新青森駅から鹿児島中央駅、鈍行で行くと何日かかる?

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 今年3月12日に博多・鹿児島中央間を結ぶ九州新幹線(鹿児島ルート)が開業。102分で九州を北から南まで縦断できるようになった。また、昨年12月には東北新幹線の新青森・八戸間が開通したため、新青森から鹿児島中央までのおよそ2000キロが、新幹線でつながったことになる。

 講談社から出版されている『新幹線のたび はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断』(コマヤスカン著)は、青森から「はやぶさ」「のぞみ」「さくら」を乗り継いで鹿児島のおじいちゃんの家まで行くはるかちゃんとお父さんを描いた創作絵本だ。
 東北、東海道、九州、この3つの新幹線を乗り継ぐと、だいたい約12時間で鹿児島中央駅に到着することができる。この絵本を見ていると、(路線は違えども)本当に本州から九州を新幹線で縦断できるようになったんだなあと実感するのだが、同時に「これまでは移動にどのくらい時間を費やしていたのだろうか」という素朴な疑問も浮かぶ。

 というわけで、この新青森駅から鹿児島中央駅を他の手段で移動すると、どのくらい時間がかかるのか試算してみることにした。
 まず、東北新幹線、東海道新幹線、山陽新幹線、九州新幹線の合計距離なのだが、計算の結果、実測キロは2000.8キロメートルとなった。ちょうど2000キロと考えればよいだろう。もちろんその間には高低差や障害もあるのだろうが、今回はその部分は割愛し、この2000.8キロを基準数値とし、いろいろな移動手段を当てはめていく。

(1)徒歩(時速4キロメートル)
 まず、歩いたらどのくらいかかるか。人間が歩くスピードはだいたい時速4キロ前後とされており、単にこの数字を2000.8キロに当てはめると、21日間という答えになる。
 しかし、これは1日24時間歩きっぱなしと仮定した上の答え。24時間ずっと歩いているのは不可能なことだ。では、1日8時間の歩行ではどうか。すると、63日間ということになる。徒歩で日本を縦断するのに9週間は必要なのだ。新幹線がいかに速いか、よく分かるだろう。

(2)マラソン世界記録(時速20.42キロメートル)
 マラソンの世界記録保持者は、エチオピアのハイレ・ゲブレセラシェ氏が2008年にベルリンマラソンで記録した2時間3分59秒。これを時速に換算すると20.42キロメートルとなる。
 さて、このスピードで走ると、どのくらい時間がかかるだろうか。計算の結果、丸4日間という数字が出てきた。ただし、これも丸24時間走り続けた前提のもの。1日8時間走るとすると、13日間である。マラソン世界記録保持者が最高スピードを持続できたとしてもこれだけの時間だ。

(3)馬の最高速度(時速90キロメートル)
 江戸時代、馬に乗って移動できることが出来た人は限られた身分の者だけだったそうだが、それでもつい150年前まで馬で移動していた人が数多くいたということなのだから、ちょっと信じられない。
 そんな馬の最高速度は、Wikipediaの「速さの比較」のページ(2011年7月8日確認)によれば、時速90キロメートル。このスピードで計算してみると、だいたい22時間ちょっと、ぎりぎり丸1日かけずに到着することが可能だ。しかし、やはり新幹線の速さには敵わない。

(4)リニアモーターカー(時速500キロメートル)
 東京・名古屋間をわずか40分で結ぶという「中央新幹線」。その正体はリニアモーターカーだ。その最速はなんと時速約500キロ。2000.8キロをわずか4時間で結ぶ計算となる。もし実用化されたら、現在の新幹線もだんだんとこの「リニア新幹線」に代わっていくかも知れないが、それはいつになるのだろうか…。

(5)鈍行列車(「青春18きっぷ」を使って旅をする)
 夏休み、JRの普通列車・快速列車が一日乗り放題となる「青春18きっぷ」を使って、日本全国を周遊しようと考えている人もいるだろう。
 では、そんな普通列車・快速列車、いわゆる鈍行を使って新青森から鹿児島中央駅まで行こうとすると、どのくらい時間がかかるのか? 時刻表をパラパラとめくってみると、なんと3日間にも及ぶ大旅行になることがわかった(*ただし「ムーンライト」は使わないこととする)
 1日目は新青森駅6時48分発奥羽本線に乗り、順調に行けば翌日0時37分に沼津駅までたどり着くことができる。駅での待ち時間は、最大で東海道本線戸塚駅の約1時間だ。(*注)
 2日目は沼津駅を5時に出て、太平洋をながめながら西へ。近畿地方の中央、そして中国地方を一気につっきって九州に到達する。北九州市の小倉駅には0時3分に到着予定となる。
 最終日。新幹線ならばすでに2往復目に入っているだろう。小倉駅を朝4時51分に出ると、博多駅、熊本駅を経て、八代駅へ。ここから肥薩線に乗車して人吉駅、隼人駅を経て目的地の鹿児島中央駅へたどり着く。八代駅から鹿児島中央駅までJRの鈍行で行くとおよそ6時間かかるのだが、新幹線ならば鹿児島中央駅と新八代駅がおよそ47分。とんでもない遠回りをしなければいけないのだ。

 このように、様々な移動手段と比較すると、新幹線の速さが際立つのではないか(リニアモーターカーは別格だが)。

 この『新幹線のたび はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断』でも、朝「はやぶさ」に乗ったはるかちゃんとお父さんが、新幹線の車窓から見える日本の風景を楽しみながら、夕方から夜になる頃には鹿児島駅に着き、おじいちゃんたちと再会する様子が書かれている。
 この夏、子どもを持つ親は国内旅行に出かける際に、この絵本とともに出かけてみてはどうだろう。絵本を読んだ子どもが、今まで気づかなかった風景を教えてくれるかも知れない。
(新刊JP編集部/金井元貴)

*注:(5)の1日目について、八戸駅から盛岡駅間は青い森鉄道およびIGRいわて銀河鉄道を使うルートを使って算出されており、その路線部分は運賃2960円がかかります。混乱を招いてしまったこと、読者の皆様にお詫び申し上げます。


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