第145回直木三十五賞の候補作となった、辻村深月の『オーダーメイド殺人クラブ』。

 彼女の作品が直木賞の候補に挙がるのは、第142回の『ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。』ぶりの2回目。今年はすでに、別作品で第32回吉川英治文学新人賞を受賞し、日本推理作家協会賞短編部門や山本周五郎賞でも候補に挙がっており、良い流れのなかで直木賞の発表を待つことになる。

 今回、候補作となった『オーダーメイド殺人クラブ』は、辻村深月が書く青春小説の「最高到達点」と言われる一冊。1980年生まれの彼女は、作家デビュー以来、小学生、高校生、大学生を主人公にした青春小説を書き続けてきた。そんな彼女が満を持して「中学生」を取り上げたのが本書。

 教室内ヒエラルキー上位の「リア充」(現実の生活が充実している)女子グループに属する主人公のアン。彼女は、突然友人たちから無視をされるようになる。一年前までアンたちが無視していた友人が、今度は逆にアンを無視する側にまわるなど、中学生の人間関係は気まぐれなもの。しかし、その気まぐれな行為も、アンの隣に座る「昆虫系」(イケてないキャラモノ男子)の徳川勝利の言葉をきっかけに事態は変わる。

 親の無理解や友人たちとの関係に閉塞感を抱くアンは、「死」に対する関心が非常に強く、机の引き出しには、古新聞から切り抜いた死に関するニュースの切れ端が入っている。そんなアンは、美術部の徳川が書いた絵「魔界の晩餐」に強く惹かれ、話をするうちに二人のなかに共通する美意識があることに気づく。

 次第に自分の価値観を本当に理解するのは、徳川しかいないと思うようになるアン。そして、ついには「私を殺してほしい」と徳川に依頼するのである。普通の中学二年生とは違う「特別な存在」になるためには、インパクトのある殺人事件が必要だと。

 "リア充女子"と"昆虫系男子"という、不思議な関係の中学生ふたりが共鳴する計画の結末とは......。

 いわゆる中二病小説からくる懐かしさだけでは終わらない、深さと強さを感じさせる読了感。辻村小説の「最高到達点」作品といえるのかもしれない。



『"リア充女子"と"昆虫系男子"が殺人事件を計画?  直木賞候補作品『オーダーメイド殺人クラブ』』
 著者:
 出版社:集英社
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