女子中学生たちの仰天?レポート

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 毎年この時期に書店に足を運ぶと、各出版社の夏の文庫本フェアが目に入ってくる。今年も新潮社が「新潮文庫の100冊 2011」、角川書店が「発見! 角川文庫2011」、集英社が「ナツイチ 2011」とそれぞれ趣向をこらしたフェアを展開しており、それをながめているだけでも楽しくなってくる。

 1976年から開始した「新潮文庫の100冊 2011」は、今年も名作をきっちりと押さえていながら、現代文学、海外文学、さらにはエッセイ、ノンフィクションまで幅広く選定されている。
 そんなエッセイの中でも、今年の変り種というと中学校の理科教師の清邦彦さんが執筆した『女子中学生の小さな大発見』(新潮社/刊)だろう。

 この本の中には、静岡県のとある女子中学校の女子学生たちが日々の生活の中で見つけた、“小さな大発見”が箇条書きに並んでいる。それらの発見は、面白く、「ああ、確かに」と頷いてしまい、そしてなんとなく懐かしいものばかりである。

「Tさんは、流れ星が消える前に3回も願い事なんか言える訳がないことを知りました。」(p16より)

 そうなのだ。流れ星があらわれてから消えてしまうまで、ほとんど時間はない。でも、今でも流れ星を見かけたときは願い事を大急ぎで3回唱えてしまう。子どもの頃に分かってしまっても、なかなか治せない癖だ。

「Wさんはナメクジに酢をかけてみました。とても早く縮こまり、食塩やしょう油よりも小さくなりました。」(p85より)

 ナメクジに塩をかけると浸透圧の関係で縮こまるということは多くの人に知られた事実だが、塩以外でも同様にナメクジは縮こまってしまう(例えば砂糖や重曹でも、ナメクジは死滅する)。Wさんは酢で試してみたようだ。思わず「へぇー」という言葉をあげてしまった一節だ。

「Iさんは、部屋で72秒息を止めていられるのに、お風呂の中では57秒しか息を止めていられないことから、人はその分、皮膚呼吸をしていることを確かめました」(p140より)

 普段の自分の生活のひょんなところから、人体の仕組みや不思議を知る。日々の生活の中にもヒントはどこにでも転がっているのだ。

 この本には様々な大発見が載っているが、それに対する正しい答えは書かれていない。清先生は、自分で発見することが大切だというスタンスを取っているのである。理科という科目は、能動的に調べていくことで思わぬ発見をし、好奇心がわき、好きになるものだ。自分で調べて自分で答えを知る。そのプロセスは、たとえ答えが正しくなくても考える力を養うという上では重要なのではないか。

 子どもから大人まで楽しめる自由研究のヒントがつまったこの本を、夏の100冊に入れた新潮文庫編集部に感謝したい。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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