スティーブ・ジョブズ的思考を生み出す7つの法則

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 これまで、イノベーションの起こし方について数多の本が出版され、数多の企業でイノベーションを触発する仕組みや哲学といったものを確立しようとしてきた。
 イノベーションを起こす人、つまりイノベーターの代表的な存在といえば、アップルCEOのスティーブ・ジョブズ氏だろう。ジョブズ氏のこれまでの功績はもうご存知の通りだと思うが、彼は問題解決のアイデアを次々と生み出し、それを形にしていった。

 『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』(カーマイン・ガロ/著、外村仁/解説、井口耕二/翻訳、日経BP社/刊)は、ベストセラーとなった『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン』(日経BP社/刊)の続編で、アップルやジョブズ氏を中心に、様々な企業の実例を紹介しながら、イノベーションの起こし方を提示する一冊だ。

 本書で軸になるのが、ジョブズ氏が基本としている「7つの法則」だ。
 この7つの法則は、成功を収めている世界中の人が広く採用しているという。経営者だけに限らず、シェフ、政治家、専業主婦のグループなど、幅広く応用が可能なのだ。
 では、この「7つの法則」とはどのようなものなのだろうか。

1、「大好きなことをする」(キャリア)
 ジョブズ氏は心の声に従ってきた。それが、彼にとって良い結果をもたらしたのだという。

2、「宇宙に衝撃を与える」(ビジョン)
 ジョブズ氏は、自分と考え方が似ており、自分のビジョンに賛同する人々、自分のアイデアをイノベーションへと変えてくれる人々を惹きつける。アップルのロケットは情熱が燃料、ジョブズ氏のビジョンが目的地なのだ。

3、「頭に活を入れる」(考え方)
 ジョブズ氏にとって、創造性とはさまざまな物事をつなぐことを意味する。幅広く体験すれば、人間の体験を深く理解できるようになると信じているのだ。

4、「製品を売るな。夢を売れ。」(顧客)
 アップル製品を買う人々をジョブズ氏は「顧客」とはみなさない。夢や希望を持つ人々だと見る。そして、その夢の実現を助ける製品をつくるのだ。

5、「1000ものことにノーと言う」(デザイン)
 洗練を突きつめると簡潔になるとジョブズ氏は言う。イノベーションは、不要なものを取り除いて、必要なものの声が聞こえるようにすることである。

6、「めちゃくちゃすごい体験をつくる」(体験)
 アップルストアは顧客サービスとはこういうものだという基準になったが、アップルストアを世界最高の小売店としたシンプルなイノベーションは他の分野にも応用可能で、どのような事業でも顧客と心からつながりを長期的に結ぶことができる。

7、「メッセージの名人になる。」(ストーリー)
 ジョブズ氏は傑出した語り部で、企業の製品発表を芸術の域にまで高めた人物である。世界一のイノベーションを思いついても、周りの人を巻き込めなければ意味がない。

 この7つの法則を使うと、キャリアや会社、顧客、製品などについて、いやでもこれまでとは違う考え方をするようになるはずだ、と著者は言う。

 そして、もう1つ大切なことは、イノベーションには、自信と勇気、後ろ向きな意見に耳を貸さない強い信念が必要だということだ。ほとんどの人が、ここで挫折をする。無理だと言われてもやる人が、すばらしいアイデアを手にすることができるのだ。

 イノベーションを起こすには並大抵ではない信念と自信を持たないといけない。
 『スティーブ・ジョブズ 驚異のイノベーション』にはジョブズ氏のほかにも、5000回以上に及ぶ失敗にもめげなかったデュアルサイクロン掃除機の発明者、ジェームズ・ダイソン氏をはじめ、様々なイノベーターの実例が載っている。

 新しいアイデアはどのように生み出せば良いのか。そのためには何をすべきなのか。本書には現代のビジネスシーンを生き抜く上で必要な知恵が詰まっているといえよう。
(新刊JP編集部/金井元貴)



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