰囲気になった。まず、吉本興業の水谷社長から話し始めた。

「このたび島田紳助につきまして、本日限りで芸能活動を引退することになりました。島田紳助について携帯メールで一定の親密さを伺わせる交友関係。8月中旬ごろに外部からの情報が入り、本人に確認しました。島田紳助は違法行為に関わったり、暴力団の活動に関わることもなかったが、高いモラルが要求されるべき立場。厳格な態度で臨むべきという判断に至りました。マネージメント契約の解除を検討していたが、芸能界引退という受け入れることにしました。島田紳助のファンの皆様に深くお詫び申し上げます」(関連記事:吉本興業・水谷社長の会見内容骨子全文

「僕の考え方が間違っていました」涙を浮かべる

 続いて、紳助が自らマイクを手に、時折涙を浮かべながら早口で話し始めた。

「本日をもって芸能界を引退することになりました島田紳助です。もう守るべき物もないわけですから、全て正直にしゃべりたいと思っています。ただし、個人名などを出すと個人のプライバシーなどがあるので、他の人に迷惑をかからないようにしたいので僕の言える範囲の中で正直に話したいと思います。

十数年前なんですけど、自分で解決できないトラブル、悩みがありまして、芸能界をやめようと決意しました。昔からの友人のAさんが、悩んでいるということを知って私の自宅に電話してきた。

ヤクザ組織のBさんを紹介してくれて、僕の悩みを解決してくれたということでした。僕は人として恩を感じました。『芸能界の人間は自分に会わずにテレビで頑張ってくれ』と言われました。僕は心に深く感謝した言葉でした。

『芸能界でテレビで頑張ってくれたのはあのおかげだ』という思いはあった。直接つきあってはいけないと分かってましたので、Aさんを通してメールをして、御礼をいうことはありました。

会ったのは5回だけです。4年半前に自分がバーを開店したときに、お寿司屋でお祝いをしてもらったのが一番最近です。6年前にトラブルを起こしたときに、自宅謹慎していました。『あなたが励ました言葉で頑張れます。僕は心強いですと』と、Aさんを通してメールをしました。

僕の中では『芸能人とそういう業界の方がつきあってはいけない』ということは分かってました。僕も会ってはいけないということは分かってました。私の店にも何度か来られたことはあるようですが、僕自身は頻繁に会うようなことはなかった。僕の中には、この付き合いは芸能界のルールとして違反ではないという意識でした。

日曜日に24時間テレビが終わったあとに、吉本興業から呼び出された。(Bさんと)10数年間でお会いしたのは5回くらいです。でも、『紳助君、それはやってはいけないことなんだ』と言われて、自分の認識の甘さを思い知りました。

芸能界のルールで、友達でも会うことはできない、と。この吉本興業には(芸人が)700人くらいいます。僕もベテランだし、彼らに迷惑をかけるわけにいかない。若い人達に厳しくやってきました。ここ数年間、週刊誌のわけの分からない報道に悩んでいました。ヤクザを使って不法カジノに行っているなんて、そんなことが事実だったら腹を切ります。

週刊誌にはいろいろ書かれましたけど、しょっちゅう会ってるなんてことはないです。最後に会ったのも20分くらいです。ただ、Aさんを介してメールをしたのは事実です。付き合いがないからAさんを介してメールしてたんです。僕の中ではセーフだと思ってましたけど、一昨日アウトだと知りました。

ファンの皆さんを初め多くの方にご迷惑をかけた。自分勝手な引退で本当に申し訳ありませんでした」

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