気軽に星の写真が撮れる『PENTAX O-GPS1』

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PENTAXが6月にリリースした『O-GPS1』。ただのGPSユニットであるならば目新しいものでもないのだが、これにはアストロトレーサーという機能がついている。内蔵されている手ブレ補正システムを日周運動をトレースする方向へ活用するなど、まさに発想の転換を行ったシステムである。

※以下、撮影した天体画像を掲載しております。 配信先でご覧の方はこちらをクリックしてガジェ通サーバー上の記事をご覧ください。

さて、のっけから言い訳するのはイヤなのだが、風景写真を撮るコツは「そこにいること」ということを聞いたことがある。星を撮影するというのは当たり前だが、場所も重要だし、プラス非常に天候に左右される。さらにタイミング。月が明るいところでは星は隠れてしまうし、月がないからと言って雲が出たり雨が降ったりしてしまえば、また見えない。さらに日本には光害という問題もある。昨今節電が行われていることにより多少星も見やすくなったか?と思うが、それも気休め程度で、東京の夜空はまだまだ明るい。東京・渋谷では1977年を最後に天の川を肉眼で見られなくなったそうだが、節電を行っているはずの今年ですら、これも見えないのだ。

そこで最初はこのシステムをアメリカはフロリダ州オーランドへ持って行った。最後のスペースシャトルの打ち上げ取材に同行させて、ついでに星夜写真を撮りレビューしてしまおうという一石二鳥的な甘いもくろみ。スペースシャトルは無事打ち上がったのだが、非常にフロリダは天候が悪く、連夜の雷雨などでまったく星なぞ見られなかった。その後日本に帰り写真を撮ろうとしても今度は月が明るい。満月前後の空は晴れ上がっても、せいぜい二等星しか見えないのだ。その後迷走した超大型台風6号(マーゴン)のせいでずっと天候がよくない。

そんなこんなで機材の貸出期限がせまり、なんとか台風が過ぎ去った7月22日金曜日に富士山へ出かけた。またもここで不運だったのだが、最初は富士山スカイラインを登り、富士山の五合目(富士宮口)で撮影をしようとしたが、なんと富士山スカイラインが金曜日の17時からマイカー規制。今まではお盆の前後10日間だったはずが、週末も規制されてしまった。到着したのが18時だったので入ろうと思っても入れない。須走側も同じ規制が入っている。苦渋の選択として、御殿場口(新五合目)で撮影を行うことにした。こちらの方が東側にあり、標高も低いのだがやむを得ない。

なるべく駐車場の端に位置して他のクルマなどの影響を受けない位置を確保する。またキャリブレーションのことを考え、建物やクルマから十分に距離をとる。

と長い前振りをして申し訳ないが、それだけ星を撮影するというのは準備とタイミングが重要なことをわかって欲しかった。というか準備に失敗したのでその言い訳をしているだけなのだが。

さて、このO-GPS1のスペックを見てみると、アストロトレーサーが使えるのはK-rとK-5。このうちK-5で使う方がトレース時間は長い。200mmで赤緯0°(つまり天の赤道付近。一番動きの速いところ)を110秒も追尾できる。これだけあればそれなりに星座も天の川も写し込めてしまうだろうし、球状星団や明るめの星雲なら十分だろうな、と想像できる。

今回は、K-5とsmc PENTAX-DA18-135mm F3.5-5.6EDレンズの組み合わせで撮影した。もっとよいレンズ、DA★16-50mmF2.8EDなどがあるのはわかっているが、あえてレンズキットで買えるリーズナブルなシステムでどうなるのかとレビューしたかったためである。

K-5システムとO-GPS1以外に必須なものは三脚。これはある程度しっかりした三脚を用意するべき。微風でも揺れてしまうような三脚では星がシャープに写らない。この他、星座を調べる星座早見盤、今ならスマートフォンなどのプラネタリウムソフトでもいいと思うが、これらがあれば便利だ。また、真っ暗なところで手元を照らす照明。これも携帯電話で代用可能だが、明るすぎるのでできれば赤い低照度のLEDライトなどを用意したい。

撮影をして一番最初に思ったことはフォーカスが合わせづらい。オートフォーカスは暗いので無理であるし、明るい星をファインダーで見てもなかなか見えない上に、見えたとしても広角でマニュアルフォーカスしても心許ない。この点、K-5はライブビューがあるのでそれを活用してフォーカシングした。ただ、最初の写真は大失敗である。

これは、感度を高くしすぎたこと、露出時間も長いということもあり、さらにフォーカスの甘さも加わって大失敗してしまった。

再度フォーカスを取り直し、露出時間・感度ともに下げて撮影したのが次の写真。

これによりだいぶ星夜写真らしくなってきた。しかしながら三島や沼津の光が下側に入り、どうしてもカブってしまう。また、フォーカスはいいとしても、日周運動のトレースがちょっとズレているようだ。写真に写っている流れ星のようなものは、飛行機の軌跡である。富士山近辺は飛行機がたくさん通過するので、夜半過ぎにならないと飛行機ばかり写ってしまう。

O-GPS1には精密キャリブレーションの機能があり、設置したあとにカメラを三軸方向で各180度回すことにより現在の位置やどちらを向いているのかを精密に測定して、日周運動のトレース精度を上げるようになっている。これはレンズの焦点距離によっても変わるようで、またカメラの方向を移動した際にも再度キャリブレーションをした方がいいらしい。

このキャリブレーションがなかなか成功しないのが、ちょっと困ったところである。また持って行った三脚はカメラをクイックシューでつけるタイプではないので三脚に固定したままカメラを振り回す。その姿を人に見られたら滑稽だよなあと思いつつ、一生懸命キャリブレーションするのであった。

次に、少し絞って北西の空を撮影。富士山を入れてみたかった。北斗七星の柄の部分から春の大曲線を描いている。やはり絞った方が星像はくっきりする。星の動きに合わせているため、山はブレるわけだ。

北斗七星と北極星
蠍座と天の川
焦点距離を少し望遠側に伸ばしてみた。中心付近は別として、周辺に行くに従い収差のようなズレが出る。
天の川方向
この後、雲が全天を覆ってしまい残念ながら撮影ができなくなった。天気予報では夜半まで晴れるとの予報だったのだが、山の天気は変わりやすいためこういったことも多々あるのはやむを得ない。また薄雲が多いため露出時間・感度とも上げるとカブる写真ばかりになってしまった。また、撮影には当たり前だが時間がかかる。通常はカシャカシャと撮れる風景も、星夜写真はそうも行かない。キャリブレーションしてフォーカシングし、そして露出時間は3分程度はかかるわけだ。一時間にどんなにがんばっても、10枚程度撮影できればいいだろう。しかも最初のうちは綺麗に撮影できず試行錯誤するのでさらに撮影枚数は低下する。その分余裕を見て、天気もチェックして撮影に臨む方がよい結果が得られそうだ。また、18mm程度から35mm程度までの方がよい結果が得られる。望遠にすればするほど、トレースが厳しくなるようだ。お気軽に撮影できるシステムなのだから過大な要求をしても仕方ないが、今後本体側のファームアップなどでさらに精密なトレースができるようになるといったことは期待してしまう。

今回はK-5でテストしたが、K-rでも追尾性能に差があるとしても、同様な写真は撮れるはず。リーズナブルなコストで星夜写真を撮影できるのはPENTAXの一眼レフの大きな魅力となったと感じた。時期を見て個人でも手に入れようと考えている。