なぜ臓器を売買してはいけないのか

写真拡大

親族間の生体移植を装った臓器売買事件が発生した。開業医で慢性腎不全の男が生体腎移植を受けるために800万円を暴力団に支払い、提供者捜しを依頼。暴力団は、カネに困っていた人物を探しだし、その開業医と養子縁組させた上で、その人物の腎臓を生体移植させたのである。すでに開業医は逮捕され、仲介した暴力団とドナーとなった人物も7月13日に逮捕された。

日本では、臓器移植法によって臓器の売買が禁じられている。臓器の移植を希望する者は、ドナーを探さなければならない。基本的には、生前にドナー登録をした人で、かつその人が脳死した場合、患者に対して臓器が提供される。生体移植、つまり生きている人が臓器を患者に提供する場合、提供する側は親族(6親等以内の血族と3親等以内の姻族)に限られている。

開業医が見ず知らずの第三者とわざわざニセの「養子縁組」をしたのは、親族でなければ生体移植ができないからだ。そして、親族以外の者から患者への臓器提供を禁じているのは、臓器が売買され、「商品」になることを防ぐのが目的なのである。そもそも、なぜ臓器の売買が禁じられているのか。

簡単にいってしまえば、臓器の売買を認めてしまうと、臓器を商品として売る人が必ず出てきてしまうからである。世の中には、臓器移植を希望する患者がたくさん存在する。臓器の需要は多いが、供給が絶対的に足りていない。だから、供給をはじめれば、たちまち臓器は高値で売られることになってしまう。仲介者も儲かる。逮捕された組長の「これはいいビジネスになる」(7月14日付「毎日新聞」)というコメントは事実なのである。

ところが、生きている人の身体から臓器を取り出すことには多くのリスクがともなう。ここではくわしく述べないが、出血をはじめ、腹膜炎やヘルニア、腸閉塞、肺炎などの合併症を発するかもしれないのだ。多額の謝礼をもらえるからといって、いい加減な医師にお腹を開かれたら、その金を使う前に死んでしまう可能性もある。移植される側にも同様のリスクがあることは言うまでもない。

そんなリスクがあっても、禁止されていなければ臓器を売る人は出てくると思う。それは、臓器とは元から身体にあるものだからである。働かなくても、考えなくても、工夫しなくても、人には臓器がそなわっている。そして、なんらかの欲望を満たすがため、または欲望を満たしたがゆえにできてしまった借金を返すために、準備など必要なく手っ取り早く稼げる手段が臓器を売るということなのだ。

欲望を満たすということには、貧困からの脱出も含まれる。確認はしていないが、とりわけ世界のなかで貧困国と呼ばれているような国では、臓器売買や「売血」がおこなわれているのではないか。ちなみに日本では1990年まで薬品会社が血を買っていたが、現在、売血は禁止されている。

幼いころ、「おとなは、なぜ献血をしているのか」という疑問を持った読者もいるであろう。大きな理由は二つある。第一は、適当なかたちで血液の売買をしていると、買った血液の検査もいい加減におこなわれ、輸血による感染症が懸念されるから。第二は、こちらのほうが大切なのだが、いま述べてきたような理由から、血液の売買が臓器売買の入り口になってしまうことを未然に防ぐためである。

時には、人の欲望と臓器の売買は直結している問題だということを意識してみるのはどうか。強い欲望があれば、人はいとも簡単に自分の臓器を売ってしまう可能性がある。たとえ、臓器を売る代償が「死」であったとしても。

(谷川 茂)

■関連記事
ニコニコ動画で有名になった自称アイドル片桐えりりか 書類送検され全国的に有名に!
宮城の被災者が空港でワガママ放題 「ヒマなら被災地にボランティアに来なさい…」発言
携帯メールの返事をくれない人で「気づかなかった」って過去形で言う人ってなに? 気づいてるじゃん
片桐えりりか火事騒ぎ 消防署や警察を巻き込んだ販売促進だった?
松本復興相が宮城県知事を叱責しマスコミには「書いたらもう、その社は終わりだから」発言まとめ