涙の原因はやっぱり…

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   海江田万里・経済産業相が国会で見せた「涙」が話題となっている。同情論もあるが、菅直人首相の伸子夫人が「泣くような人に大臣は任せられない」と発言したと伝えられるなど批判的な声が多く、「泣きっ面に蜂」の状態だ。

   海江田経産相が涙ぐんだのは、2011年7月29日の衆院経済産業委員会でのことだ。自身の進退をめぐる質問に対しあいまいな答弁をした後、席に戻り、再度始まった追及に耳を傾けていたところだった。

「尋常でない状況が続いていますので」

   海江田氏は突然、泣き出しそうな表情となり、左手で両目を6秒ほど覆った。その後見せた表情は、顔が赤くなっており、ときおり鼻をすするような仕草もみせた。「(海江田氏が)号泣した」と報じたテレビ局もある。

   海江田氏は、菅首相による「メンツ潰し」が相次いでおり、両者の対立が深まっている。翌7月30日に記者団から、「(国会の場での涙は)尋常ではない」と指摘された海江田氏は、「尋常でない状況が大分続いていますので」と説明した。

   この「涙」に対し、菅首相の伸子夫人は7月31日、首相公邸であった菅首相と菅グループ議員との懇談の際、「泣くような人に大臣は任せられない」と批判したという。時事通信などが報じている。伸子夫人はさらに、菅首相に「あなたが泣いたら別れる」とも「通告」したそうだ。

   「身内」からの批判はこれだけではない。民主党の渡部恒三・最高顧問は8月2日、記者団に対し、政治家たるものは他人のことに涙を流すのは良いとしつつ、「見えるところで自分のことで泣いちゃいかん」と、海江田氏をたしなめた。

   当然、野党からも厳しい声が飛ぶ。「(海江田氏は)精神的にかなり折れている。情緒不安定だ」。自民党の石破茂・政調会長は7月31日、フジテレビ系「新報道2001」でこう批判した。

「菅総理のひどい仕打ちで感情の起伏大きく」

   海江田氏が涙ぐんだ場面で質問していたのは、自民党の赤沢亮正議員だ。赤沢議員は8月1日、自身のブログで問題の7月29日の質疑について書いている。「追伸」を含むと3500字を超える長文だが、一部を引用すると次のような感じだ。

「今の海江田大臣の精神状態で、原発の安全性についての冷静な判断や国益を守り抜く厳しい交渉態度が取れるとは私にはとても思えません。(中略)国が危ういのです」
「海江田大臣は感情豊かなお人柄で良く知られています。彼が菅総理のひどい仕打ちでさらに感情の起伏が大きくなっていることは容易に想像できます。(中略)1日でも(海江田氏の辞任が)早い方が、国家国民のためであり、彼のためでもあると信じます」

   インターネットのツイッターなどの反応をみると、「自己憐憫の涙」「有事の際の大臣としてはお粗末」と批判的な声が多いようだ。みんなの党の小野次郎・参院議員もツイッターで、「あの映像を見れば、本人には申し訳ないが、彼には一億国民の安全と健康を預かる国務大臣の資質がないことが分かる」と断じている。

   ほかの「つぶやき」の中には、「男の涙は女の涙より純粋だ」として、海江田氏にエールを送っている人もいる。

米紙も「異例の涙」報じる

   また、ポータルサイト「ヤフー」の「みんなの政治」コーナーで海江田氏の欄を見ると、「泣きたいのは国民です」とする批判的な「評価」が支持を集める一方で、菅首相に振り回されて可哀想だという「評価」もある。

   「カウンセリングルームMeg」の心理カウンセラー和田恵さんに、海江田氏の涙について聞いてみた。和田さんは、「表現しきれないもの、言いたくても言えないことが涙となって出てきたのでしょう」と話した。

   さらに、「大人でも男でも女でも、泣いてはいけないということはありません」として、日本では「涙」に対し厳しい見方が強いが、もっとおおらかに受け止めても良いのでは、と指摘した。

   米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は8月1日、海江田氏の涙に焦点を当てた記事を配信した。日本では普通、公的な立場の人物は、絶望している状況でも深いおじぎで公の場を乗り切るものだ、と「涙」の異例ぶりを紹介し、海江田氏が「ブレイクダウン」したと報じた。

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