毎日時間に追われている現代人を相手に、企業のマーケターたちは頭を悩ませながら、マーケティング活動や広告、販売活動を行っています。
 しかし、忙しい消費者たちはそれらを無視するだけでなく、どんどん時間的余裕を失っており、マーケターたちをさらに苦しめます。こうした状況に打開策はあるのでしょうか。

 企業戦略家であるエイドリアンC・オット氏は、“The 24-Hour Customer : New Rules for Winning in a Time Starved, Always Connected Economy(時間に追われた顧客に売り込む方法〜常に繋がっている、時間が制約された経済で成功するための新ルール〜”有料Podcast番組「エグゼクティブ・ブックサマリー」にて邦訳要約版を配信中)の中で、消費者の時間的余裕が失われているという事実の中で、売り上げを向上させる方法を提案しています。
 ここでは、ナイキ社の例を紹介します。

 オレゴン州ビーバートンにあるナイキ社の技術者は、会社の近くを走るランナーたちがiPodを聴きながら走っていることに気付きます。
 そこで、ナイキ社はアップル社と提携し、無線センサーをナイキシューズの靴底に装着し、iPodにレシーバーを取り付けて、走行距離やペース、消費カロリーを記録することが出来るスポーツ・キットを開発しました。
 ナイキ社のウェブサイトでは、過去の自分の記録や他のユーザーとの比較を行うことができるようになっており、この独創的なアプリケーションは顧客とのコミュニケーションの向上を促しました。
 そして、この結果、ナイキ社のランニングシューズの市場シェアが13%拡大したといいます。オット氏はシューズそのものではなく、ランナーがシューズを履いて、どのような時間を過ごすのかに焦点を当てたことでナイキ社は差別化に成功したと述べています。

 走りながら音楽を聴く、音楽を聴きながら走る、いずれにせよ「ながら」行動に注目したナイキ社の商品は、時間がない現代人にはピッタリだったのです。
 企業のマーケターたちは、消費者たちに貴重な時間と交換するだけのメリットを提供していかなければいけません。その中で、ナイキ社のような事例は、大きな示唆を与えてくれるものだと言えそうです。
(新刊JP編集部/金井元貴)



【関連記事】 元記事はこちら
覚えておけばラクになる? 企画書の「型」
ゆとり世代の「説明力不足」を叩き直す!
「ラブホテル」を通して欲望をマーケティング
“時代を先取りするマーケティング”のポイントとは?