新田たつおが『週刊漫画サンデー』で連載中のヤクザ漫画『静かなるドン』第99巻が、6月29日に発売された。この巻では白藤龍馬とビトー・アレキサンダーの対決に決着がつくが、最終章第2弾に突入した。
 『静かなるドン』はギャグ漫画の色彩が強いものの、ひとつながりのストーリー物である。主人公・近藤静也と秋野明美のロマンスと、静也の率いる新鮮組と関西の暴力団・鬼州組の抗争がストーリーの軸になっている。1989年に連載を開始した長寿作品であるが、第89巻で「最終章」に突入した。

 最終章は「深淵をのぞく者は、また深淵にのぞかれる」というニーチェの意味深長な言葉を引用して始まった。ここには長寿作品に幕を下ろす作者の意気込みが現れている。最終章の主軸は、世界を裏から支配してきた世界皇帝に対する龍馬の復讐である。
 ロックフェラー家とロスチャイルド家、フリーメーソンなどの陰謀論を下敷きにしたスケールの大きな話であるが、新鮮組と鬼州組の抗争が同時進行し、中々話が進まない。最終章突入後に刊行された単行本は10巻を数え、連載も続いている。今が最終章であることを忘れた読者も少なくないはずである。
 この巻は龍馬と世界皇帝の送り込んだアレキサンダーのロシアン・ルーレット対決の続きで幕を開ける。新鮮組一の武闘派・鳴戸竜次を圧倒する最強キャラクターであった骨手牛昇がロシアン・ルーレットに臨む龍馬を心配し、慌てるという新たな一面を描いた。この龍馬とアレキサンダーの対決に決着がついたところで、最終章第2部に突入し、新たな強敵の存在が予告される。

 この対決と並行して静也は下着デザイナーとしてロンドンに行き、世界皇帝のリチャード・ドレイク5世と対面する。力の信奉者となった龍馬を全面的に支持できないとしても、これまでは世界皇帝は悪という価値観があった。ところが、静也はドレイクを「イギリス国民の希望」と理解している。世界皇帝側を悪と単純に言い切れなくなり、物語の複雑さが増した。
 発行部数30万部の『週刊漫画サンデー』にとって単行本が累計4300万部になる『静かなるドン』は文句なしの看板作品である。簡単に終わらせられる作品でもない。複雑さを増した最終章第2弾の行方に注目である。
(林田力)

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