【酒呑みおやぢの独り言】「かんだやぶそば」でプチ池波正太郎ごっこ
皆様、初めまして。「酒呑みおやぢ」と申します。縁あって寄稿という形でこちらにコラムを書かせてもらう事となりました。

小生、日頃から本を片手に、上野〜神田周辺の赤提灯を独り飲み歩いているのですが、いい店を見付けると人に紹介したくなるのが人の性。小生お薦めのお店を紹介出来ればと思いペンを取らせていただきました。さて、6月も終わりに近づいたある休日の昼下がり、“おたく”にとっても、小生にとっても聖地である秋葉原にでも行こうと思い立ち、本棚から無作為に本を掴み取り自宅を後に。

電車に乗り無作為に掴み取った本を見ると、池波正太郎著【銀座日記】

何度目になる読み返しか判りませんが、移動中の車内で読んでいると池波先生が食べいる描写がたまらなく美味そうで……。
秋葉原じゃなく有楽町で天ぷらか洋食が食べたくなるも、梅雨特有の湿度と6月とは思えない気温で、『天ぷら』や『洋食』ってのは重いなぁなどと思いつつ、いつもの癖で秋葉原下車。

時刻はちょうど昼時。そしてその日は給料日後のボーナス前……。
懐に余裕もあることだし……。

「ちょっと高級な店で美味い物でもつつきながら一杯ひっかけて、『プチ池波正太郎ごっこ』でもしよう。」と考え、色々思案を巡らせる。

神田明神下や神田には、老舗の鰻屋を始めとして老舗と呼べる店が数軒ある中、今回選んだのがこちら。

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蕎麦の老舗【かんだやぶそば】

JR秋葉原駅・神田駅から徒歩10分、旧鉄道博物館の近くにある蕎麦の名店。小生が知る限り、東京で一番美味い蕎麦を食わせるお店。

蕎麦屋といえば『蕎麦屋酒』と呼ばれる『蕎麦を食べる前に一杯酒を飲み、蕎麦で〆て帰る。』という江戸の先人達の作法が有名。

先人の作法には従うが礼儀と、席につくやいなや早速エビスの大瓶を注文。
そして、後に食する蕎麦を思案しつつ、この日の気温と三十路の繊細な胃袋と相談し、あっさりめの五菜盛り合わせに決定しました。

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みょうがの天ぷら・煮穴子入りの酢の物・蕎麦寿司・蕎麦味噌で食べるもろきゅう・枝豆の5品が登場。

ちょいちょいと摘みながら、キンキンに冷えたビールを咽に流せば、押し寄せてくる至福の時。
「やっぱり肴が美味いと酒がすすむねぇ」と池波風に独り言を呟いてみる。

さて、蕎麦屋酒が江戸文化と書きましたが、江戸時代に何故蕎麦屋酒が流行ったか。

江戸の頃の『酒』と言えば、日本酒の事。
酒だけではなく、色々な物が日本各地より文化の中心である江戸に集まってきました。
ここは今も昔も変わらないんですね。

酒は主に上方(大阪)から下ってくるのですが、昔の船ですので大量に積み込めません。なので、割ってない原酒を江戸に運び込み、仕入れ問屋が水で割り、問屋に卸していたのです。

問屋も儲けを出したいので、仕入れた酒をさらに水で割り、小売に卸す。小売も儲けを出したいからさらに水で割る。客が飲む頃には、酒よりも水に近い状態で提供されてたのです。幾ら飲んでも酔わない酒を飲まされる客はたまったもんじゃないですよね。

当時の蕎麦屋は、酒で利益を出そうと考えてなかったので、問屋から仕入れた状態で酒を提供していたそうです。

「おっ、蕎麦屋の酒はちゃんと酒の味がするじゃねぇか!」てな具合で蕎麦屋酒が流行ったのでは。という説が、小生が一番有力とだと思っております。

他にも、諸説あります。風呂上りに小腹が減ったんで蕎麦を食って帰る習慣の中で、家帰って寝酒飲むの面倒でついでに酒も飲んで帰った。等……

話が横に反れましたな。五彩盛をちょいちょい摘みながらビールをやっていると、大瓶が空いてる事に気が付きもう一本注文。

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それと共に鴨ロースを。時期は完全に違いますが、こちらの鴨ロースはしっかり味が付いておりまして絶品で御座います。

鴨ロースについてきた白髪ネギを、蕎麦寿司用のつゆにつけて食べると、老舗のつゆの旨みとネギの爽やかな後味が口に広がり、そこで流し込むビールが、くぅぅぅぅ至福。

あっさりとした口の中に、鴨ロースを入れると鴨の重厚な旨みと味が口に広がり、そこにもビールを流し込む・・・くぅぅぅぅこちらも至福。

そんなことを繰り返していると、あっという間になくなるビール。

日本酒とあっさりした肴でもと思ったのですが、小一時間で大瓶2本頂いているので日本酒は控えて〆の蒸籠蕎麦を注文。

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藪蕎麦特有の緑がかった蕎麦の色。6月も終わりだというのに、蕎麦にはしっかり蕎麦のにおいが残っており、老舗のプライドか保存技術の良さが伺えます。

これを「藪」特有の濃いつゆにちょいっとつけて手繰る。加水率の難しいこの時期に、いつもと変わらない茹加減。本当に恐れ入る仕事です。

小生、蕎麦を食べる時、つゆにはネギもわさびも入れません。純粋に蕎麦の香りとつゆの味を楽しみたいからです。ネギやわさびは蕎麦湯を飲む時と決めております。

いつもの事ながら、あまりの美味さにあっという間に蕎麦を平らげ、お楽しみの蕎麦湯タイム。

猪口につゆをいれ蕎麦湯で5倍くらいに薄めて一杯目を頂き、ネギを足して二杯目、最後にわさびをちょっと入れて三杯目を頂く。

粋な文化を体験って事で、食べ終ったらグダグダするのは粋じゃない。って事で、さっと会計を済まし、女将さんの「ありがとう存じます」の挨拶に見送られてお店を後に。

江戸っ子や、池波先生ならグダグダせずに帰って寝ちゃうんだろうなぁ。などと思いながらも、酒呑みおやぢな小生は、神田のガードに足を向けるのでありました。

(文:酒呑みおやぢ)

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