勉強はここからはじめる 取っ付きやすい「MBAスキル」

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 「MBA」(経営学修士)と聞くと、とりあえず敷居の高い資格で、一般的なビジネスマンには手が届きにくく見えるのではないか。また、勉強する内容も高尚なものが多そう…というイメージを抱いている人も多いのではないだろうか。

 修士号は取らないまでも、MBAのスキルを学びたいというビジネスパーソンもいるはず。そういうときはまず、とっつきやすいキーワードから攻めると良いだろう。MBAスキルを学ぶムック本である日経ビジネスアソシエ編『ビジネスプロフェッショナルの教科書』(日経BP社/刊)には最新の「MBAスキル」が見開き2ページ、52ワード掲載されている。
 この中から、初心者でも取っ付きやすい「MBAスキル」キーワードを3つを紹介する。もし、「面白い」と思うキーワードがあったら、さらに深く勉強してみるのもいいかも知れない。

◆その人の印象ほど強いものはない?―「確認バイアス」
 「とてもあんなことをするような人じゃない」事件を起こして逮捕された容疑者について、近所の人たちがそう答えるのを耳にしたことはないだろうか。
 この「あの人はいい人」という印象だが、MBA的に考えれば「仮説」に過ぎない。
 しかし、根拠となる情報が脆弱な仮説でも脳に一度インプットされてしまうと、強い影響力を持つ。これを「確認バイアス」というのだという。いったん偏見を持つと、あらゆる情報をその偏見に合う形で解釈してしまうのだ。
 これは経営においてはブランドの確立に応用可能だ。企業・個人問わず、まずは「信頼できる」という仮説を抱かせる。初動で出来た土台がしっかりしていれば、周囲の人々は自分の行動を好意的に解釈してくれるようになるのだ。

◆世界的企業のはじまりは模倣―「ミメーシス」
 「ミメーシス」とはまねのこと。しかもただのまねではない。ものすごいと感じたものを思わずまねしたくなる現象のことを指すのだ。
 こんな理屈に合わない現象が、ロジカルな意志決定を求められるビジネスの場面で使えるはずがないと考える人もいるかも知れないが、「ミメーシス」は時に合理性をも超える、信じる力を発揮するのだ。例えばスターバックスコーヒーはこの「ミメーシス」が元になっている。創業者のハワード・シュルツ氏がイタリアに旅行した際、現地のコーヒースタンドに感動し、それを持ち帰ったのが始まりだ。
 もちろん紆余曲折もあったが、スターバックスは今や世界的企業になっている。まずは理屈抜きに信じられるものを探す、それがビジネスのスタートともいえるのだ。

◆暗黙のルールが油断を招く―「ゴーイング・コンサーン」
 「当たり前」のことが、いつの間にか「暗黙のルール」となってしまっていることがある。
 「ゴーイング・コンサーン」は、財務諸表などを作成する際に、「この企業は未来永劫事業を継続する」という仮定する考え方。つまり、会社が事業を継続することが前提となって作成されるのだ。もちろん、この前提は脆くも崩れ去ることがある。それが「油断」となって時に会社に牙を向くのだ。
 これは個人のキャリアにも通じること。自分のキャリア形成を考えたとき、今もっているスキル、これから学ぶスキルの全体は、今の企業で働くことが前提となっていないか? 他の企業でも通用することなのか? 「ゴーイング・コンサーン」は市場における本当の価値を隠すのだ。

 「ロジカルシンキング」や「財務諸表の読み方」をいきなり真正面から勉強しても、長い時間をかけなければ身につくことはできないだろう。それならば、自分が面白いと思う部分を探し、そこからスタートしていくのも1つの方法だ。
 「MBAスキル」には経営学やマーケティング論の領域だけでなく、心理学や数学などもカバーする。まずは、本書のような入門書を読んで「確認バイアス」から抜け出すことが大事だと言えるのではないか。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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