110607NEWSgen04.jpgこの数ヶ月、毎日耳にする原発のニュースですが、原発は核のエネルギーを使った発電だということはわかっても、どういうものかという基礎的なことを知らないと理解するのが難しいことも多いと思います。

今回は、原発の仕組みや疑問点を一緒に学んでいきましょう

Photo by bagalute

日本には原発(原子力発電所)が54基あります。アメリカには約2倍の104基の原発がありますが、国土は日本の25倍なので、日本には原発が密集しているのが分かります。


原子力発電の発電方法とは?
原子炉の中で燃料となるウランを核分裂させ、その際に発生する熱によってお湯を沸騰させ、発生した水蒸気でタービンを回すことで発電するのが原子力発電です。方法は火力発電と同じで、お湯を沸かす材料が石炭・石油・ガスか、核燃料か、という違いです。

核発電というと、分かりやすいかもしれません。

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出典:四国電力


原発の安全性は?
原発は「五重の壁」で放射性物質を閉じ込め、万が一の事故の時でも放射性物質を外に出しませんと国や電力会社は述べてきました。

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さらに、大地震など緊急事態が起きた時には
・自動的に制御棒が原子炉の炉心に差し込まれ核分裂連鎖反応を「止める
・燃料棒は運転停止しても熱を持ちつづけるため「冷やす」
・放射性物質が外に漏れないように「閉じ込める
この「止める」「冷やす」「閉じ込める」という3つの安全機能を確保しなくてはなりません。


では、なぜ福島原発から放射能が放出されているの?
福島第一原発の事故では、1号機、2号機、3号機の原子炉は緊急停止して「止める」ことはできました。しかし、燃料棒を「冷やす」ための冷却水を循環させるポンプを動かす電力が確保できなかったのです。そのため、熱による原子炉格納容器の破損を防ぐため、放射性物質を含む蒸気を大気中に放出する「ベント」という緊急措置がとられたり、水素爆発や、原子炉・配管などの損傷部分から放射性物質を含んだ水が漏れたりと、「閉じ込める」ことができなかったのです。(損傷箇所については、放射線量が非常に高く覗くことができないため、現状では正確に把握されていません)

4号機は、定期点検中だったため原子炉に核燃料はありませんでしたが、原子炉建屋内にある燃料プールには1535体の核燃料があります。建屋が大破しているので、プールが屋外にあるのと同じ状態となっており、「閉じ込める」ことができていない状態です。

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実はあまり知られていない放射能の放出…
これはあまり知られていないことですが、通常運転されている原発からも、日常的に気体や液体の放射能が外に排出されているのをご存知ですか?「フィルタを通したり、希釈水で薄めているから排出しても影響はない」と言うのですが、それが何十年も続くため、影響がないとは考えにくく、ドイツ連邦放射線防護庁は、原発周辺に住む子どもの白血病の発症率が高いという疫学調査報告書(1)を発表しています。
参照1:原子力資料情報室通信405号[2008/03/01]


使い終わった核燃料のその後は?
通常3、4年で役目を終えると言われる核燃料は、「使用済み核燃料」と呼ばれ、「使用済み燃料プール」に運ばれます。使用済み核燃料の中には核のゴミである通称「死の灰」がたくさん詰まっています。モノを燃やせば灰が残るように、核分裂した破片が「死の灰」になります。

核燃料に含まれるウランは、原子炉の中で高い熱や放射線を出しながら違う元素へと変化していきます。それを「崩壊」といいます。たとえ使用済み燃料になっても、その崩壊により発熱を続けるため、4、5年はプールで冷やす必要があります
木を燃やしたあと、その炭がまだ高い熱を持っているのと似ています。

「死の灰」の中には非常に寿命が長いものがあるので、この先ずっと管理しなければならず、その期間は10万年とも100万年とも言われています(2)
それを題材にした北欧のドキュメンタリー映画『10,000年後の安全』なども公開され、世界中で関心が高まっています。
参照2:ドキュメンタリー映画『10,000年後の安全

海外でもその処分や管理方法が決まっていないことが多く、日本もまだ決まっていないのが現状です。国や日本原燃(再処理工場を運営する会社)は、青森県の六ヶ所再処理工場に運び、使用済み核燃料を切断して中からプルトニウムとウランを取り出し、プルトニウムを再利用し、その際に出た高レベル放射性廃棄物を地中に埋めるという計画をたてています。ですが、技術的に非常に難しいため、試験段階から度重なるトラブルを起こし、先行きが危ぶまれています。(3) 参照3:原子力資料情報室:再処理工場とは?

すでに稼働している原発からは、使用済み核燃料が生みだされています。今後、使用済み核燃料の処理を背負っていかねばならない私たちの子孫のためにも、処分方法についてこの先、真剣に考えていく必要があります。


国や電力会社は、原発が一度に大量の電気を生み出すことや、最近では発電時には二酸化炭素を出さないという地球温暖化対策として原発を推進してきました。それによって生まれた雇用もあり、原発を受け入れた自治体には交付金など多額のお金も配られました。

しかし、自然災害はまた起こり、人もまたミスをします。「絶対起きない」はありえないという視点を忘れずに、メリットだけでなく、デメリットについても国民全員が理解し、健康や環境に負担のない、安心できる発電方法をみんなで考えていく必要があります。

みんなで一緒に持続可能なエネルギーを考えていきたいですね。


福島から遠く離れた足柄や静岡のお茶からも放射能が検出され、出荷が停止されてしまいましたね。次回のテーマは、毎日の食生活に関わる食品の規制値について、ご紹介していきたいと思います。

神無月好子(ライター/オーガニックライフスタイリスト)..................................................................................kannazukimyouko01.jpg環境や、原発問題をわかりやすく伝えるべく、2007、2008年とGARCIA MARQUEZとstop-rokkashoのチャリティーコラボバックや、2010年には森林保全のmore trees×ANOTHER EDITION×HELLO KITTYのチャリティーコラボバックを展開。今までにない切り口で、たくさんの人に環境をはじめ、原発や、社会問題について執筆中。http://blog.livedoor.jp/sukikokannaduki/

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