先週成立「東電救済法案」緊急勉強会・要約版(2)

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先週、「東電救済法」と呼ばれる法律が可決し成立しました。

電力自由化・脱原発などの「変化」のためには、東電が変わらなくてはいけません。外からの力で変えなくてはいけません。そして東電を変えられるかどうかの分かれ目、分岐点がこの法案でした。しかし「東電を変えずそのままの形で継続する」ということを事実上盛り込んでいるこの法律は、ほとんど議論もされず、国民への説明もない状態で国会議員の多数の賛成により成立してしまいました。今回の福島第一原発事故を通して「東電を変える」ということはできませんでした。まさに最悪の原発事故というピンチをチャンスに変えたのは東電だったと言えるでしょう。そして国民はピンチをそのまま引き受け、単に負担だけが増すことになってしまいました。東電により利益を得てきた人達の失敗による負債を何故国民だけが負わなくてはいけないのか。きちんと筋道を立てて説明できる人はまだ一人も現れていません。みなさん、次の選挙の時、地元の国会議員にきいてみて欲しいと思います。

この勉強会は松田公太議員の呼びかけにより、各方面に詳しい4名の方が集まって実施された「東電救済法案」の勉強会で、法案成立の直前におこなわれたものです。この法律の問題点について、詳しくお話がされており、わかりやすいと評判です。ここでは、その要約版を何回かに分けてご紹介します。

「こんなに問題、東電救済法案」緊急勉強会フルバージョン
http://getnews.jp/archives/132720
(全文をご覧になりたい方はこちらをご覧ください)

●緊急勉強会参加者
松田公太氏(参議院議員)
井上高志氏(株式会社ネクスト代表取締役社長)
福井秀夫氏(政策研究大学院大学教授)
原英史氏(政策工房代表取締役)

■「国の責任」というときこえは良いが、結局それは国民負担を意味する

原:「国の責任」と福井先生がさっき言われましたけども、「国の責任を明確にしましょう」というのが基本的な考え方なんですよ。国の責任と言ったところで大臣が払うわけでもないし、役人が払うわけでもない。結局国民の税金で、国民負担をしましょう。ってことになっちゃっているわけですね。最初に出ていた政府の法案というのはまだ電力料金を値上げをするとか、国債で負担して最終的には何十年かかっても返しますから、ていうお約束になってたんですけど、自民党も加わって民主党と協議した今回の修正によるとそれだけじゃなくて、純粋に税金でお金をつっこむ、ということができるようにしちゃった。より明確に国民負担ができるようになった。

松田:ここに「国の責任について言及する」と書いてあります。これ面白いでしょ。法案修正のポイントって紙じゃないですか。これパッと見て、あることに気づきませんか? ……作った人の名前とか書いてないんですよ。これが不思議なことに永田町とかをぐるぐるまわっているわけですね。誰が作ったかわからない「法案をこうやって修正しましょうよ」という紙がなぜ出回っているのか。

■東電救済法案「根回し文書」と呼ばれるもの

※下記URLの文書が、国会でも話題となっている「根回し文書」と言われているもの
http://tokyopressclub.tumblr.com/post/8078329756

原:こういう紙を私も昔よく作ったんですけどね(全員笑)、役所の人たちがこういう紙をよく作るんですよ。法律を作るプロセスを考えたときに、政府が法案を提出するところまでは別に役所が関わっていても別におかしくないんです。でも、そのあと国会にでてあとは国会議員で議論しましょうとなり、与野党で修正協議、ちょっとここは直したほうがいいなじゃないかってことを議論しましょうってのは、国会議員の仕事です。そこに役所がかかわってはいけないのに、そこになぜか役所の人たちが裏で入り込んでいて、「こういう修正ぜひやったらいいですよ」といって野党の人たちのところにもっていったりするんですよ。

今回の政府の法案というのは、最初から相当程度東電救済の法案ではあったんだけども、それでもなお多分電力会社とか役所の人たちから見ると、もっと国が負担してくれたっていいじゃないかという気持ちがあったんでしょう。国の負担ってのはつまり国民負担なんですけど、その国民負担をもっと強めてやってもよかったんじゃないかと思ってたはずです。だからこういう『法案修正のポイント』という紙が出てきて、国の責任をもっと明確にしろ、ていうことを、野党の人たちに多分頼んで、それでそういう修正をしたんですね。

松田:原さんは実は経済産業省にいらっしゃった方なので、経産省の電力会社との癒着というか、その関係性をよくご存知ですよね。やっぱり経済産業省からすると東京電力を絶対潰してもらいたくない。だから必死になってこういうのを作ってまわっていると。

原:そこは一体ですよね。役所と民間企業というと役所のほうが偉いみたいに思われる場合も多いんですけど、東京電力と経済産業省でいったらたぶん東京電力のほうが強いぐらい

福井:官は政治に弱い。政治は民に弱い。特にこういう独占企業には弱いですね。力ありますから。


■「電力自由化」につながっちゃうから、資産も売りたくない!

松田:もうひとつこの話から繋がっていくと思うんですけど、東電が持っている資産があるじゃない。さっきのT君の例でいうと、お金持ちのボンボンでしょう。例えば発送配電だけでも6兆円ぐらいあるというふうに言われているんですけど、そういった資産を普通だったら会社更生法だったら売らざるをえなかった。売らざるをえなくなって、そこで賠償金を払って、それでも足りない部分があったら国にお願いするというパターンだと思うですが。国にお願いするというところは置いといて、資産を売却するという考え方。そこに立ち返ってみると、そこを売却しなくちゃいけないことに仮になったとしたら、その部分を誰かが買うことになるわけですよ。手を上げてですね。東電はその部分を手放したくない。なぜかというと、そこを手放してしまうと電力自由化に繋がっていっちゃうんですよ。

福井:発送電分離とかね。

井上:発電、送電、配電。ですね。

松田:それは自由化ということに繋がってしまう。今は誰かが発電しても送電網を東電が押さえているので、そこをなかなか使わせてもらえないから、発電しても売れない、という状況が続いている。流通していないんです。

コンビニでいうと、せっかく商品をサンドイッチを作っても配送のロジスティクス(物流網)の部分をセブンイレブンが押さえていて、「使わせてあげないよ」って言われちゃったらどうあがいたってその商品は売れないわけだから、作ろうとも思わないでしょ。サンドイッチのベンチャーを作ろうとは思わない。コンビニに売れないっていうのが最初からわかるんだったら。それとまったく同じ状況がずっと続いていて、誰も発電ビジネスに、若干はいってきてはいたけれども実際真剣に取り組もうと思っている人たちはいなかったわけですよ。送電網、コンビニで言えばロジスティクスを誰でも自由に使って良いですよという形にして、例えばこのトラックは誰でも配送のために使ってくださいちう形にして、お金を払うところには平等にちゃんと使わせますよ。ということになったとしたら、どんどんサンドイッチを作るところが出てくる。競争が生まれる。そうすると、コンビニで500円だったサンドイッチが競争が生まれから、400円なるかもしれないし300円になるかもしれない。同じクオリティでもより安く作ろうという努力が発生するわけだから、競争がはじまるよ。となっちゃわけじゃないですか。その競争を回避したいという考え方もあって、実はこの東電救済法案を通したいという……。

福井:透けて見えますよね。資産を売ることで自由化に繋がったら偉いことだから、他の電力会社が奉加帳(付き合いでお金をとられること)をまわされて唯唯諾諾として払いますといってるわけです。電気事業連合会とかが。本来おかしいですよね。まともな企業なら「そんないわれのない負担には私どもは応じられません」というのが真っ当な企業です。東電を助けるんじゃない、俺たちの電力のシステムを助けるんだというのが無ければそんなお金を払う理由はないってことですよね。

松田:さっきのトヨタの話と一緒で、仮にホンダが潰れそうになって大変な事故を起こしてしまって、トヨタとかスズキとかダイハツとかマツダが喜んでサポートするために何百億とか払いますか。絶対無いですよね。よし、チャンスだと思うに決まっている。まったくそれが起こってないのが変でしょう。何百億ですよ、年間何百億。

井上:みんなで築きあげた参入障壁という秩序を、維持したほうが俺たちにはいいと。

福井:独占利益の維持経費だと思っているふしがある。

(つづく)

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