7月24日、テレビは地デジへと移行される。諸外国のように、衛星放送やケーブルテレビという選択肢もあったのではないか、という指摘もある。

 しかし、そこには利権が存在する。衛星で見ることができれば地方ローカル局は存在価値がまったくなくなる。当然、キー局と地方局によるテレビ局ピラミッドの利権構図も崩れることになる。だから、日本では最初から、放送のデジタル化は地上波以外の選択肢は検討もされなかったのだ。

 地デジ化の方式が議論された当時(1990年代初頭)の総務省放送行政局長を直撃すると、「衛星など俎上に上ったことはなく、放送のデジタル化は地上波以外に考えていなかった」と告白した。地デジ化政策に詳しい、福井秀夫・政策研究大学院大学教授がいう。

「欧米のようにケーブルテレビや衛星放送といった地上波以外のメディアが成熟している社会では、国民は多様な番組を主体的に選択している。一方の日本では、番組もスポンサーも地上波が独占する構図があり、それがコンテンツの充実を妨げている。

 番組が増えれば、それだけ競争が起き、質の向上に繋がる。知る権利も含めて、国民利益に適うメディア本来の在り方ですが、作るほうは既得権が安泰ではなくなる」

 つまり、「地」デジ化とは、つまらない番組で大儲けするためのテレビ局と役人の策略だったのである。

※週刊ポスト2011年7月15日号




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