“着メロ仕掛け人”の仕事哲学―平澤創さんインタビュー(後編)

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 『仕事は楽しむが勝ち!』(かんき出版/刊)を出版した株式会社フェイス代表取締役社長・平澤創さんへのインタビュー。
 平澤さんは大学時代からアルバイトでTV番組の作曲や音楽制作などに関わり、その後、任天堂のサウンド開発部門に就職。25歳のときに株式会社フェイスを起業し、「着メロ」の仕掛け人として注目を浴びます。そんな平澤さんの中に一貫として存在するのが「音楽」です。ブレることのない軸の作り方とは、ヒット作品の作り方とは。ビジネスパーソンのみならず、音楽や文章、写真など、表現の道を志す若者も必読のインタビューを3回に分けてお送りしていきます。今回は最終回、後編をお送りします。


―後編:「努力の先にあるものとは? 平澤創さんの哲学」―

―私自身も文章を書くという仕事をしていて強く思うのですが、自分自身で納得のいく内容が書けたとしても、全く反響がないときがあります。それはとても悔しいことなんですが、その度に、相手の気持ちを考える、受け取る人のことを一生懸命に考えることが大事であることに気づかされます。

「まさしく、おっしゃる通りです。自己満足では共感を得ることはできませんし、建設的な話にはなりません。必要なことは、多くの人が求めているものが何かを感じ取り、そこにあるビジネスチャンスを見つけることです。それは私にとっての音楽も、あなた(インタビュアー)の文章も同じです。(カメラマンに向かって)写真もそうですよね」

―多くの人が求めていることを察知してビジネスチャンスを得る。これは、がむしゃらな20代を越えたところ、つまり、30代だからこそできることではないかと思います。様々な経験をしながら、自分の“点”を持つ。その中で、何が求められているのかを察知し、余裕をもって考えられるようになるのが30代なのかな、と。

「でもね、40代の僕からすると、答えはないと思うんですよ。チャンスはいつ来るか分からない……それこそ何歳のときに来るか分からないわけじゃないですか。そればかりは予測ができません。だからこそ、いつも努力していないといけないんです。チャンスをつかむための努力です。
チャンスをつかんで波に乗れた人というのは、傍から見るとすごく楽をしているように見えるんですよね。でも、例えば、変なキャラクターを演じている人気の芸人さんも、裏側では努力を続けているわけで、だからこそずっと波に乗れているのだと思います。チャンスは努力した人だけがつかむことができるものだし、努力し続ける人だけがそれをつかみ続けている、そういう気がしますね」

―本書のあとがきにある「チャンスは素知らぬ顔して、目の前を通り過ぎていく」という言葉はすごく印象的でした。平澤さんが「チャンスがつかんだ!」と思った瞬間はあったのでしょうか。

「多分、僕はチャンスを逃していることの方が多いですよ。自分がチャンスをつかんだかどうかというのは、そのときは分からなくて、後になって気づくんです。僕にも“あれをやっておけば良かった”というものがありますし、もちろん“あれがもしかしたら転機だったのかも知れない”ということもあります。文章の世界でも、“もっと深く書けば良かった”とか“あのときのああいう文章を書けたことが大きかった”ということありませんか?」

―それはもう、たくさんありますね(笑)

「これは、あらゆる分野に当てはまることだと思うんです。チャンスをつかむためには、いつも最高の自分でいることでしかないんです」

―平澤さんは30代の方々に本書を通してどのようなメッセージを伝えたいと思ったのでしょうか。

「まさしく今言ったことです(笑)。時間は連続しているものですから、20代があって30代があり、そして40代がというところで、30代だけに読者ターゲットをしぼったのではありません。いろいろな年齢層の方に、それぞれの感じ方をして頂ければと思います。生き方は一人ひとり違いますから」

―私みたいな20代後半の若輩者でも、とても勉強になる本だと思いました。これから30代になっていく中で、自分はどうしていければいいのだろうとすごく思うんです。

「まさしく、そういうときに読んで欲しいと思いますね。そして、この本の中から今の自分に必要だと思う内容を吸収して欲しいです。200人が読んだら200の感想があると思いますし、これは読む時期によっても、その年齢や仕事内容によっても、響くところが違うと思います」

―読者の皆さんからの反応が楽しみなのではないでしょうか?

「そうですね。僕としては、この本を読んで元気になって欲しいと思っています。僕は事業家ですし、経済人の端くれとして、やはり今の日本経済は縮こまっていると思います。この本の表紙に楽譜が書かれていますが、これは弦楽器のための『HOPEFUL』という、僕が作った曲です。もともと(表紙に)は別の挿絵が入っていたんですが、この本にはちょっと合わないということで、差し替えてもらったんです」

―東日本大震災以来、「希望」という言葉が大きくクローズアップされています。つまり、人々が一番求めているものですよね。

「そうなんですよね。先日、チャリティーイベントを行ったときに、この『HOPEFUL』を演奏したんです」

―どのような反応が返ってきましたか?

「バイオリンを弾いていた女の子が非常に感動したと言っていました。その子は広島の出身で、震災が起きたとき一度広島に帰ったそうなんです。でも、天災か人災かの違いはあるけれど、1945年に原子爆弾が落とされて広島にいた14万もの人が亡くなった。そして、もう草木も生えないだろうと言われたにも関わらず、60数年後には緑に包まれた都市になった。何度でもやり直せるのだから、逃げちゃいけないと思って東京に戻り、仕事をして、この『HOPEFUL』に出会って感動した、と。ちょっと曲のエピソードから外れてしまいましたけど、そんなことがありましたね(笑)」

―それぞれの胸に希望を宿したという素晴らしいエピソードだと思います。

「そうなんですよね」

―そういう意味では、本書も読者が希望を持つというか、それぞれの持っている希望をどんどんと膨らませていく内容になっているのではないかと思います。

「こういう大変な状況ですが、一人ひとりが希望を持って、日本経済を活性化させていかないといけませんね」

―では、最後になりますが、読者の皆様にメッセージを頂ければと思います。

「おそらく、この本を手に取った方というのは、真面目な方だと思います。自分の現状に何かが足りないと感じていたり、より良くしたいという気持ちをもっている、つまり自ら前進しようとしている方々だと思うんですね。
そういう瞬間に、この本を通して、自分なりの軸を作るヒントを見つけたり、希望を見つけて欲しいと思います。そして、どんどん元気になって欲しいですね」

―ありがとうございました。



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