リアル観察系生放送の面白さ

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今回はかなりマニアックな話で恐縮です。形式としてはこれまでもあったような形の放送ですし、これまでの生放送と何が違うかと言われると難しいのですが、最近、この放送が面白いなと思っています。

■放送企画会議

完全に手前味噌で恐縮ですが、ガジェ通のチャンネルでやっている放送です。

この放送シリーズの目的は最初から決まっていて、それを新人バイトの人達に提示し、あとは経過を淡々とみる、というだけのものです。
目的はたったの3行。

■■放送企画会議の目的

1.三人寄れば文殊の知恵、ということで新人ですごい企画を考えて欲しい。
2.企画案ができたら、実際にプレゼン放送をやって視聴者の反応をみる。
3.プレゼン放送の結果がよければ本放送にて採用します。
というわけでひとつよろしく。

要するに番組を通して生放送番組で使える企画を考えて欲しい、というかなりざっくりしたものです。会議の出席者はつい先日入った新人バイトが3名。2ヶ月ほど先に入った、やや先輩のバイトが1名。昨年から居る先輩バイトが一人。冷やかしのおっさんスタッフが一名入ってます。放送は週に60分だけで、今のところ放送中はずっと企画会議をやっています。もちろん台本とかはなくて、本当に上記のことだけを伝えて、新人のバイトの人が中心となって会議をやっている「だけ」です。

会議の生放送自体は、昨年あたりUSTREAMの「ダダ漏れ(死語)番組」でよく見かけましたが、あの一連の放送は会議のプロフェッショナルが会議にライブ放送を導入していたわけです。いわば会議の内容に自信アリ、の人達の「見せる会議」だったということです。もしくはプロモーションも込みの「見てもらうための会議」だったわけです。例えばソフトウェア会社の偉い人がプレゼンをやりながら視聴者をアジりつつソフトウェアについて語ったり、実際に企画をやったり、という放送がありましたが、実際に番組に参加すると視聴者側としてもかなりの高揚感が得られ、面白い体験でした。そしてこれらは要するに製品やサービスを買ってもらうためのプロモーションの一環であるわけです。だからこそ熱も入りますし、さまざまな工夫も凝らされていました。

しかしこの「放送企画会議」の新人バイトの人達は、会議とかあまりやったことがない人達ですし、さほど「熱」もないわけです。そういう人達がやれと言われて仕方なく会議をやっているわけですね。出席者の「当事者感」がやや希薄です。なので、あまり議論が前に進みません。そもそも、集まって何を話し合おうかというところからして曖昧で、この時間に何を決めようという目標もはっきりしていません。誰が議事進行しているのかすら定かではありません。

しかもこの会議、出席しているのがみんなネット生放送に慣れた人達で、新人バイトはいずれもいわゆる「生主」と言われる人達ですから、カメラ慣れはやたらしていますし、トークスキルも高いです。中には万単位でファンがいる「生主」もいます。だから、話している内容は面白い。聴いてると、それなりに面白いんです。会話はかなり盛り上がります。しかし、会議は進みません。やはり「生主」さんはエンタテナーですから、放送が始まると本能的に「面白い話をしないと」というスイッチが入って、会議そのものに身が入らなくなるようなんですね。


■ダメな会議をずっと観ている感じ
しかしながらこれは「仕事」なので、成果をだしていかなくてはいけないという焦りも時々みえます。でもやっぱり話は面白い方に膨らんでいくので、議論としてはまとまらない。というより、そもそもどのように話をまとめていくのかというのが見えてこない。まぁこれ、内容としては完全に「ダメな会議」なんですが、それを白昼堂々と放送しているのがジワジワ面白い。これまで2回この企画会議をおこなっていますが、まだひとつも具体的に「この企画をやってみよう」というものが出てきていません。常識的に考えて、これはひどい。

ひとまず会議ということで、ノープランで会議に挑んでテーブルを囲んで話し合いをする、というスタイルをとっていますが、果たして会議のスタイル自体、これでいいのか。アイデア出しは放送外でやって、それを持ち寄って会議するような形じゃないと、おそらく「見せる会議」にはならないような気がしてます。第1回の中でおそらくそれに気づいた会議出席者が「アイデア出しを宿題にして次回それを持ち寄ろう」という話を出し、第2回会議に挑んだのですが、実際第2回会議でアイデアを考えてきたのは出席者4名中2名。半分でした。なんかそういうのをハラハラしながら放送で見ているのが面白いんですよね。生々しいというか。プロジェクトの進行を遅らせるのは、こういう「理由はよくわからないけど、いわれたことをやってこない人達」だったりするわけです。そういうパターンがでてくるのが面白い。しかも新人バイト3名中2名が第2回会議を欠席。これもひどい話ですが、そういうとこがリアルです。こういうのが面白いというのはちょっとマニアックな生放送の楽しみ方かもしれませんが。

会議中の態度も結構ひどくて、ずっと別の作業をやっている者(いわゆる内職)、なんか食べ続けている者、ノートに落書きをしている者、他人のアイデアを批判し続けている者などがおり、協調的な作業をこれからやっていけるのだろうかと不安になること請け合いです。

■生主としてのおいしさ、会議としての議論の質、番組としての面白さ。この3つのバランス

この番組の難しいところは、単に会議を上手く進めるだけではだめで、以下の3つの要素のバランスをうまくとっていかなくちゃいけないところなんじゃないかと思うわけです。

・会議として、結果を残すこと
・番組として、視聴者を楽しませること
・生主としてのおいしさ、メリット。ヤケドしないこと

この番組はこれらのバランスをどうとっていくかを探るゲーム、という言い方もできるかもしれません。これらをうまくバランスさせるには、恐らく行き当たりばったりでは無理で、会議のための事前準備が必要です。ということはつまり、番組のための事前の打ち合わせ、「会議のための会議」が必要となる可能性もあります。もちろん、その事前準備の過程も含めて放送する、という手もありますが、その判断も含めてちょいと「高次の目線」による俯瞰が必要です。そのことにいつ気付くかということがひとつのキーポイントかもしれません。じゃないと、とりあえず会議に集まってその場をなんとかそれなりに面白くしようとして会議としては成果が出ない、ということのループに入る可能性があります。また、このことに個別に気付くだけではダメで、チーム全体が気付く必要があります。というわけで、この気付きはいつ起きるんだろうか、というところが番組観察者として気になっている部分だったりします。とは言え、もうここに書いちゃったので、この文章自体が観察対象への干渉となってしまうのかもしれませんけど、それも含めていつ「観られている」ことに気付いて、チームとして軌道修正できるか興味深いところです。


■単独の放送で人気のある生主が協調してチーム企画を創り上げていくことができるのか
もう一点、興味を持って見ているのが、個性的な生主が集まってチームで企画をつくっていくことができるのか、という点です。この番組に集まっている「新人スタッフ」ですが、実は万単位でファンがいる「生主」も居ます。人気がある生主というのは、どの方も例外なく、ファンを集めるための工夫や努力をしています。ここに集まっている生主さんも、それぞれの方法論で放送をおこない、ファンを集めてきた人達ですが、それは基本的に単独で放送をすることを前提としたものです。「コラボ放送」と呼ばれる、複数の生主が集まっておこなわれる放送もありますが、基本的には自分自身の放送を成長させていくことが目的です。そういう生主さんが集まって、チームで放送することが前提の番組企画を考案して盛り上げることができるのか、という点が興味深いです。生主さんの中には、とにかく注目を集め続けるために、規約ギリギリのことをやったり刺激的な発言をおこなったり、他の生主さんの放送を荒らしたりといった過激なことをやったという人もいますが、今回の企画づくりではそういうことはできません。そういった、注目を集めるために無茶をすることができないという縛りの中で何かが生まれてくるのか。とても興味深いです。なんかちょっと引いた目線だと思われるかもしれませんが、純粋な興味で、どういう展開になるんだろと見守っています。

実は他にも心配している展開があるのですが、ちょっと文章が長くなってしまったので、それはまた別の機会に。そんなわけで、みなさんも木曜日の18時、お時間ありましたら放送にご参加ください。そんなに凄い展開はない放送だと思いますが、どうなることやら一緒に観察してみましょう。


※この記事はガジェ通ウェブライターの「深水英一郎/ふかみん」が執筆しました。
おなかぽーん!

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