いま、「伊集院静」の名前を多方面で聞くことができます。伊集院さんは、『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞を受賞すると、直木賞、柴田錬三郎賞、吉川英治文学賞など、多くの賞を受賞した作家です。そんな伊集院さんの「声」に耳を傾けようとするのは、たんに伊集院さんが仙台の自宅で執筆中に東日本大震災に遭遇し、「被災地の作家」としてメディアで注目されたからではありません。

 「多くの人が東日本大震災を目の当たりにし、当たり前だった生活がいかに脆く、かけがえのないものであったのかと気付きました。一瞬で既存の価値観が崩壊し、風景の一変した荒野に自らの足で立つことを迫られたとき、とくに若い人が伊集院静という"大人"の存在を改めて発見したのではないでしょうか」と、書籍『伊集院静』の編集人・石井一成氏はいいます。

 同書は、伊集院さんの様々な"声"を結集した現時点での決定版。老若男女から寄せられた様々な悩みを、伊集院さんが一刀両断する『週刊文春』の人気コラム「悩むが花」もおさめられています。

 例えば、35歳の女性からこんな悩み。「結婚したいのですが、集まってくる男はみんな気弱で、私より仕事ができない奴ばっかり。どうすれば頭のキレる素敵な男性に出逢えるのでしょうか」

 それに対し伊集院さんは、「君がそんなに仕事ができる上に強い女なら、君より仕事ができて、君より強い男と結婚したら大変なことになる。君は妥協をしない女だろうから、自信満々の男と暮らしたら、すぐに相手のダメなところが見えてしまい、それを直そうとしても相手の自信家はおそらく折れてくれない」と、破局が目に見えているといいます。

 また、強い男で仕事がバリバリできる相手だと従順になれるとしても、それは初めの内だけだともいいます。「君は男を一目みてその能力を判断できる立派な目を持っているのだろうから、どんな相手でもその男のダメなところを見つけ出してしまう」と。

 完璧な男はこの世に存在しないから、「もし、完璧を求めるなら、結婚なんかしない方が良い」というのが伊集院さんの考えです。「頭が切れる男と評判の奴くらいつまらない男はいない。"頭が切れる""カミソリみたいな頭"と言われてる男は自分以外の男を皆グズだと思ってるんだから。そんな傲慢な奴がいかに鼻持ちならないかは、少し社会で人間を見た者なら誰でも知っている」と忠告し、最後に「どっちにしても今の君はツマラン女だよ」とも残しています。

 "今の"と含みをもたらせるあたり、伊集院さんから"大人"の優しさが感じられます。



『作家・伊集院静が大人のアドバイス「完璧な男はこの世に存在しない」』
 著者:
 出版社:文藝春秋
 >>元の記事を見る





■ 関連記事
『日本初「大きいサイズ専門の婦人服店」 成功の秘密は店員の体型にアリ』(2011年8月8日09:00)
『浅田次郎や武井咲、ドラえもんが被災地への想いを記したしおりを発売』(2011年8月7日13:00)
『なでしこ監督は本気だった、今年1月の書籍に「世界一」の言葉』(2011年8月7日09:00)


■配信元
WEB本の雑誌