“ターゲットにモノを売る”時代はもう終わった?

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 「新商品のターゲットは20代女性」と何か新しい商品を開発する時は、ターゲットの性別と年齢をしぼって商品開発をして売り込むということが、今までの当たり前だったはず。
 だが、現在のように世の中にモノにあふれ、顧客側が商品を選んで買う時代にはこの売り方はそぐわなくなってきているという。

 『「応援したくなる企業」の時代』(博報堂ブランドデザイン/著、アスキー・メディアワークス/刊)では、ブランドの企画やコンサルテーションを業務としている博報堂ブランドデザインのリーダーである宮澤正憲氏が、多くの企業とかかわり、たくさんの人たちと仕事をしていく中で、今の日本の企業に起ころうとしていることを独自の視点で述べている。

 しばしば「ターゲットを攻略する」というような言葉を商品開発の会議で聞くことがあるが、よく考えてみると、この言葉遣いは顧客を攻撃すべき対象として、無意識のうちに見てしまっている。
 「ターゲット」や「セグメント」というマーケティングでよく使う言葉はもともと軍事用語で、ビジネスの場ではこのような戦争用語を無意識のうちに多用しているという。このようにターゲットであるお客さまを攻略して、企業は攻撃的な姿勢で商品を売ってきた。

 しかし、ここ数年で社会は変わった。インターネットの普及により、ブログ、SNSやレビューサイトで商品の良い点、悪い点、メーカーのサポート体制に至るまで、さまざまな情報を容易に得ることができるようになった。このようなコミュニティサイトが発達すると、企業もこのサイトの口コミを重要視し、企業とコミュニティのメンバーである顧客の位置関係が横並びとなり、やがて顧客の意見に沿った商品を開発するようになる。
 しかし、そのような商品はすでに市場に出回っていたり、企業が「新しい」と思って送り出した商品が、顧客からすると真新しいものではない場合がある。

 このような事態に陥らぬように、顧客とフラットな目線で、一緒になってみんなの幸せを考えていくという姿勢が大事になってくる。「モノを売る」という発想から「仲間を広げていく」という発想の転換をすることで、より良い商品が生み出せるというのだ。

 時代は日々変化し、顧客の欲するモノも変化する中で、マーケティングのやり方も時代と顧客に合わせて変えていかないといけないと実感できる。本書を読むと、売り手も買い手も幸せになるという、ごく自然なことに気づかされるだろう。
(新刊JP編集部/田中規裕)



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