仕事ができないと解雇される? 社労士に聞きました!

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今年の厳しい就職状況の中、採用が決まってほっとしたのもつかの間、入社後に期待されるだけの成果を残せるのか、不安に思っている学生さんもいるのでは? もしも仕事ができなかったら、企業は「仕事ができない」という理由で従業員を解雇することができるのでしょうか。その原則と実情について、社会保険労務士の森江加代さんに伺いました。

【「仕事ができない」ことによる解雇はあり得る】
「労働基準法では、一定の手続き(30日前の解雇予告や30日分の解雇予告手当を支払う)を経ることによって、会社が従業員を解雇することは可能です。会社には、採用の自由、つまり解雇することが認められている、ということを前提条件として知っておきましょう」(森江さん)。

もちろん、解雇をするには正当な理由が必要であると労働契約法第16条に定められています。いわゆる安易な解雇は、法律上厳しく制限されているのですね。

法令上解雇をしてはいけないケースというのも具体的に定められていますが、「能力不足」はその禁止事項に入っていません。つまり、「仕事ができないことを理由に解雇される」ケースはあり得るわけです。

【会社には、新入社員を育てる責任がある】
しかし、新入社員について言えば、「仕事ができない」という理由で解雇されることは少ないのだとか。

「中途入社は別ですが、新入社員として採用するからには、職務遂行能力が十分でないのは、ある意味当然のこと。会社には、業務がうまく遂行できるように新入社員を育てていく責任があります。企業側にもその努力が必要とされているわけですから、成果を出せないからと言って、新入社員を安易に解雇することはあまりないと言っていいでしょう」(同)。

【「やる気がない」、「協調性がない」、「注意を聞かない」は要注意】
では、新入社員が実際に解雇されてしまうのは、どんなケースがあるのでしょうか。会社の就業規則に記載されている解雇要件のよくある事例を挙げてもらいました。

(1) 精神又は身体に故障があるか、又は虚弱、傷病、その他の理由により業務に耐えられない、又は労務提供が不完全であると認められるとき
(2) 協調性がなく、注意及び指導しても改善の見込みがないと認められるとき
(3) 職務の遂行に必要な能力を欠き、かつ、他の職務に転換させることができないとき
(4) 勤務意欲が低く、これに伴い、勤務成績、勤務態度その他の業務能率全般が不良で業務に適さないと認められるとき

この中で、新入社員が特に要注意なのは(4)。

「たびたび遅刻をしてしまい、いくら注意を受けても改善しない。再三の指導を受けても、上司の指示に従わず、職務の遂行ができない。そういう場合は解雇されてしまう可能性も出てきます」(同)。

一方、営業成績がふるわなかったり、ミスをしてしまったりということがあっても、まわりの助言を素直に聞き入れ、努力している姿勢が見られれば、そう簡単には解雇にならないのだそうです。

【それでも、解雇と言われてしまったら?】
とはいえ、解雇される可能性はゼロではありません。万が一、突然解雇を通告されてしまった場合は、どう対処すればよいのでしょうか?

「なぜ解雇なのか、その理由を明確に伝えてもらってください。経営者側ときちんと話をして、納得できる内容かどうかを確認しましょう」(同)。

解雇の理由に納得が行かない場合には、労働基準監督署に相談するという手もあります。労働基準監督署では、希望すれば、相談した事実やその内容を会社に知らせないような対応もしてくれます。でも、その会社に残りたい意思があるのなら、労働基準監督署に話を持ち込むのは避けた方が賢明。会社と直接よく話し合った上で、自分の何が問題にされているのかを理解し、改善する意欲を見せることで、解決の道を探った方がよいそうです。

話し合いの結果、どうしても納得できない理由を挙げられるようであれば、その会社に残ることは、自分にとってもマイナスになってしまいます。「そうなってしまったら、そこで何を反省し、次にどう活かしていくかという自分自身の問題として考え、前向きに次のステップに進んだ方がいいでしょう」(同)。

【会社から解雇されないための、新入社員の心得】
「企業は、売上や利益を上げることで成り立っています。新入社員は、会社にとっては先行投資のようなもの。自分は何のために採用されたのか、会社のために自分がどのように貢献できるのかを考えて、仕事に取り組むことが重要です。そのためには、前向きに勉強し、上司の指導を素直に受け入れ、誠実に業務を行っていく努力をしなくてはなりません。組織の中では、協調性を大切にすることも忘れないでほしいと思います」(同)。

自分に与えられた社内での役割を理解し、誠実に取り組む気持ちがあれば、そう簡単に解雇される心配はないということ。必要以上に不安がることなく、社会人としての自覚と自信を持って、「なくてはならない人」と言われるようになりたいですね。

取材協力者:社会保険労務士 森江加代氏
ミネルバ社会保険労務士事務所代表。幅広い業種でのマネージメント経験や、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナーとしての知識を生かして、中小企業の人事・労務コンサルティングから、個人のライフプランの支援までトータルにサポートしている。
http://profile.allabout.co.jp/pf/morie/

文●永井祐子(エフスタイル)

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