「朗読少女」は電子書籍業界に何をもたらしたのか?

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 7月29日に行われた毎日コミュニケーションズ主催の「マイコミ スマートフォンアワード2011」で、電子出版(コンテンツ&サービス)部門の最優秀賞に選出されたのは、読書エンターテインメントアプリの「朗読少女」(配信元:オトバンク)だった。

 「朗読少女」は女子高校生のキャラクター(cv:ささきのぞみ)が書籍を朗読するアプリだ。7月23日に配信が開始され、リリース1ヶ月にして10万ダウンロードを達成するなど、電子書籍の普及がなかなか進まない出版業界の中で“新しい電子書籍”として注目を浴びた。
 現在もAppStoreのトップセールス上位につけている同アプリだが、朗読アプリはどうして受け入れられたのか。「朗読少女」配信元のオトバンク社長・上田渉氏は次のように語る。

「“朗読”というのは、実は非常に贅沢なものなんです。子供の頃、母親に読み聞かせをしてもらった、といった経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思いますが、ある程度大人になってから朗読を聴く機会はなかなかありません。そうした贅沢な体験である“朗読”をiPhoneアプリとして広くご提供できるようにしたことで、朗読の魅力や名作作品の価値を再発見していただけたのではないでしょうか」

 「朗読少女」のヒット以後、朗読アプリが増えたのは紛れもない事実だ。
 「朗読少女」以前にも「NHK文学のしずく」(配信元:ロゴヴィスタ)といった朗読アプリがあるが、「朗読少女」以後の朗読アプリに見られる特徴で最も顕著なのが、美少女のキャラクターが朗読をするというモデルだ。もちろん、読み手はプロの声優である。

 例えば、「放課後の紙芝居部」(配信元:株式会社ケイブ)は紙芝居方式で、女子中高生の姉妹が名作を朗読するアプリ。声優は「涼宮ハルヒの憂鬱」で朝比奈みくる役を演じる後藤邑子さん、「侵略!イカ娘」で主演した金元寿子さんを起用している。また、「朗読同好会」(アンドロイド対応、配信元:株式会社トランスワールドアソシエイツ)も同様に、女子高校生のキャラクターが名作を朗読するアプリとなっている。

 話題を「朗読少女」に戻すと、7月23日で配信から1年経過し、これまでに60冊以上の朗読作品をリリース、アプリ単体で65万ダウンロードを達成しているという。そして、今年の5月にはシリーズ第2弾となる「朗読執事」をリリース。声優の近藤隆さんを起用した。

 こうした朗読系アプリの広がりは、本の新たな楽しみ方をユーザーに提供するとともに、「朗読を聴く」というこれまで注目されにくかった市場の開拓にも期待が寄せられている。電子書籍に先駆けてブレイクした形となった「朗読少女」だが、このアプリから、本の多様な楽しみ方について、もう一捻り考える必要があることを学べるのではないだろうか。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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