35度以上の猛暑日が続く首都圏。だが、節電のため家庭・オフィスともに室温を例年より高めに保っているところがほとんどで、多くの人がうだるような暑さをじっと耐え忍んでいる。そんななか、異常なほど大量発生している生き物がいる。ゴキブリだ。

 某製薬会社で殺虫剤の開発に従事する研究者のA氏は、「株価に影響するので、あくまで個人的な見解として……」と、匿名を条件に次のように語る。

「(ゴキブリが大量発生する理由は)ズバリ“節電”だと思います。特に都市部では、ゴキブリなどの不快害虫が室内で“避暑”しているんです(笑)」

 どんな過酷な環境にも耐えられると思われがちなゴキブリだが、実は暑すぎるのは苦手。真夏に長時間アイドリングしているクルマが虫に覆われたという話がたまにあるが、それもエアコンの涼しさを求めて窓に張りついているんだとか。ただし、涼しすぎてもよくないのだともA氏は言う。

「冷房のしっかり効いた24度程度の室内は、適正温度が25から30度の彼らにとっては人生、いや虫生の終焉を予感させる“秋の空気”。長居する場所ではありません。ところが、節電のため今年の平均設定温度は28度。虫たちの“人工繁殖場”ともいえる超快適な環境なんです」(A氏)

 実際、東京では平均気温が25度に達する6月からゴキブリ用の殺虫剤類が店頭に並び、25度を下回る9月末で一斉に消える。そして、今年の売れ行きは「絶好調!」だと大手ドラッグストアチェーンのB店長。特に医薬品の強力タイプと、ジェット型の遠くまで届くスプレーが大人気で、多めに仕入れても夕方には売り切れてしまうそうだ。

 東京のゴキブリ駆除専門会社「アルバトロス」の佐藤久社長も、ゴキブリ大量発生の理由に“節電説”を挙げる。

「現在、日本にいるゴキブリは、ヤマトゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、チャバネゴキブリ、キョウトゴキブリなどで、確かにいずれも28度は繁殖に最適です。いつもより多く見かけるというのはそれが理由かもしれません」(佐藤社長)

 節電に励む日本人に、思わぬ障害発生だ。

(取材/近兼拓史)


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