『がんばろう、日本!』と呼びかける「龍が如く」最新作。発売が3ヵ月延期したその舞台裏とは?

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 6月9日、シリーズ累計400万本を超える大ヒットゲームシリーズの最新作『龍が如くOF THE END』(セガ/PS3)が発売された。

 当初は3月17日に発売の予定だったが、東日本大震災の影響により大幅な延期を余儀なくされた。ゾンビと戦うという内容のため、震災直後の自粛は仕方がないと思われていたが、約3ヶ月という大幅な延期となったのはどうしてなのだろうか。事情をセガのPR担当・渡辺祐介氏はこう明かす。

「3月11日の金曜日に震災が発生しました。スタッフたちはそれぞれ土日に情報収集を行ない、事態の深刻さを認識したんです。そして3月14日の月曜日に会議を開き、発売延期を即決しました。(6月9日までの延期となったのは)当初の発売日が3月17日でしたから、14日の時点ですでに商品は全国の販売店さんへ出荷済みだったんです。つまり、それらをいったんすべて回収する必要が生じてしまった。被災地付近からはもちろん、東日本はしばらくガソリン不足でしたから、かなり時間を要しました」

 今回の発売にあたっては、商品パッケージの変更も行なったという。

「発売が遅れたことに対するお詫びの意味も込めて、当初のパッケージのままで発売するのはいかがなものかという考えから検討が始まりました。その後、売上金の一部を被災地に寄付することを決めたのでその告知や、『がんばろう、日本!』というメッセージ入りのステッカーも製作したのでそれを封入するためにも、新たなパッケージが必要となったのです」

 それだけの対応をしていたら利益など出ないのではないかと心配する声も多い。ゲームライターのT氏がこう指摘する。

「実際、利益的にはかなりキツイと思います。ゲーム業界では皆、震災の影響を最も受けたのは『龍が如く』であると、共通の認識を持っています。ただ、ゲームファンたちが発売延期の舞台裏を勝手に察して、セガを応援しよう的なムードになっているんですよ。別にセガは公式発表をしていないのに、17日発売なら商品は販売店に発送済みだろうとか、パッケージ変更なら梱包を手作業でやって大変だろうとか、ネットの掲示板などで勝手に裏事情を想像してエールを送っているんですよ」

 こうしたゲームファンの熱意か、ある大手量販店では当初の発売日前よりも延期後の方が予約数が伸びているという。大人気シリーズの発売延期には、製作者とユーザーの心温まる舞台裏があった。

(取材/菅沼 慶)