次期民主党代表にふさわしいのはゴースト候補者!?

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共同通信が2011年8月20〜21日におこなった全国電話世論調査の結果がわらえる。

「『大連立』支持は19% 次期首相、前原氏トップ」(共同通信、8月21日付)という記事によると、「菅首相退陣後の政権の在り方について『政策ごとに与野党が連携、協力する』が66.5%で最も多く、『民主、自民両党の大連立』は19.7%、『今のままの民主党政権』は5.5%」となっている。

たしかに、民主党に政権を任せておくのは不安である。2009年8月末の「政権交代選挙」で自民党から政権を奪取してから、まだたったの2年だ。1993年の細川内閣を除き、1955年から脈々と続いてきた自民党政権によって築かれた諸制度と、同党によって育まれた官僚システムはそう簡単には変わらない。

マニフェストで示したような「変えよう」という意志はすばらしい。でも、その意志を実現することがどれだけ困難なのかということを、この2年で民主党は私たちに教えてくれた。そして、東日本大震災と福島第一原発事故である。不安定な政権運営をおこなう最中に未曾有の災害に見まわれたのではたまったものではない。そんな民主党を見て、不安だと思う人が数多くいるのは当然のことであろう。

かといって、民主党と自民党が連立することに納得がいかない気持ちもわかる。国民は、もはや自民党ではダメだと判断したから民主党を選んだ。ここで自民党が政権に復帰してしまったら、時計の針をダメな時代に戻すことになってしまう。だが、ねじれ国会が続けば、震災や原発事故に対処するために必要な法案も野党が反対すれば通らなくなってしまったり、無駄な時間を費やすことになる。そうなると、「政策ごとに与野党が連携、協力する」のはもっとも現実的な路線になると思う。

わらえるのは、ここから先である。「後継首相となる次期民主党代表に『誰がふさわしいか』」との質問に、「前原前外相が28.0%でトップとなり、2位の枝野官房長官11.0%、3位の岡田幹事長10.9%を大きく引き離した」というのだ。誰が「ふさわしいか」という質問なのだから、選ぶ人物が代表選に立候補していようがしていまいが構わないのはわかる。とはいえ、トップ3のうち1人は調査中に出馬の見方が強まっている人物で、2人は代表選に出馬しないことを明言している人物なのだから、なんともいえない。

ずっと立候補を見送っていた前原氏が代表選への出馬を決めたことが報じられたのは8月21日の夜のこと。調査の電話を受けたときに、どれだけの人がそのことを知っていたのだろう。また、「岡田、仙谷、枝野各氏は代表選に立候補しないことを確認」(朝日新聞、6月9日付)と報じられているように、枝野氏と岡田氏は出馬しない。いわば、21日の時点では「ゴースト立候補者」ともいえるそんな3人を次期民主党代表にふさわしいというのは、なぜなのだろう。

まず、調査の回答者が現実逃避していることが考えられる。代表選に向けて何人かの議員が立候補しているようだが、ろくな人物がいない。それよりも、立候補していない人で適任者がいるではないか、と。もうひとつの可能性は、野田氏や馬淵氏、小沢(鋭仁)氏、樽床氏、海江田氏、鹿野氏など、立候補している議員のことをほんとうに知らない、もしくは彼らが認識されていないということだ。

前者ならまだしも、後者だったら悲しすぎる。いずれにしても、代表選に立候補する議員のそれぞれが日本のこれからについて「どんなことを考え、どんな政策を進めていくのか」が不明なまま代表選が進められていけば、国民の民主党への不信はさらに深まることが予想される。なんといっても民主党代表は、内閣総理大臣になる人なのだから。

(谷川 茂)