先月29日、コミックス第50巻が発売された「ヤングアニマル」(白泉社)の『ふたりエッチ』。お見合い結婚した童貞の真(まこと)と処女の優良(ゆら)が、“本当の夫婦”になるため恋愛やエッチ修行に励むストーリーは、1997年の連載開始当初から15年目を迎える現在までずっと変わらない「ためになるエッチ漫画」だ。

 このコンセプトが幅広い読者に支持され、「エッチ漫画」としては他に類を見ない累計発行部数2300万部を誇る大人気作。だが、その連載開始には紆余曲折があったという。作者である克・亜樹先生と連載開始当時の担当編集者、友田亮氏が当時を振り返る。

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【友田】僕が克先生に「エッチな漫画を描いてください」とお願いしたのが始まりです。頼んだ時から「童貞と処女がお見合いで結婚して恋愛もSEXもステップアップしていく」というコンセプトは考えていました。しかし、ウンチクやハウツーに関しては……

【克】僕のアイデアです。エッチ漫画を描くこと自体が始めてだったんですが、漫画家として色んな雑誌を見てきましたから、「エッチな漫画は諸刃の剣、売れても10万部くらいしかいかない」と思っていました。だから、僕はただの「エッチ漫画」ではない作品を作らなきゃいけないと思っていたんです。そこでウンチクやハウツーなどの“ためになる”要素を取り入れるアイデアを出しました。

【友田】この要素に関しては先生の大ヒットだったと思います。まさか、女子高生までが『ふたりエッチ』を買うとは思っていませんでした。

【克】でも、連載開始前はそこまで期待されていなかったですよ。第1話は新連載なのにカラー扉もついてなかった。その時点では「1巻で終わり」という感じでした。

【友田】でも、ふたを開けてみたらアンケートはダントツの1位。それ以降、10年間でその座を譲ったのは指で数えられる程度。平均で1位です。なかなかナイことですよ、コレは。

【克】「アンケートの順位を上げなきゃ」って思うと、作品自体の方向性を変えなければならなくなる。それは“テコ入れ”って言うんですけど、それが全くなく今までやってこれたというのは非常に幸せですよね。

――ところで、本作のファンにとって気になるテーマのひとつが「優良さんの妊娠」。15年という長い連載のなかで、たびたびテーマとして扱われているが、いまだ優良さんは懐妊していない。やはり、優良さんが子供を産むときが最終回になるのだろうか?

【克】タイミングはまだわからないんですが、優良の妊娠はそう遠い話ではありませんし、最終回でもありません。

【友田】どういう形であれ、ここまで長くやっていれば、作品が大きく崩れることはないですし、子供ができてもこのふたりは普通にエッチをするんだろうと思います。

【克】最終回は頭の中にあります。それはこの夫婦が持っているテーマの「答え」のようなものです。でも、まだまだ描く気はありませんね。

■克・亜樹(かつ・あき)
1983年、大阪芸術大学在学中に第88回HMCトップ賞を受賞した『メアリー○ララバイ』が『花とゆめ増刊』(白泉社)に掲載されデビュー。1997年よりヤングアニマルで『ふたりエッチ』をスタートした。『ふたりエッチ』の公式サイトはこちら  http://www.younganimal.com/futarih/

■友田亮(ともだ・りょう)
現「花とゆめ」編集長。『ふたりエッチ』以外にも「マンガ大賞2011」を受賞した『3月のライオン』(羽海田チカ)などを担当。白泉社の名編集者。