「東電批判したら経産省から圧力」渦中の古賀茂明氏『日本中枢を再生させる勉強会』講演テキスト起こし

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先日7月5日火曜日に衆議院議員会館にて開催されました超党派の勉強会「日本中枢を再生させる勉強会」に於ける、古賀茂明さんの講演の様子を取材し、テキスト化いたしました。

動画やPDF化した当日の資料は、こちらに掲載しています。参考にしてください。(取材:東京プレスクラブ、協力:プレスネットワーク)

東電救済法案とも言われる「原発賠償機構法」が早ければ今週にも通るとの見方もある中、周辺の動きは慌ただしくなってきています。今つけるべきけじめをつけずに、未来の若者達に負債を押し付けることにするのか。わたしたちはその瀬戸際にあると言えます。ここでどういう決断をするかで、未来のエネルギー産業は大きく変わってくる可能性があります。このまま、あいかわらずの体質のままで進んでいっていいのでしょうか。

東京電力の今後、エネルギー産業の今後についてのたたき台となる『古賀プラン』を震災後迅速に公開し、議論のたたき台をつくってきた経産省の古賀さんが、先日事務次官より「辞めてほしい」と「退職勧奨」されたとの報道がおこなわれました。一体何が起きたのでしょうか。講演はその時の話からはじまり、公務員改革、そしてエネルギー産業の改革のあり方などについて触れる大変興味深い講演です。講演の時間は実質30分でしたが、実に濃密な30分間でした。

古賀さんはまさに現代の「志士」とも呼ぶべき、得難い論客だと思いますが、理由も明確でないまま、そのような人物を斬り捨てようとする経産省やそれを止めようともしない官邸らの動きには危機感を覚えます。その影響はマスコミにも及び、寄稿やテレビ出演までも難しい状況となりつつあるそうです。意見を述べることすらままならず圧力を受ける状況、その裏には何があるのでしょうか。




出席者:
渡辺喜美さん(みんなの党)、小沢さきひとさん(民主党)、塩崎やすひささん(自民党)、河野太郎さん(自民党)、ほか勉強会出席者多数。

●古賀茂明さん(経済産業省 大臣官房付)プロフィール
ダイエー、カネボウなど事業再生のプロフェッショナル。中曾根康弘元総理をして「これは革命だよ」と言わしめた公務員改革を支え、遂には昨年末公務員改革に及び腰の民主党と衝突し、閑職に飛ばされる。震災後はエネルギー産業の未来へのたたき台となる『古賀プラン』等を公開し、議論の一翼を担う人物として注目されている、が先日経産省より「退職勧奨」という圧力を受ける。まさに「戦う官僚」。その力の源泉をきいたところ、がんとの闘病を通して「正しいことをやりたい」と考えるに至ったとのこと。


■古賀茂明氏講演「日本中枢を再生させる勉強会」(超党派)
私が今までやってきました公務員改革の話と、それから電力の話。この2つを中心に話をさせていただいて、あと色々質問等あると思いますので、それにお答えしていきたいと思っています。よろしくお願いします。

まず私が置かれた立場であります。報道でご存知の方も多いと思いますけども、6月の24日金曜日の午後でしたけども、松永和夫経済産業省事務次官から呼ばれまして、7月15日をメドにやめてくれと。理由は君に相応しいポストがないから。という一言でありました。

で、私は一昨年の12月の17日に、公務員制度改革推進本部の事務局というところから経産省のほうに戻りまして、そのときに普通の時期ではない移動だったので「いますぐポストはないから、ちょっと年明けまでまってくれ」というふうに(経産省の)事務次官と官房長官から言われまして、そのまま結局一年半以上仕事がないままという形になっております。それ以前は渡辺大臣が行革担当大臣をやられていたときに、ちょっと手伝ってくれということで呼ばれまして、公務員改革基本法というのが出来た後をうけてその実施法を作っていくという仕事に携わったわけであります。

■公務員改革
今日はちょっと話のなかで、おそらくですね。自民党や民主党の先生方が「なんだこいつ!」と思うようなことをいってしまうかもしれませんけども、私は特にどの政党ということはなくやっておりますので、そのなかで感じたことをそのままお話しします。それが結果的に自民党批判であったり民主党批判であったりといったことに繋がるかもしれませんがそこのところはご容赦いただきたいというふうに思います。

もともとですね、自民党という政党も公務員改革には決して熱心ではなかったと私は感じております。ここにきている先生方は、もちろん非常に前向きで私が公務員改革をやっているというのも、色んな形でサポートをしていただきました。自民党の会議のなかで、声高に改革の必要性を叫んでいただきましたし、最後よりきられそうになるところを何回も土俵際で踏ん張っていただいて押し戻すということをやっていただいて、私のいたときに公務員改革の法案が一応できた。出来て国会に出せたというところまでいっております。

実はそのとき、おもしろいことに自民党はどちからというと、全体としては足を引っ張っていた方が多かったんです。自民党本部の幹部会とかそういうところに行くと、私は1人でその必要性を訴えていました。そして例えば「人事院から権限を内閣人事局に持ってくる」なんてことをいったら今日は名前を言いませんけども、一般の方は改革派だと思っておられるような先生が「君そんなことできるわけない。僕だってできなかったんだ」みたいなことを、おっしゃる、というようなことがありました。

自民党に足を引っ張られながら、実は裏で民主党の先生方には非常に応援していただいていたということもありました。松井孝治先生や――これはいい話ですから名前出していいと思いますが――そういう方々が裏で「お前ガンパレ!」と。あとは外務の竹内先生ですね、そういう方々には裏から支えていただいた。しかしながら結局自民党時代に出した案は廃案になってしまいました。

そのあと選挙で民主党政権になり、私は非常に期待しました。というのは、我々を裏で支えていただいていた民主党が政権をとるのならばもっと思い切ったことができる。そういうふうに思いまして、事務局にも全体ではもちろん後ろ向きの人も多かったんですけども、若い人を中心に「これもしかすると凄いことができるかもしれないぞ」というので内々に、いろんな革新的な案を、錬ったりしながら待っていたのですが、当初ではマスコミでもだいぶ話されていますのでご存知のかたも多いと思いますが、仙谷官房長官。当時は最初に話をいただいた時には大臣のポストが決まっていない段階で、厚労大臣か行政刷新大臣かというような話をされた段階でお声がけをいただきまして、公務員改革だけでなく様々な改革について色々意見交換をさせていただいたりしました。そのときには、補佐官で来てほしいというふうなお話しもいただいて、そのあと行政刷新大臣になられたわけですけども、行政刷新会議のメンバーはどうするんだとか、事務局をどういう風に構成するか。こういう案を作ったりして、仙谷さんはその場で我々が推薦した方に電話をして、了解と取り付けたり、そんなところまで話が実は進んでおりましたが、9月のシルバーウィークの間に呼ばれたのですけども、2時間以上待たされまして、本当は早く来てくれと言われて予定よりも早くいったのですが、そのあと結局ずっと中に通してもらえない。入ってみたら雰囲気ががらっとかわっていて、何か具体的な話はなにもなく雑談をして「それじゃまた」みたいなことで、それっきり私は仙谷さんとはお話しをしていないという状況であります。

そのわずか数時間の間に、状況が逆転したということであります。その間なにがあったか私にはわからいのですけども、言われているところでは、やはり霞ヶ関の官僚、官邸が中心になって私の起用を阻止した、というふうに言われています。

そんなことで、自民党も民主党もこの国の形を変えていくということをやるうえで、その重要性をわかっておられる方と、それとは逆にこの国の形が変わると困るという風に思っておられる方もおそらくたくさんおられる。そして常にその攻め際にいるというのが私の実感であります。

したがって、国民から見ると公務員改革だけじゃなくて自民党ですか民主党ですかと言われても非常に困る。というのが正直今起きていることじゃないかなと。ですから、これだけの閉塞状況、もちろん地震というのもありますから、こんなときに選挙するのかという議論ももちろん出てくるんですけども、なんで選挙というものに前向きになれないかっていうと、選択肢がないということが非常に大きいと思うんですね。



■政策のイノベーション
それから管さんの能力がどうのこうのと色々議論がありますけども、国民がいまひとつ盛り上がらない。つまるところそのあとの選択肢がないんです。国民は結局同じじゃないか、という風な感じを抱いている。普通であればこういうときは世論が盛り上がっていくんですね。「なんとかしてくださいよ」となるとこなんですけど、そうにすらならず相当冷めちゃった状況だというふうに感じています。

失われた20年、これから30年になりそうだっていう話もありますけど、この間政治の責任というのは非常に大きいと思います。そして官僚が新しい政策をちゃんと提示してこなかったという責任も非常に大きいと思っています。日本の経済が世界の一流に、追いつき追い越せといって追いついて、さらに優秀な企業によっては追い越して、世界のトップランナーになっていったのに比べて、行政のほうは追いつき追い越せというところはやったんですけども、その後追い越すというを全然できなかった。追いついたところであぐらをかいて、日本の行政の中から政策のイノベーションがまったくでていない。これが最大の問題だと思います。そして結果として出てきたパフォーマンスが、最低のパフォーマンス。

あれだけ優秀で公正であるといわれた官僚が政策を作っているにもかかわらず、世界から見て、日本の行政について「いい政策をやっているから、ちょっと視察にいってこよう」て話は聞いたことがありません

我々はよく色んな国へ視察にいきます。それは別にアメリカとかイギリスとかドイツ、大国だけではありません。デンマークだとかスウェーデンだとかそういう日本に比べればはるかに規模の小さな国でも、いろんな政策をうみながら新しい取り組みがはじまっています。どんどんそれが実施されています。しかし日本ではそういうことがまったく起きない。これは政治の問題もありますけど、やはり官僚の質が非常に下がっている。イノベーションを起こす、そういう仕組みになっていない。だけど今イノベーションを一番必要としている国はこの日本なんです。世界のマネをしているだけじゃとてもやっていけない。新しい政策をどんどん作らなければいけない。それを生み出す官僚制度になっているかどうか。ということであります。


仮にこれが政治のほうが大きく変わって、新しい政策を実現したいというイニシアティブをとれる、そういう政権ができたとしても官僚制度が国民のために働くという、そういう仕組みに変わっていない限り、改革も中途半端に終わる。それから政権が交代する度に、その隙を狙って後ろに戻る。いうことがおきるだろうと思っています。

自民党から民主党に政権が変わっていろんなものが前に進むかと思われたのですが、実はその隙をついて後ろへ戻っていることがたくさんあります。そういうことを考えたときに、やはり官僚が自分の省益のことを考えて、互助会と呼んでますけど天下りを含めた自分達の利益を守ろうというその仕組みを変えておかない限り、決して日本の改革は前に進まないだろうという風に思っています。それが今、公務員改革について感じていることでありまして、おそらく今日お集まりの先生方は、官僚が国民のために働く仕組みを作るといことについて非常に熱心な先生方ばかりだと思っています。ここにおられない今まで足を引っ張られていた先生方に強く申し上げたいのですけど、この点に手をつけないで、他の官僚といくらやろうとしても意味がありませんよ。おそらくできませんよ。ということを強く申し上げたい。それが公務員改革に関する話です。ちょっと具体的な話をすると時間がなくなってしまいますので、次に電力について触れさせていただきたいと思います。



■東京電力の問題
今お手元には少し長い資料をお配りしてあります。東京電力をどうするか。それから、その後の電力事情をどうするか。それが大きな課題になってきて国会での審議がはじまります。大事なことは、1つは賠償をちゃんとやるということ。それからもう1つは、電力供給を安定的に継続すること。それからもう1つ忘れてはいけないのが、将来の電力市場、あるいはエネルギー産業というものの発展の基礎というものを、この際しっかり作る。道筋をつける。ということを達成しなければいけない。という風に思っております。今政府のほうから新しい原子力損害賠償法支援機構を作る法案が出ておりますけども、私はこの法案というのはいかなる意味においても非常に悪い方の選択肢を選んでしまったという風に感じています。

これから審議が行われますので、ぜひ国会の場では、これを大幅に修正ないし作り直しをしていただいたほうがいいんじゃないかという風に思います。いくつかのポイントはありますが、1つは東電に支払いをさせるのか政府なのかという議論がずっと行われておりますけど、被災者からみればどっちでもいいので早く払ってくれということだと思いますので、私はこの紙では国と東電の連帯債務にとりあえずして、それでどちらに責任があるかというのは、東電も政府もあとでゆっくり調整をしていくという仕組みにしたらどうだと申し上げております。

いずれにしても今東電を叩けばいいという風潮が広がっていますが、これは政府の中から見る、あるいは経産省にいるとよくわかりますけれども東電を徹底的に悪者にするということによって政府の責任をかすませる、ということをやっているのは非常に明らかだと思いますので、あまりそこに惑わせないように。とにかく視点の中心は被災者だということ考えが1つ重要なことです。

■東電の法的整理
それからもう1つ、東電は破綻処理をするかどうか、法的整理をするかどうかということが議論になっています。法的整理をするかどうかというのは東電を潰してしまえというそういうレベルの議論ではなく、国民負担をどれだけ小さくできるかという観点それだけです。要するに今の政府の案では、株主の責任は問いません。ですから引き続き同じような権限を持ち続けるというようなことになります。私の考え方で法的整理すれば、株主の責任を100%問います。JALのときも同じです。JALのときも株は紙切れになりました。大混乱に陥ると言われましたが何の問題もありませんでした。今回もこれをしっかりやる。そうすると株式資本は1.6兆円今ありますので、1.6兆円分は国民負担で株をもちます。

それからもう1つ、通常の企業でお金払えないと言ったら、起きることは銀行の債権はカットするということになります。今、有利子負債が4兆弱ありますので、これをカットする比率によりますけど、例えばJALの場合は8割以上カットされました。しかもJALの場合社債までカットしてるんですけども、今回は技術的なことですけど、電気事業法で社債は一旦担保付き債券ということになっていて、保護されてしまいます。それはカットできませんが、社債を除いて4兆ぐらいの金融機関からの融資を行いますので8割カットすれば3兆ぐらい確保できる、5割カットすれば2兆確保できる。その分、国民負担が減ります。普通に法的処理をすると国民負担は3兆から4兆確実に減るということです。今の政府案では3兆から4兆、株主と銀行を保護するためのコストを国民に税金ないし料金負担で上乗せをしている。これは非常に長期に渡って利益のなかからちょっとずつ取りますというような形を法案上はとることによって目立たなくしている形であります。

ここは1つ大きなマジックがあります。料金の値上げはしない、厳しく利益から削り取るという風に言っています。しかし、日本の電力料金の決め方というのは総括原価方式というのになってまして、かかったコストというのは丸々電気料金にのせられる。コストプラス適正な利潤という考え方でできるということがわかっています。適正な利潤の算出ですが、実はコストに一定の比率をかけるということを致しております。つまり、利益を増やすためにはコストを増やすことが一番の近道という構造です。普通の企業とはまったく逆です。普通の企業はコストを減らすことによって利益が増える。電力会社はコストを増やすことによって利益が増える。つまり、電力会社は利益から負担をさせますよ。といえるのは何をするかというと、コストを増やしてその分利益を水増しするということです。あるいは、今ジャブジャブのコスト構造になっているはずですけど、ジャブジャブの構造になっている利益とういものを、本来は査定をすると大幅な電力料金値下げということができるはずなんですが、それをしないで余裕をもったままにしておいて、本来下げるべき料金を下げないで経費の中から負担をしています。という形を作ることが起きるだけですので、やはり国民負担になってくる、しかも国民負担から株主と銀行の債権を守るという部分だけ上乗せされた形になっていくということです。

この法案のもう1つの非常に大きな問題は、基本的にすべて東電が悪者になるということをアピールするための法案ですので、20年でも30年でもこの事故を起こした責任という十字架を背負わせて、ずっと儲からない会社で儲けても全部借金の返済のためにあてられるという風な、非常に暗いゾンビ企業になっていくということです。東電は日本の経済の中枢の首都圏を担当している会社ですので、本来は日本経済の発展の中心になるべく首都圏の電力市場、これを支える中心的企業が何十年かゾンビ企業であるという選択をしています。



■日本のエネルギー産業を進化させる最後のチャンス
実は成長戦略では、日本のエネルギー産業というのはどんどん伸びていくはずの期待される分野になっています。それは、当然のことながらホームプレイヤーとなる電力会社が電気にいろんな設備投資をして、特にスマートグリッドというものをどんどん展開し、再生可能エネルギーがどんどん発展し、それによってそこに日本の技術とういうのはそういう分野で非常に進んでいますから、そこのフロントランナーになってそれをもって世界のスマートグリッド市場に出て行く。そういう戦略であります。ところが、この復興法案のような選択をすれば、それの一番中心的になるはずの東京電力がそういう余力がいっさいない企業になっていく。スマートグリッドの発展というのが特に非常に遅れていくと思います。

日本は最先端にどんどんいけるはずなんです。ここ10年ぐらい若手の連中はそれらをすぐやりたいということで色んなアイディアを出してきたわけですけども、発送電分離につながることを懸念する電力会社に強硬な反対によってすべて潰されてきた。ですから私は若い人たちと話していてそこまでいうのは驚いたのですが、彼らが言うには「古賀さんやめないでください。東京電力をとにかく解体してください。そうでなければ日本のスマートグリッドは絶対に進みません。今回が最後のチャンスです。」ということを非常に強く訴えていました。結局、改革の大きなチャンスであるのに、この法案でですね、この法案が通ったから発送電分離ができないというわけではありませんなんて理屈はいってますが基本的には今の仕組みの温存する方法でいくことは確実だと思います。ということで、非常に大きな問題を抱えた法案だと思いますので、ぜひこの点について国会で真剣なる議論していただいて、根本的な議論をしたうえで決断していただきたい。


■電力会社の根回しが相当効いてきている
一時ですね、この話題で随分盛り上がった雰囲気が感じられたのですけども、今私が肌で感じているところでは、電力会社の根回しが相当効いてきていて、ほとんどこの改革というのは瀕死の状況になっています。オセロゲームでいえば真っ白になるような機運であったのがパタパタと黒く裏返ってきているという雰囲気を感じています。これは民主党だけでなく自民党のなかでもそういう感じではないかなと非常に心配をしておりまして、今日は日本の将来を察する先生方がいらっしゃいますが、こういう先生方のご意見というのが下手をすると葬り去られてしまう可能性があるなと、それぐらい電力会社の力が強いですね。特に地方にいけばその力というのが歴然としています。

東京にいるとトヨタもいれば新日鉄もいるしなんとなく東京電力が相対的に大企業の1つだと言えるはずですけど、地方にいけば電力会社というのはダントツの力を持っています。それはなぜかといえば、さっきの総括原価方式でコストを高くしている電力会社。つまり、売るほうの側から見れば何でも高く買ってくれる。この構造があるんです。ですから、例えば鉄鋼会社とか化学会社が100万kWの自家発電を設けたとする。普通に考えればフル稼働して余剰電力を電力で売りたいというのがあたりまえなんですけど、これは言えないんです。東京電力に余った電力を買ってくださいという話ができない。ついこの間まではスマートグリッドという言葉も出してもいけない。そういう状況だったんですね。それぐらいの力があります。

今日はテレビ局の方も入られてますし、マスコミの方もたくさんいらっしゃいますけども、実はマスコミにも同じです。東京電力がここまでやられているのだから、全然力がなくなっているのだろうと思いきやそんなことは全然ないんです。ですから、私をテレビに出すということについては、プロデューサーレベルで非常に大きな議論になって(だいたいの場合は)なくなります。ディレクターレベルで色んな局の人たちが、内々で私のところに来てご出演をお願いします。という話があって準備をしていると、ほとんど全部なくなります。私の知り合いの経産省を経験された官僚の人たちがが関西でTV出演をしようとした。そのテレビ局で最初にプロデューサーに言われたのが「今日は発送電の話は絶対にしないでください。」ということだった。これはつい最近の話です。というぐらい力が非常に強いんです。学会でもそうです。

私は、電力会社の広告は禁止すべきだと思っています。競争していないのに宣伝する必要は全然ないんです。節電のコマーシャルっていうのを、あるいはそのこの間までお詫びの広告というのを大量に流しましたよね。さすがに批判も強まって今はほとんどなくなっていると思いますけど、あのお詫びの広告は何かというと、要するに東京電力の力がなくなっただろうと思っているかもしれないけどまだまだありますよ。というメッセージだという風に私は思っています。現に、金が入り始めてからマスコミはかなりひいてます。

それを変えていくというのは、日本の社会を変えていく上で非常に大きな意味があると思います。適切ではない例えかもしれないですけど、GHQが財閥解体をやりましたよね。それに近いような感覚。単なる電力市場の問題だけではなく、社会構造を変えるぐらいの意味をもっているという風に思っています。

■今、日本は平時ではない
時間がだいぶなくなりましたので、最後にここにお集まりの先生方は日本をなんとか変えようということで、お集まりいただいてる方々ばかりだと思いますけど、これからやる改革というのはどういうものか。もちろん1人ずつ全部考え方は違うと思いますけど、1点大事なのは今日本は平時ではないということです。緊急時であるという理解をしていただきたいなと思います。そういう時に、行う改革はそうとう今の仕組みにのっかている方々、悪い言葉で言えば既得権グループという方々にとっては、非常に大きな不安、あるいは不利益というものを甘受していただかなければいけない。いままで散々言われてきたけど出来なかったこと、それは難しいからできなかったことですけども、それを今手をつけざるをえない時に来ていると思っておりまして、私は先生方に色々ご支援をいただいてですね、辞めるなという風に言われてます。ツイッターだとか色んな手紙だとかメールでですね、絶対やめるなという話が来ておりますので非常に心強いのですが、もし仮にこの職を退くということがあった場合は、この改革について先生方がどれだけの覚悟をもってやっておられるのか。ということを問いかけるようなキャンペーンをやりたいなという風に思っております

国民が国民の声として、政治家になにをやってくれるのかというのを、突きつけていく。こういうことをやらないとですね。おそらくこの国は変わらないだろうなという風に思います。例えば具体的な例としては、今まさに議論となっている電力についてですね。よい改革のプランだと言えるんですかと。例えば年内に、発送電分離、あるいは発電の分割というのを含めた完全自由化ということについて、イエスという方向性を出してください。イエスといえますか、ノーですか。ということを突きつけていく。あるいは東京電力について株主責任、銀行の債権カットということに踏み込めますか。イエスですかノーですか。ということを問いかける。

■若い人は今、税金も年金も払うな。自分達の将来をかんがえろ
あるいは、増税という非常に安易な方向に今全体が向かっていますけど、増税の前に、それは公務員改革をやるとかそういうことももちろんあるんですけども、戦う成長戦略というのが必要という風に思うのですけども、若い人のこれからの社会保障を考えたときに、増税というのはなんの足しにもなりません。なぜなら増税しても全部今年使っちゃうんです。若い人のためにとっとくのではありません。私は若い人にいっているのは、税金も年金も払うなと。それはですね、ただ払うなといってるわけではないんです。仮に政治がこういうことをやってくれなかったら私達は払いませんよ。という風に言うべきである。こういうことっていうのは何かというと、自分達の将来の年金や医療の社会保障が安心安全だといえるために、なにをやってくれるんですか。それは今の増税じゃないよ。増税やって今年使っちゃったら何も意味がないですよ。若い人にとって意味があるのは30年後40年後の日本で、自分達が歳とったときに、その時の若い人達がちゃんと社会を支えてくれるような経済と成長戦略をつくっていくことが必要なんです。

■戦う成長戦略
この間自民党の成長戦略を見せていただいて、農業とか医療とか最先端エネルギー、そういうのがこれからの柱という風に書いてあった。ところがこういうもの全てにおいて、自由な活動はほとんどできません。農業をそんなに大きく伸ばしたいのだったら、そこに巨大な資本が入って大規模にやらなくちゃいけません。中国でも株式会社が農業をやっています。そこに日本の商社が出資をして、株式会社が農業やってるんです。ところが、日本でそれはできません。農業を伸ばしたいんだったら、そういう改革をやりますか、これは農協との戦争になりますよ。農協と戦えるんですか、という話です。私は株式会社のことばかりいってますが、それはわかりやすいから言ってるんです。資本主義の国でありながら伸ばしたい産業で株式会社が自由な活動をできない。この滑稽さというのはなんなんだろうか。

医療に株式会社が入ります、となるとそれは医師会と戦うということ。このように、いろんな改革をするときには必ず「戦う」という要素がでてきます。なので「戦う成長戦略」と言ってます。昔、自民党では成長のためにといって公共事業に色々ばら撒きをやりました。その結果財政再建どころか、財政はどんどん悪くなった。そういうトラウマがあります。ですので「成長で財政再建」というとまやかしだと批判される。むしろ守旧派の論理だという風にレッテルを貼られることが多いんですけど、これは完全に間違っています。ばら撒きじゃなくて改革によってちょっとずつ成長していくんです。小泉改革のときは税収が40兆から50兆に増えてるんです。増税はしておらず1%も税率をあげていません。しかし今また40兆に戻っちゃいました。これを50兆60兆にしていくにはどうしたらいいのか。そのためには、変わらなきゃできません。改革をどうやってやるのか。戦う形で改革をやってほしい。そういうキャンペーンをやりたいなと思っています。

まだ辞めると決めたわけじゃないんですけど、ゆくゆくはそういうような判断をせざるを得ない時が来るのかと思いつつ、そんなことを考えてます。

(了)


[編集協力:猫目さん]

※この記事はガジェ通ウェブライターの「深水英一郎/ふかみん」が執筆しました。あなたもウェブライターになって一緒に執筆しませんか?

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