本日発表となる第145 回直木三十五賞。その候補作として注目を集めるのが、葉室麟の連作短編集『恋しぐれ』。文藝春秋の公募新人賞や松本清張賞を受賞している葉室麟さんは、3期連続で直木賞の候補に入っており、今回の『恋しぐれ』で4度目となります。

 江戸時代の画家・俳人の与謝蕪村を軸に、円山応挙、松村月渓、上田秋成など、蕪村の門人や家族など、交流があった人々の恋愛模様が連なり、紡がれていく同作品。
 芸妓と恋に落ちて藩を追われ、俳人として生きる蕪村の弟子・大魯の生涯を描いた「隠れ鬼」や、円山応挙と彼のもとに弟子入りした若い夫婦を軸にした「牡丹散る」など、蕪村の遺した俳句をヒントに創作しています。テーマは、「女の嫉妬」や「家族のしがらみ」「見栄や世間体」といった、現代にも通じる普遍的なもの。
各話は短いですが、重厚な筆致で、かつ緻密な心理描写が描かれているので、読み応えのある作品ばかりといえます。
 
 特に、蕪村の弟子・月渓(呉春)と、父親を探して行き倒れていたおはるとの恋を描いた「月渓の恋」は、死をもってしても分かつことのできない男女の絆を描いており、その純粋な恋心は美しく切なく読む者の胸に迫ります。

枕する春の流れやみだれ髪

この話のヒントとなった、水死した女を悼んだ蕪村の俳句です。
各話に盛り込まれた俳句が、それぞれの話に単なる創作にとどまらない普遍性を帯びさせます。

 蕪村や歴史小説に興味がある読者のみならず、手に取った多くの人の心をとらえるであろう同作品。直木賞受賞に期待が高まります。




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『与謝蕪村が遺した俳句をヒントにした短編集 直木賞候補作『恋しぐれ』』
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 出版社:文藝春秋
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