この5月に『日本中枢の崩壊』(講談社)を刊行、テレビの討論番組に相次いで出演し、現役でありながら国のあり方を批判する改革派官僚として一躍「時の人」となった古賀茂明氏が、はじめて一般向けの新書本を出し、発売と同時に話題となっている。

 この『官僚の責任』の最終ページを開くと、通常の「おわりに」とは別に、「あとがきを書き終えたあとで」と題された1ページに目がとまる。

 「私は経産省の松永和夫事務次官から正式に退職勧奨の通告を受けた。どういうわけか、人事権者である海江田万里経済産業大臣とは結局、一度も会わせてもらえなかった。これまで一年半以上、次のポストを探すから待っていろと言われつづけてきた。退職期日は七月十五日。猶予は三週間足らず。先方による一方的な通告だった」

 すでに新聞紙上でも報道されたが、6月24日、古賀氏は上司から「辞めてくれ」と肩をたたかれたのだ。私利私欲を捨て、国民のために必死に「公務員改革」を唱えつづけてきた数少ない官僚が霞が関から追放されかねない事態に、国会でも騒然となっているようだ。

 古賀氏は『官僚の責任』のなかで、「『官僚=優秀』はとんでもない迷信」と痛烈に述べている。社会保険庁の消えた年金問題、経営危機を迎えている地方空港の需要予測、銀行業界の護送船団方式、耐震偽装問題、官製談合......。そして極めつけが、今回の東日本大震災と福島第一原発の事故。一部の幹部官僚たちは心の中でほくそ笑んでいるという。「これで新たな利権と天下りポストを確保できるぞ」と。

 こうしたことが、なぜ霞が関ではまかり通ってきたのか――本書には、「優秀な」官僚たちが、どのようにして国民に気づかれないように私腹を肥やし、民主党政権の「事業仕分け」をサボタージュしたのかなど、現在進行形で報道されているニュースの裏側が余すところなく描かれている。

 はたして古賀氏は辞めざるをえないのか。『官僚の責任』ならぬ"官僚の無責任"ぶりを告発する憂国の志士の言動から目が話せない。



『官僚の責任』
 著者:古賀茂明
 出版社:PHP研究所
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