中国人富裕層向けの「マルチビザ」で沖縄が乗っ取られる?
福島第一原発の放射能漏れ事故による風評被害から、震災以降、日本を訪れる外国人観光客の数は激減した。そんななか、中国では「沖縄マルチビザ」なるものが話題になっているという。
この「沖縄マルチビザ」は、中国人の観光客を増やすため、外務省が7月1日から新たに発給しているビザの通称。中国人の富裕層(年収約25万元/日本円で300万円強)を対象とし、1度の発給で3年以内なら何度でも日本に訪れることができ、1回の滞在は最長90日間。年間では180日間までで、初回の滞在時に最低1泊以上、沖縄県内で宿泊しなければならないという点が義務付けられている。
中国人にも人気が高い観光地である沖縄を起点に、もっと多くの中国人観光客を訪日させようという狙いがあるこのビザだが、実は受け入れ側である日本人にはあまりアナウンスされていない。もちろん中国人向けなのでその必要もないのだが、中国人観光客が押し寄せる沖縄にとっては、話は別。中国人向け団体ツアーの添乗員を務める陳氏はこう語る。
「中国人はあらかじめ簡単な日本語を覚えてくる人が少ないです。中国語で通し、通用しないと不機嫌になったりします。だから、沖縄側の準備不足が心配です。先週、私が那覇に行った限りでは、看板の中国語表記も全然間に合ってないし、お店の店員さんも中国語で価格交渉さえできません。これはマズイですよ」
このマルチビザは昨年末には水面下でゴーサインが出ていたという。だが、震災の影響で一時棚上げ。そして5月下旬に閣議決定され、7月1日の運用開始が決定した。準備期間がたった1ヶ月では、中国人観光客を受け入れる地元の対応などできるはずもない。
「せっかく来てもらっても、いろいろな場面で不自由な思いをさせてしまったら、2度目は来てくれない。これじゃあ長期的な振興策にならないんです。場当たり的な政策ばかり行なう民主党政権には、沖縄中がウンザリしていますよ(怒)」(沖縄商工会議所関係者S氏)
さらに陳氏は、次のような“危険”な未来予想図も披露する。
「中国は“ワイロ文化”です。よって今後考えられる展開は非常にシンプルです。中国人添乗員の多くは、キックバックをもらえるお土産物屋さんやレストランに団体客を連れていきます。東京ではすでに、中国資本の“そういった”お店が銀座、新宿、秋葉原、お台場にそろっていて、皆そこにツアー客を連れて行く。そうすれば言葉の問題も同時にクリアとなります。そればかりか、沖縄でも今後、バスもお土産物屋もレストランもホテルも、すべて中国資本になってしまう可能性があります」
日本、そして沖縄の観光振興として導入された「沖縄マルチビザ」。これが中国資本による“沖縄乗っ取り”の発端にならないことを願うばかりだ。
(取材/菅沼 慶)
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この「沖縄マルチビザ」は、中国人の観光客を増やすため、外務省が7月1日から新たに発給しているビザの通称。中国人の富裕層(年収約25万元/日本円で300万円強)を対象とし、1度の発給で3年以内なら何度でも日本に訪れることができ、1回の滞在は最長90日間。年間では180日間までで、初回の滞在時に最低1泊以上、沖縄県内で宿泊しなければならないという点が義務付けられている。
「中国人はあらかじめ簡単な日本語を覚えてくる人が少ないです。中国語で通し、通用しないと不機嫌になったりします。だから、沖縄側の準備不足が心配です。先週、私が那覇に行った限りでは、看板の中国語表記も全然間に合ってないし、お店の店員さんも中国語で価格交渉さえできません。これはマズイですよ」
このマルチビザは昨年末には水面下でゴーサインが出ていたという。だが、震災の影響で一時棚上げ。そして5月下旬に閣議決定され、7月1日の運用開始が決定した。準備期間がたった1ヶ月では、中国人観光客を受け入れる地元の対応などできるはずもない。
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(取材/菅沼 慶)
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