スイカ、インク、自動車から原発や武器まで、韓国は今“東日本大震災特需”に沸いている。産経新聞ソウル支局長の黒田勝弘氏が韓国の実態について解説する。

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 日本の大震災に韓国は内心、「いいチャンス!」と喜んでいる。大地震による日本の経済的打撃や日本人の意気消沈は、韓国にとって一大ビジネス・チャンスというわけだ。
 
 素材や部品などを日本に頼っていた韓国企業は一時、困ったが、今やそれを逆手にとっての“好機”論が優勢だ。

 たとえばこの夏、韓国ではスイカが高値で消費者は不満だが、原因は日本への輸出急増という。農家はホクホクだ。あるいは、筆者(黒田)のところには新聞用印刷インクの輸出打診などというのも来ている。

 スイカも印刷インクも日本は震災で供給不足、との情報が伝わっているからだ。

 自動車だって、日本企業が稼働中断で苦戦している中で、韓国車は国際市場でシェアを拡大している。米国市場では月間売り上げで日本車を抜く勢いだ。

 自動車部品でも「日本はもうあてにならない」とばかり、国際市場で日本に代わる韓国製部品の売り込みに精を出している。

 国際社会の現実は、お互い助け合いの「ウィン、ウィン」などといった口あたりのいい話より、食うか食われるかの「ゼロサム・ゲーム」の方なのだ。しかしこんなところはまだ可愛い。韓国が今、最も虎視眈々なのは原発輸出である。

 周知のように日本は福島原発事故で原発に腰が引けている。国際的な“脱原発ムード”から輸出にも力が入らない。今のところトルコあたりは日本の原発輸入に好意的というが、今後、「フクシマの悲劇」の影響は必至だ。

 一方、韓国は昨年、アラブ首長国連邦(UAE)へ史上初の原発輸出に成功している。大統領自ら足を運んで成約させた。ビジネスマン大統領・李明博の大手柄になった。これに味をしめた韓国は今、原発ビジネス拡大を国家目標に設定している。

 だから韓国にとって“フクシマ”は願ってもないチャンスなのだ。トルコでは巻き返す大逆転を狙っている。ベトナムでも日本に対抗し受注工作に懸命だ。

※SAPIO 2011年8月3日号