カウボーイの愛称を持ち、常にカウボーイハットを着用しているドナルド・セラーニ。日本で行われていた金網大会ケージフォースに来日経験もある

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UFC初進出となるウィスコンシン州ミルウォーキー大会。14日(日・現地時間)にブラッドリー・センターで開催されるUFC Live「Hardy vs Lytle」は、セミでジム・ミラー×ベン・ヘンダーソンというライト級の実力者対決が組まれているが、もう1試合、メインカードで実現するドナルド・セラーニ×シャーウス・オリヴェイラもマニア垂涎、見逃せないマッチアップだ。

今年1月から始まったWECライト級ファイターのUFC参戦。当初の予定では、世界一の層を誇るUFCでは苦戦を強いられるという見方が強かったが、それぞれが予想以上の結果を残している。

そんなWECライト級勢をリードするのが、セラーニだ。WEC時代は結局、世界王座にも暫定王座にも就くことができなかったセラーニだが、ファイト・オブ・ザ・ナイト獲得5度という看板を引っさげ、UFCに移ってきた。そして、緒戦となったポール・ケリー戦で早くもファイト・オブ・ザ・ナイトを受賞し、現在2勝0敗という結果も残している。

アップライトの構えで、鋭いジャブや蹴り、ヒザを駆使する打撃系だが、キャリアの序盤はテイクダウンされることを想定して戦っていたのか、ガードからの極めも強い。WEC時代からファンの支持は圧倒的に高く、本人もソレを自覚してかUFCファイター以上に普段から見られることを意識した社交性を持ち合わせていた。

そんなセラーニと対戦するオリヴェイラは、6月のニック・レンツ戦で勝利まであと僅かというほど追い込みながら、勢い余ってグラウンド状態のレンツにヒザを見舞い、ノーコンテストという結果に終わっている。レフェリーが見逃したこともあり、そのまま攻め続け最後はリアネイキドチョークでタップを奪っていたオリヴェイラは、意気揚々とヒザ蹴りを鼓舞していたが、ファンのブーイングを受け、自らが反則を犯したことに気付くと、見る見るうちに顔が強張っていった。

ミラー戦で足関節による一本負けと、ノーコンテスト、低空飛行に入ったかのようなオリヴェイラだが、21歳の彼はエジソン・バルボーザと並びブラジルMMA界期待のライト級ファイター、そのポテンシャルは凄まじく高い。

サンパウロのファベイラで育った彼は、叔父のつてで月謝なしで柔術を始めた。師匠ホジャー・コエーリョの下で、ジェベニウ時代から目覚ましい結果を残したオリヴェイラは、CBJJE系のムンジアルで紫帯時代に準優勝という結果も残している。07年からMMAに進出、2010年にキャリアアップを図るためにゴドイ・ゴールド・チームに移籍、14連勝ののちUFCデビューにこぎ着けた。

柔く滑らかな身のこなし、そして抜群のスピードを持つオリヴェイラは、ノーコンテストに終わったものの、レンツ戦では打撃でも成長の跡を見せている。パンチを交換する経験値は、セラーニの方が高いものの、打ち合いを好む傾向もあり、その点をつけばスムーズにテイクダウンを奪うことも可能だ。

グラウンドは互いにガードファイターの印象が強いが、セラーニのガードワークは上半身への攻めに特化している完結系の技術で、リバーサルや他の攻撃手段につなげるための繋ぎのガードワークを持つオリヴェイラの方が、引き出しは多いか。

その一方で、セラーニがグレッグ・ジャクソン直伝のスコアリングに徹し、打撃でジャブを入れテイクダウンをディフェンスするのに集中すれば、オリヴェイラは打撃で攻勢に出る必要が生じる。いずれにせよ、スコアリングに徹しきれないからこそ、セラーニは名勝負男の地位を獲得してきた。よって、この一番もスピーディかつアグレッシブな試合が予想され、ファイト・オブ・ザ・ナイト候補筆頭だ。